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世界の植物紀行 – 四代目金岡又右衛門 –スペインが生んだ魅惑のオリーブ【前編】

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オリーブは今更私が紹介するまでもなく、世界的に知名度が高く、日本においても大変人気がある樹木である。また日本でも近年多くの品種が生産され出荷されているが、まだ原産地である欧州に比べ歴史が浅いため、仕立て方などユニークな形状の出荷物はそう多くはない。また歴史を刻まれた古木も日本ではないため、今回、数年間スペインに渡って観て触れてきたオリーブで、記憶に残っているオリーブのいくつかをピックアップして紹介をさせていただきたいと思っている。

目次

オリーブとは

ご存知の方も多いとは思うが、まずは「オリーブ」が何故こんなにも多くの人に愛されている樹であるかの所以について、書かせていただければと思う。

オリーブの概要

学名 Olea europaea
流通名 オリーブ
英名 Olive
和名 橄欖(かんらん)
別名 阿列布、太陽の樹、平和の象徴の樹
科名 モクセイ科
属名 オリーブ属
分類 常緑高木

オリーブの花言葉

オリーブの花言葉は【平和】【英知】【勝利】。国連憲章のシンボルにもなっている。

【平和】

「旧約聖書」ノアの箱舟のくだりで「神が起こした大洪水のあと、陸地を探すためにノアの放った鳩がオリーブの枝をくわえて帰ってきた。これを見たノアは、洪水が引き始めたことを知った」とのことから鳩とともに「平和」の象徴ともされた。

【英知】

古代ギリシヤでは英知の女神アテネが作った木ともされ「英知」の意味をも持つ。

【勝利】

古代オリンピックでは、勝者に授けられる冠にオリーブの樹から作られたオリーブ冠が使われたため「勝利」の象徴とも言われる。

【人と人、国と国を繋ぐシンボル】

また、3つの花言葉だけでなく、オリーブは人と人、国と国を繋ぐシンボルにもなっている。

オリーブは約6,000年前から、シリア、イラク、イスラエルで栽培が始まり、紀元前16世紀からフェニキア人の交易で地中海諸国に広がった。紀元前4世紀にはギリシヤ全土で、紀元前200年頃にはローマ人が統治の一環としてオリーブの栽培を奨励した。

この頃北アフリカのベルベル人がオリーブの幹に接ぎ木をして品種を増やす技術を創り上げ、スペインに伝播し世界最大のオリーブ産地になった。この接ぎ木の技術が、オリーブの樹は「人と人、国と国を繋ぐシンボル」と言われるに至った由縁である。

そのようなオリーブがスペインで多く園芸用として出荷されている。その大きさは挿し木されたプラグ苗から、果実の収穫用に栽培されていた成木、中には樹齢1000年を超える古木まで様々である。主にバレンシア州エルチェに多くのナーセリーが集まっており、他にもヌレス、ムルシア、バルセロナなどに点在している。実際にこれらから近年、日本にオリーブが出荷されているのである。

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オリーブの原生地

まずは、スペインの沿岸部から山間部にかけて、広大な地に無数のオリーブが植樹されている。そのほとんどが、果実の収穫用である。地中海地方の料理においては、欠かすことができないオリーブの果実の塩漬けや、オリーブオイルである。

また、葉を使ったお茶も薬効があるということから愛飲している人も多い。ごく一部は炭としても利用されており、そういう意味では捨てるとことが全くなく、利用という意味でも万能な植物と言える。

このようなオリーブだが樹齢数年の苗木や数十年の成木は、園芸用に育てられたものも多くあるが、樹齢数百年を超えるものはもともと果実収穫用として栽培され、木が大きくなり過ぎたことや実付きが悪くなってきたことから改植を余儀なくされたため、観賞用として新たな道を歩み始めたというのが実際と私は推察する。

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オリーブの出荷準備

そのようなオリーブはまず山あいなどの畑や中には近隣国から移植されたものが、前述のアリカンテなどのナーセリーに運び込まれる。そこで今後の出荷国によってさまざまな事前処理が行われる。EU圏内であればそのままPOTに土をいれて一定期間養生させてから出荷されていく。

 

ただ日本はそういう訳にはいかない。ほんの少しでも土が付着してはいけないからである。そのために高圧の水やブラシなどで、根に傷をつけないようにプロの技術で洗浄し土除去を行う。

 

洗われたオリーブの根元(地中部)をココピートによって覆い、その上にラップをかけて日本向けに輸出されてきた。これが従来の方法である。しかしこの方法では、植物が一番ストレスを受け続けている進行形のままさらに負荷のかかるコンテナに詰め込まれるため、輸送中や日本に到着後、場合によってはエンドユーザーに引き渡されてから枯死してしまうこともしばしばであった。

 

そこで私たちは、輸送費や管理費が格段に高くなるが、より確実にその命は繋がれ、より健康に到着するような方法として、日本向けの管理方法を実践してきている。今ではその方法が現地においても浸透しつつあるのは喜ばしいことであると思っている。

 

では次回はスペインにおいて、どのような魅力的なオリーブがあるのか?私たちはどのようにオリーブを管理し、取り組んできているかについてお話をさせていただきます。

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