オオキンケイギク活用大作戦|神戸松蔭花田ゼミのグッバイ!イエロー!プロジェクト
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オオキンケイギクを知っていますか?一見、黄色のコスモスにも似ているそのきれいな花は、あまりに強く、在来の野草の生育場所を奪う恐れがあることから「特定外来生物」に指定され、新たに植えたり、運んだりすることが禁止されています。オオキンケイギク駆除の啓発のため、オオキンケイギクを染色材料としてポジティブに活用する「グッバイ!イエロー!プロジェクト」に取り組んでいる神戸松蔭大学花田ゼミの花田美和子先生にお話を聞きました。
目次
オオキンケイギクってどんな花?
オオキンケイギク
オオキンケイギクは、北アメリカを原産とする、キク科・ハルシャギク属の多年草。5月~7月頃に黄色のコスモスに似た花を咲かせます。1880年代に観賞用や緑化用として日本に持ち込まれ、苗が販売されていたこともありました。現在は、日本全国に分布して土手や川原、公園や空き地などに群生しています。
美しい花ではありますが、繁殖力が強すぎて日本の在来種を駆逐する恐れがあるため、2006年からは特定外来生物に指定され、栽培、運搬、販売、野外に放つことなどが禁止されています。多くの自治体がオオキンケイギクの駆除を呼び掛けたり、抜き取りや刈り取り等の対策を実施しています。
オオキンケイギクとキバナコスモスの違い
キバナコスモス
キバナコスモスは、メキシコを原産とするキク科コスモス属の一年草で、6月~10月頃に黄色やオレンジ、赤色の花を咲かせます。
違いとしてはまず、花期がオオキンケイギクの方が早いことがあります。また、オオキンケイギクは多年草で、キバナコスモスは一年草という違いもあります。
キバナコスモス
葉の形にも違いがあり、キバナコスモスの葉には、細かい切れ込みがあります。
オオキンケイギク
オオキンケイギクの葉は、切れ込みが無い細長い葉であることがわかります。
オオキンケイギクを染色に使う「グッバイ!イエロー!プロジェクト」
神戸松蔭花田ゼミが取り組んでいる「グッバイ!イエロー!プロジェクト」について花田先生に詳しくお聞きしました。
「グッバイ!イエロー!プロジェクト」はどうして始まったの?
これまでオオキンケイギクの刈り取り駆除などを行ってきた神戸市北区の地域協働課から、「北区にたくさんある特定外来生物のオオキンケイギクで染色ができないか」という相談があり、共同研究というかたちでスタートしました。
オオキンケイギクが染色に使えることは既に知られてはいましたが、学生が試行錯誤した結果、特に綿に染まりやすく、ミョウバンやクエン酸などの身近な物質によって発色が良くなったり、黄色からオレンジ色のバリエーションが作れたりすることがわかったんです。
2023年には、オオキンケイギクが繁殖する北区山田町で2回、駆除と染色を体験するイベント”グッバイ!イエロー!オオキンケイギク活用大作戦”を実施し、小さいお子さんからシニアの方まで幅広い年代の方に楽しんでいただきました。
オオキンケイギクの茎染めコースター
2025年には北区で3回目のイベントを実施、さらには、西脇市からもお声かけをいただいて染色ワークショップを行い、活動の範囲が広がりました。
「グッバイ!イエロー!プロジェクト」についてもっと教えて!
大切にしていること
こだわっている点は、イベントを行う際には特定外来生物であるオオキンケイギクの啓発を第一の目的とすることです。
それから、地元のデザイナーさんに関わってもらい、素敵なポスターやグッズで盛り上げていただいています。グッバイ!イエロー!のロゴが入ったオリジナルのスタンプも作成してもらいました。
ロゴの入った染色作品はポップで可愛いものに出来上がったので、イベントの後も大切に使ってもらえると思います。
やって良かったと思うこと
何といっても参加者の皆さんが心から楽しんでくださっていることです。地元の方たちと学生たちとの一期一会はかけがえのないものだと感じます。
大変なこと
イベントの会場に、大きな寸胴鍋やいくつもの容器を運ぶことがとても大変です。主催者の方にいつも手伝っていただいています。
今回お話をお聞きした花田美和子先生のご紹介
花田 美和子
神戸松蔭大学 教授
日本女子大学大学院 家政学研究科 被服学専攻 修了
京都工芸繊維大学大学院 工芸科学研究科 先端ファイブロ科学専攻 修了
専門は被服学、色彩学
花田美和子先生、ありがとうございました。
オオキンケイギクは、一見可愛い花ですが、根元の茎の太さを見るとその強さが伝わってきます。オオキンケイギクは在来の野草の生育をおびやかすほど繁殖してしまうということをどれだけの人が知っているのでしょうか。
オオキンケイギクのことを広く知ってもらい、抜き取りや刈り取り駆除を行うだけでなく、遊びと学びの要素を取り入れて”染色”に活用する「グッバイ!イエロー!プロジェクト」は本当に素敵な取り組みだと思いました。何より学生さんたちが真剣に、そして楽しそうに取り組まれている姿に感動して胸を打たれました。
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