祈りの植物|8月~お盆のしつらえ

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みなさんの地元では、お盆にどんな風習がありますか? 8月の祈りの植物はお盆にまつわる植物をご紹介します。

目次

お盆の風習

お盆は仏教行事としての正式な呼び名は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と言い、「お盆」は盂蘭盆会(うらぼんえ)から変化して現在では親しみやすくそう呼ばれる様になったようです。 故人を偲び、ご先祖様や精霊が家族のもとに帰って来て一緒に過ごす日とされています。

お盆には、「五供(ごく/ごくう)」といわれる供えものがあり、「香」「花」「灯明」「水」「飲食」の5つのお供えで、ご先祖さまを迎えるのが日本の伝統となっています。

五供のひとつ「花」は、地方によって異なりますが、ほおずきやキクなどの花を墓前や仏壇に飾るのが一般的です。また、供え花ではありませんが、植物を使った盆のしつらえの「精霊馬(しょうりょううま)」も知られています。

精霊馬は、キュウリに適当な長さに切った割りばしなどで脚をつけて馬に見立てたもの。同じくナスに脚を付けたものは牛に見立てられています。この2つは対になって精霊馬と呼ばれますが、ナスのほうは、実は「精霊牛」です。

どうして馬と牛なの?

精霊馬

どうして精霊馬がお盆のしつらえになったのでしょう? どうして馬と牛だったのでしょうか? お盆にはご先祖さまが家に帰ってくるといわれます。先祖は8月13日の迎え盆※に帰ってきて、送り盆の16日にあの世へ戻っていきます。

そのときの乗り物が精霊馬です。家に帰るときは速く走ることができる馬に乗って、なるべく早く来てほしい。そして、送り盆では牛に乗って、ゆっくりと戻ってもらいたい。キュウリの馬とナスの牛には、そんな願いが込められているのです。

地方によって置き方は異なりますが、ご先祖さまを迎えるときは精霊馬の頭(ヘタのあるほう)を仏壇に向け、送るときは外に向けるといった風習もあります。仏壇がないご家庭では、迎えるときは家の奥に向けるとよいでしょう。

※東京などの「関東盆」では7月13日が迎え盆、16日が送り盆となります

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ほおずきは道を照らす誘導灯

ほおずき

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ご先祖さまに精霊馬に乗って帰ってきてもらうとき、もうひとつ大切なしつらえがあります。8月13日の夜に帰ってくる先祖の道を明るく照らすほおずきです。ほおずきを漢字で書くと「鬼灯」、つまり霊を導く灯りなのです。

お盆には提灯もしつらえますが、ほおずきも同じような意味を持って使われます。確かに、その明るいオレンジは灯火のよう。英名でもほおずきは「Chinese lantern plant」=中国から来たランタンのような植物と呼ばれています。

日本でも、ほおずきを灯りに見立て、お盆のしつらえに欠かせない植物になりました。「お盆の花は?」と聞かれたら、多くの人が「ほおずき」と答えるのではないでしょうか。ほおずきを見て、お盆を思い出す人も多いかもしれません。

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特別な意味を持った植物

ほおずき

このほおずきのオレンジ色の部分は、花が咲き終わった後に、6枚のガクが発達して実を包んだものです。花でもなく、実でもなく、植物図鑑を探しても、この器官を何と呼ぶのかは見つかりません。それほど特別な魅力を持った植物です。

日本に伝わった時代は定かではありませんが、庶民に広がったのは江戸時代、浅草寺の「ほおずき市」が始まった明和年間(1764-1772年)です。花を愛でる文化が広がったことで、ほおずきもお盆に欠かせない花となったのでしょう。

ちなみに、ほおずきにはご先祖さまの道を照らすだけでなく、ガクの中の空洞で休んでもらうという信仰もあります。ガクの中、直径1cmほどの実の下で、懐かしいおじいちゃんやおばあちゃんが休んでいたとしたらホッコリしますよね。

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先祖がいて、自分がいる

三世代家族

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お盆はもともと、仏教の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」が起源とされています。盂蘭盆会は、ブッダ(釈迦)の十大弟子の一人・目連(もくれん)が地獄で苦しむ母親を助けたいと願い、供養をしたことから始まった仏教行事です。

それが奈良時代に日本に伝わり、庶民に広がる中で、先祖に感謝しつつ自分を見つめ直す「お盆」へと変容してきました。先祖がいたからこそ、今、私たちはこうして生きています。

「あなたが生まれて、元気に育っていることを、ひいばあちゃん、ひいじいちゃんも喜んでいるよ」と、お子さんに伝える機会がお盆なのではないでしょうか? だから、ぜひとも精霊馬を、お子さんと一緒につくってみてください。

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ただし、やってはいけないことも

キュウリ 花 雌花 雄花 違い 見分け方 特徴 受粉

家庭菜園をやっている人なら、8月はキュウリとナスの収穫期。そのうちの1本ずつを、精霊馬と精霊牛にしてみては? 日本の伝統文化だからではありません。伝統文化や宗教、家制度なんて、子どもにとって大切なことではないです。

大切なのは、おかあさんとおとうさん、おばあちゃんとおじいちゃん、ひいばあちゃんとひいじちゃん・・・と続く家族の物語です。お盆は、そのことをお子さんに話すきっかけになる期間です。きっとご先祖さまも、その様子に耳を傾けています。

ただし、守ってほしい伝統がひとつあります。お盆の後、精霊馬のキュウリやナスは決して食べないこと。風習としてもそうですが、何しろ夏の暑さで傷みがちです。昔は川に流したようですが、今は環境配慮の観点でNG!

土に埋めて、来年の肥料にすることがおすすめです。そのときにもまた、お子さんとの話が弾むかもしれませんね。

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