スペアミントとは?育て方・栽培方法|植物図鑑

植物名
スペアミント
学名

Mentha Spicata

英名
Spear mint
科名
シソ科
属名
ハッカ属
原産地
地中海沿岸

スペアミントの特徴

ハーブと言われたらまず思い出すのが清涼なミントの香りですね。スペアミントは別名オランダハッカやチリメンハッカと言い、1000種類以上あると言われるミントの品種の中でも特に香りがきつくなく生食に向いた万人向けのミントです。ペパーミントと同様に様々な料理やお菓子、歯磨き粉などの製品に用いられます。ややしわのよった葉をつけ、夏には白~薄い桃色の穂のような花を咲かせます。非常に強健で、一株植えたら何もしなくても庭中にはびこってしまうほど。雑草すら駆逐し、一部では「ミントテロ」、「生物兵器」と呼ばれるほどの生命力があります。栽培は非常に簡単で、初心者や子どもにもおすすめのハーブですが、地植えにする際は少し気をつける必要があります。

スペアミントの詳細情報

園芸分類 ハーブ
草丈・樹高 60cm程度から大きいものは1m程度にもなります。
耐寒性 強い
耐暑性 強い
花色
開花時期 7月~9月頃

スペアミントの「スペア」は槍のこと

ミントはその種類によって葉の形が異なります。例えばウォーターミントは丸っぽい形をしていますし、バジルミントは葉がバジルに似ています。スペアミントの「スペア」は英語の槍を意味する「spear」が由来です。その名の通り、葉の先がピンととがって細長い形の葉をしています。ちなみにミントはギリシャ神話に出てくる美しいニンフ名前である「メンター (Menthe)」に由来します。

 

スペアミントの育て方カレンダー

時期 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
種まき
植え付け
植え替え
増やし方
剪定
開花
収穫

スペアミントの栽培環境

日当たり・置き場所

スペアミントは、日当たりが良すぎる場所だと、葉が萎れたり枯れたりするため、半日陰の風通しの良い場所が最も適しています。日蔭では葉の色や香りが悪くなります。乾燥に気を付けましょう。

温度

15~20℃が生育適温ですが、比較的暑さにも寒さにも強いです。

用土

ハーブ専用の用土があれば、それを利用しましょう。ない場合は野菜用の用土を利用しましょう。ミントは乾燥にはそれほど強くないので、保水性の良い土が良いです。しかし性質はかなり強健ですので、それほど用土にこだわらなくても大丈夫です。

スペアミントの育て方のポイント

水やり

地植えの場合は気を遣う必要はあまりありませんが、夏場に雨が少なく土がずっと乾燥するような場合はたっぷりと水を与えます。水が少なくなると葉が垂れ下がりますので、それを目安にすると良いでしょう。鉢植えやプランターの場合も水を与えすぎると根腐れを起こしますので、葉が垂れ下がり始める頃にたっぷりと水を与えるようにしましょう。

肥料

繁殖力がとても旺盛なので、肥料を与えなくても元気に育ちます。肥料を与えすぎてしまうと香りが弱くなります。

病害虫

露地で栽培している場合はヨトウムシベニフキノメイガ、バッタ類、ナメクジなどによる葉の食害や、ハダニアブラムシがつく場合があります。昆虫などによる食害については、忌避剤を株の周辺にまいておくと良いでしょう。直接口に入れるものですので、できれば植物に吸収されるタイプの薬剤は使わないようにします。また、夏場はハダニやアブラムシが発生しやすくなるので、デンプン系の殺虫剤や葉水をまいて予防するようにします。ただ成長が旺盛な植物ですので、気になる症状がでた葉や茎は思い切って処分し、新しい芽を育てると良いでしょう。

スペアミントの詳しい育て方

選び方

春から初夏にかけてがスペアミントの苗が一番多く出回る時期です。周年ポット苗を見かけますが、できたら春から初夏に出回る苗を購入しましょう。苗の選び方は徒長しておらず、各節が詰まって茎が太いものを選びます。また、葉がきれいな緑色でみずみずしく、ハモグリバエやその他の病害虫に侵されていないものを選びましょう。

種まき

種まきは4月~6月に行います。鉢植えやプランターの場合は、底に軽石を敷いて水はけを良くします。培養土を入れてあらかじめ水を十分に給水させておき、その上から種をばら蒔きにします。上から培養土で軽く覆土しますが、深植えすると発芽率が落ちますので、難しい場合は手で軽く土を抑えるようにして種を土になじませます。根が出てくるまでは種が軽くて細かいので、受け皿に浅く水を張って土が乾かないようにしつつ、表面は霧吹きで軽く湿らせるようにしましょう。地植えの場合は直播きでも良いですが、種が雨や風、アリなどによって散らばってしまい思わぬところに生えてしまう場合があります。市販のプラスチックポットに種をまき、下から根がのぞいてきたら定植をすると良いでしょう。

植え付け

植え付けは真夏を除いた春から秋にかけて行います。どこでも育ちますが、直射日光の強い場所では葉やけを起こしてしまうので良い葉が採れにくくなります。また、地植えの場合は放っておくとほかの植物に与えた肥料を吸収してどんどん成長し、手が付けられないほど増殖してしまいます。スペアミントを植える場所の回りに15~20cmの深さで囲いをし、地面から一段高くして栽培すると良いです。また、こぼれ種が発芽して増えますが、他のミントと容易に交雑しやすい性質があり、交雑すると香りが薄くなったり変わったりします。お気に入りのスペアミントの近くには他の種類のミントを植えないようにしましょう。

ミントは鉢植えと地植え、どっちがおすすめ?
ミントは性質が強いので、地植えでも鉢植えでもどちらでも栽培が可能です。ただし、ミントは地下茎で繁殖していく、大変繁殖力の強いハーブです。増やしたい方は地植えにしても構いませんが、環境にあうと、地下と地上の両方から増えていくので、ものすごい勢いで増えていくのでご注意ください。このことから「爆殖植物」などと表現されることもあります。ミントに限らず、地下茎で増えるタイプの植物は一度地植えすると、抜くのにとても力が必要になるので、増えすぎた時点で整理するのはとても大変です。
鉢植えで育てるか、地植えにするかは、自分がどちらを望んでいるかによって決めましょう。

・たくさんの空きスペースがあって、他の植物も特に植える予定なし、雑草が生えるのでグランドカバーに何かを植えたい!
→ミントは繁殖力が強いので環境にあえばグランドカバーになります。

・あまり増えると困る、他の植物と共存させたい
→限られたスペースで育てたい方は、鉢植えで育てることをおすすめします。

鉢植えで育てる場合もミントが地下茎で増えるという性質上、ひとつの鉢に1品種のミントを育てることをおすすめします。複数種のミントをひとつの鉢に植えこむと、しばらくすると鉢の中で地下茎で増えだすので、植え替えの時に手こずります。

剪定・切り戻し

ミントを健康的な株に保つために、定期的に茎を半分から三分の一程度、剪定する方法です。時期に決まりがあるわけではなく、茎が伸びるごとにやればよいのですが、日本は梅雨に雨と湿気で株が蒸れやすいので、一般的に梅雨入り前から梅雨の間に剪定をすることが多いです。

ミントの切り戻しの効果
梅雨の他、真夏も、植物にとってはストレスになります。切り戻すことによって、植物にとって一番厳しい梅雨から夏にすっきりと風通しのよい株姿で管理をすると、健康な状態で秋を迎えることができます。植物が病気になる原因は、株が茂りすぎて蒸れた状態が原因になることも多いのです。
また、切り戻しをしたところから枝分かれして次の茎が成長するので、茎数がたくさんある、丈が低めでこんもりとした株にすることができます。
ただし、花を見るために育てる場合は、初夏に切り戻してしまうと花を見ることができません。花が見たい方は、茎をすいていく要領で、切るものと切らないものを決めて剪定して、株が蒸れないようにしていきます。

ミントの切り戻しのやり方
伸びた茎を全体的に切ります。茎の半分くらいでもよいですし、もっと地際で切ってしまっても大丈夫です。(冬場の剪定は、地際で行います)
剪定後、しばらくすると切った所から枝分かれして、新しい葉がどんどん出てきます。冬場の場合は、切り戻して冬の間は、新芽は動きませんが、春になると新芽がどんどん出てきます。

植え替え・鉢替え

スペアミントの植え替えは、年中行えますが、真夏はできるだけ避けます。一回り大きな鉢に植え替えるか、大きさを維持したい場合は、株分けを行います。 スペアミントは生長がはやいので1年に1回は植え替えを行った方がよいでしょう。

スペアミントの花は初夏から夏にかけて開花します。開花期は香りが強くなります。葉をたくさん収穫するためなら、花は咲かせず、摘芯や切り戻しをし続けるとよいでしょう。お花はドライフラワーにすることもできます。

収穫

収穫は株が旺盛な成長をみせる5月下旬~9月が適期ですが、ほぼ通年収穫を行うことができます。

夏越し

葉が蒸れないように風通しが大切になります。夏を迎える前に切り戻し剪定をするのがオススメです。切り戻しをしないと、夏に花穂を付けます。花を咲かせない方が、株としては新しい葉っぱがたくさんつくので、収穫もたくさんできます。

冬越し

スペアミントは寒さに非常に強いため、そのまま屋外で育てても大丈夫です。冬前に地表部分でバッサリと切り戻します。地表部分に出ている部分が枯れてしまっても、地下の茎が生きているため暖かくなればまた繁茂します。春になると地面を割るように新芽が芽吹きます。

増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)

ミントは挿し木や株分け、種まきで増やせます。ただし、ミントは交雑しやすいので、種まきしても元の株と同じ香りがしない場合があります。確実に同じ香りのものを増やしたい場合は、挿し木か株分け、また水挿しで増やしましょう。

挿し木
挿し木に使う部分は茎の頭10cm程度で切り、土に入る部分の葉は取り除きます。しばらく水につけて水を吸わせてから新しい土に挿します。

水挿し
ミントを水につけて発根させる方法です。水につかる部分の葉は、必ず取って最低2~3節は水につかるようにして花瓶やコップに入れておきます。これは、葉っぱが水につかっていると、水が腐りやすくなるためです。また、根が出るのは節からなので、節のある部分が水につかっていることが根を出すためのポイントです。しばらくすると根が出てきます。根っこが出た茎を鉢やポット苗に植え替えます。しばらくは直射日光の当たらない、風通しのよい日陰で管理すると、根付いた証拠として、新しい芽がでてきます。芽が出てきたら、通常の管理場所に移します。

抜群の機動力で自ら良い土地探しをする植物

スペアミントを庭で育てていると株から地を這う茎のようなものがにょきっと生えてきて、みるみるうちに伸びていきます。これは「ランナー」と呼ばれるもので、イチゴなどでも見かけることがあります。このランナーは放っておくと庭を縦横無尽に駆け巡り、節という節から株が成長してしまい、いつの間にか庭中ミントだらけということも。このランナーは移動できない株の代わりにそのクローンをもっと生育しやすい場所に届けるためのものです。元の株はやがて枯れてしまいますが、様々な場所に移動していったクローンたちが遺伝子を引き継いでいきます。

株を増やす場合はこのランナーを1~2節ごとに切り取って土に伏せておくと容易に根付きますし、茎も2節程度に切って水に挿しておくとすぐに節から発根します。株を増やしたくない場合はランナーを見つけたらできるだけ早く取っておきますが、草取りとともに取ってそのまま土の上に放置しておくとすぐに根付いてしまいます。刈り取った茎やランナーは土の上に放置をせず、きちんと処理するようにしましょう。

  • 監修者:LOVEGREEN編集部
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