青森産の観葉植物!? 新発想で植物の生産・流通の課題を解決!エンドユーザーにも笑顔をー。

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観葉植物は、ほとんどが熱帯や亜熱帯で自生する植物。そのため日本では沖縄や九州など、暖かい地域での生産がメインになります。ところがこの春から、「青森産」の観葉植物が流通を開始しました。「なぜ青森で?」――。そこには、植物の輸送問題や、生産者の働き方、そしてエンドユーザーが直面する「水やりの難しさ」など、さまざまな課題を解決するための工夫がありました。

目次

植物業界のちょっと真面目な話

植物の輸送問題

植物業界にとって、昔から切っても切れない課題といえば「輸送」です。
特に、大きさも形もさまざまな観葉植物は梱包にも手間がかかり、トラックへの積載効率も悪く運賃も高くなりがち。輸送時に傷むなどのトラブルも少なくなく、輸送業者から敬遠されることもあります。

それでも輸送できるうちは良いですが、運送業者の働き方を見直す、いわゆる「物流の2024年問題」により、さらに物流コストが高くなったり、観葉植物の輸送自体を断られたりする恐れも出てきています。

観葉植物は地産地消がしにくい

一方で、観葉植物の産地は沖縄や鹿児島、愛知県などに集中しています。観葉植物は温暖な地域に自生するため、日本でも暖かい場所の方が生産しやすいためです。

つまり、東北や北海道のユーザーへ安定的に観葉植物を届けるには、遠方の産地から高いコストと輸送によるストレスを植物に与えて運ぶしかないという現状があります。

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物流問題を見据えた「青森産の観葉植物」

日本最大級の広さを持つあおもり花工房の農場

こうした観葉植物が根本的にはらむ物流問題を解消するロールモデルとなりそうなのが、「青森産の観葉植物」です。

生産を行うのは、八戸中央青果グループが母体となって設立された国内最大級の広さの農場をもつ農業法人(株)あおもり花工房(青森県六ヶ所)。

東京都中央卸売市場・東京フラワーポート(株)取締役の平田雅彦さんがアドバイザーとなり、約1年前から観葉植物の新しい生産・流通に取り組みはじめました。

そして今春、農業種苗・園芸商品を扱う未来アグリス(株)(※旧ハクサンインターナショナル(株):愛知県長久手市)を通じて、これまで遠方の産地からコストも日数もかかっていた東北~北海道への観葉植物の輸送を、青森で生産して届ける仕組みがスタートしたのです。

テーブルサイズを中心に大型の観葉植物まで生産

あおもり花工房で生産する観葉植物は、4号~5号のテーブルサイズを中心に、室内のシンボルツリーとなるような大型観葉まで約50品種。初年度は年間で約6万鉢の生産を目指しています。

 

輸送コストが軽減される分、東北~北海道のユーザーに向けて、より手頃な価格で鮮度の良い観葉植物が届けられるようになります。

官民一体となり、青森に観葉生産拠点を


寒冷地で観葉植物を栽培するためには、温室(ハウス)で燃料をつかって温度を保つことが必要です。だからこそ東北エリアでの観葉植物生産はハードルが高く、これまで大規模に実現することができませんでした。しかし、あおもり花工房は、青森県六ケ所村の雇用と産業を守る六ケ所村の誘致企業として認定され、「花のある暮らしと 華のある人生を」をモットーに六ケ所村から全国に植物を届けるため、官民一体となって寒冷地での観葉植物栽培にトライすることができています。

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「アクアセル」を使った新発想の生産方式

「青森産の観葉植物」で特長的なのが、その生産の仕組みです。

あおもり花工房の農場では、「プールベンチ」という、植物を生産する台(ベンチ)に水を張っておくことで、鉢の底から安定して植物に吸水させるという生産を行っています。それをさらに効率的にしているのが「アクアセル」という特殊スポンジです。

アクアセルは水やりの名人

アクアセルは、吸水性と保水性に優れた特殊素材でできた、植物を長もちさせるためのスポンジです。

100%再生材を使用して植物用に開発されており、一般的なウレタンに比べ約6倍の水を吸収します。さらにアクアセル内にある酸素をプラスし、光合成に必要な水をストレスなく植物に供給することができます。

 

あおもり花工房で生産される観葉植物には、鉢底にブロック状にした「アクアセルキューブ」が入っています。

 

これにより、プールベンチに一定の水を張っておけば、植物が必要な最適量の水を、アクアセルを通じて自分で吸水してくれるようになっています。

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生産~流通、ユーザーにもたらすメリット

プールベンチとアクアセルを使った観葉生産には、生産、流通、そして私たちユーザーにとってもメリットがあります。

ユーザーのメリット|水やりの失敗を軽減

鉢皿に少量の水を張っておけば、アクアセルが適量の水を吸い上げてくれるので水やりの回数が減ります。また、水のやりすぎによる根腐れや、水不足による枯れを軽減してくれます。

水やりのサインは、鉢皿の水がなくなったころ。アクアセルが吸水できるように、鉢皿や鉢カバー内に少し水をつぎ足すだけでOKです。鉢皿の水がなくなって葉がピン!と元気になる様子を見ると、しっかり水やりできているなあと安心できますよ♪

 

アクアセルが入ったスリット鉢ごと鉢や鉢カバーに入れれば、水管理は楽々なまま、好みの見た目に変えることができます。

 

底穴があいていない鉢カバーなら、鉢カバー内に少し水を溜めておけば、アクアセルが自動で底面から吸水してくれます。

生産のメリット|安定した品質生産と働き方改革

植物の生産には、水やりひとつとっても熟練した技術が必要で、生産者自身が常に農場にいなければならず休暇がとれないという実情があります。

あおもり花工房が実践している、アクアセルとプールベンチを使った生産方式では、植物自身が必要な量の水を吸水してくれるので、誰でも水やりが可能になり、生産者の働き方改革にもつながっています。

……と、ただし間違えてはいけないのが「じゃあ、植物の生産はすべてアクアセルと底面給水でやればいいのでは?」というと、そうではないということ。

生産者が植物の表情を見ながら水やり加減をコントロールする高品質な植物は、私たちに大きな感動を与えてくれますし、熟練の技でしか生産できないジャンルの植物も少なくありません。

一方でプールベンチやアクアセルを用いた方式は、誰でも安定した品質の植物が生産できます。

どちらが良いということではなく、作る植物や目的に合わせて、生産方法の選択肢が増えたことが大きなポイントになります。

輸送のメリット|輸送時の植物の水枯れ防止

農場から出荷された植物は、輸送時に水不足になり枯れてしまう場合も少なからずあります。アクアセルにしっかりと吸水させて出荷することで、輸送時に起きる水枯れを防いで輸送ロスをなくし、鮮度を保ったままユーザーの元に届けることができます。また、園芸店の店頭での水やり管理も楽になります。

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このラベルが目印!LOVEGREENも育て方で応援

東北~北海道エリアのホームセンターや園芸店に並び始めた「青森産の観葉植物」。今後は北関東も含めて、出荷エリアを拡大していく予定です。

目印は上記のラベル。「アクアセル®使用」という文字が記載されています。

 

ちなみにラベル裏面には、LOVEGREENの植物図鑑のQRコードもついているので、育て方の参考にしてみてくださいね!

ふるさと納税も準備中

今回ご紹介した「アクアセル入り 青森産観葉植物」は、今秋を目途にふるさと納税の返礼品としてもエントリーを準備中です。

東北~北海道エリアの方でなくても「アクアセルを使った観葉植物に興味がある」という方は、誰でも入手することができるようになるので、気になった方はぜひチェックしてみてくださいね!

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