映画「フラワーショウ!」公開!モデルとなったメアリー・レイノルズ氏にもインタビュー
LOVEGREEN編集部
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チェルシー・フラワーショーとは?
みなさんは、「チェルシー・フラワーショー」をご存知でしょうか?
エリザベス女王が総裁を務め、英国王立園芸協会が主催する花の祭典で、最も権威のあるガーデニング&フラワーショーとしても有名です。
世界の園芸のトレンドを左右するとも言われ、毎年15万人以上もの観客が訪れ、著名な園芸家たちが競って最先端なデザインを出展し競い合います。
型破りのランドスケープ・デザイナー「メアリー・レイノルズ」
そんな世界最古にして、最高峰の豪華爛漫たる舞台で、あえて華やかな花を使わず、雑草とサンザシの木だけという型破りなアプローチで挑み、権威主義がはびこるショーの歴史を塗り替えたランドスケープ・デザイナーが存在します。
それがランドスケープ・デザイナーとして活躍する「メアリー・レイノルズ」。
上流階級や資金操りなど、次々と立ちはだかる困難にまさに“雑草魂” で立ち向かったのでした。
彼女の実話が映画「フラワーショウ!」に
そんな型破りなアプローチでチェルシー・フラワーショーに挑んだ、メアリー・レイノルズのサクセスストーリーが、映画「フラワーショウ!」として公開されました。
アイルランドの田舎で育ったメアリー
アイルランドの田舎で育ったメアリーは、「自分のデザインした庭で世界を変えたい!」という夢を叶えるため有名なガーデンデザイナー、シャーロットのアシスタントに応募します。
© 2014 Crow’s Nest Productions
晴れて採用されるも、高慢で貪欲な彼女にコキ使われた挙句、長年書き溜めていたデザインノートまで盗まれクビに…。
どん底のメアリーがひらめいたのは、毎年世界中から注目される「チェルシー・フラワーショー”で金メダルを獲る」ということ。
© 2014 Crow’s Nest Productions
コネもお金も経験もないメアリーでしたが、わずか8枠に殺到した2,000人の応募者の中から見事合格し、一路チェルシー・フラワーショーへ。
© 2014 Crow’s Nest Productions
ヒッピー風の庭師や密かに思いを寄せる植物学者のクリスティらで寄せ集めチームを結成し、一路チェルシー・フラワーショーへ。
© 2014 Crow’s Nest Productions
ライバルは、デザイン泥棒シャーロットになんとチャールズ皇太子!?
© 2014 Crow’s Nest Productions
夢の金メダルを目指し、メアリーの挑戦が始まります。
© 2014 Crow’s Nest Productions
メアリー・レイノルズ氏にインタビュー
先日、来日した「メアリー・レイノルズ」氏。
本人にインタビューする機会を頂けましたので、映画にまつわるエピソードなどを本人に聞いてみました。
メアリー・レイノルズ(42) プロフィール
1974 年 2 月 25 日生まれ、アイルランド出身。
2002 年にチェルシー・フラワーショーのショー・ガーデン部門に初エントリーで金賞を受賞。
アイルランド人として初めての受賞であり、当時の歴代最年少受賞記録を樹立。
2011 年には、ガーデニング番組(BBC 局)の司会も務め、絶大な人気を博すランドスケーブ・ デザイナーのダーマッド・ギャビンが選出する、「世界で最も偉大なランドスケープ・デザイナー10 人」 に選ばれた。
-この映画を通して伝えたいこと、感じて欲しいことなどはありますか?
最初はあまり映画を作ることをポジティブではなかったけど、もし作るのであれば、自然そのものが大事ということを伝えたいと要望したわ。
大地をコントロールするのではなく、自然を守らないといけないということを一番に伝えたいと思った。
© 2014 Crow’s Nest Productions
-「チェルシー・フラワーショー」の想い出を教えてください。
映画でも描かれているように、チャールズ皇太子とは展示スペースが隣だったのだけど、ショーの途中で、実は私たちが作った壁がだんだんと倒れていってしまい、チャールズ皇太子のお庭の小屋の扉が開かなくなってしまったの…苦笑
© 2014 Crow’s Nest Productions
あと、映画の中でもチャールズ皇太子が私たちのお庭に来てくれたシーンがあるのだけど、実は本当にスタッフに対して「なんて素晴らしい庭なんだ!」と延々と話をしてくれていたの。
そしてフラワーショー開催中のある日、わたしが石の椅子で一人で座っているとき、突然後ろから「メアリーレイノルズさんですか?」
と声を掛けられて、驚いて振り返るとそこにはなんとチャールズ皇太子の姿が。
一般の方であれば、普通にお話しをすることなんてとてもできないと思うけど、私はアイルランド人なのでついつい「調子はどうですか皇太子?」と気軽に話してしまったわ(笑)
でもそれが皇太子にとっても新鮮だったみたいで、すごく気さくに話をしてくれたの。
そして、「私のつくったイス(玉座)に座ってみますか?」なんてやりとりもしたわ(笑)
© 2014 Crow’s Nest Productions
© 2014 Crow’s Nest Productions
-これまでに日本へ訪れたことはありますか?
日本には初めてきました。
今回の来日中には、根津美術館に行く予定で楽しみにしてるわ。
-ヨーロッパの庭の文化と日本の庭の文化で感じる違いなどはありますか?
日本の庭にはシンプルな美しさがあると思うわ。
西洋の庭は、自然とまったくマッチしていないものが多くあると感じるわね。
やはり自然をコントロールするのではなく、大地がどうなりたいのか考えてもっと取り組む必要があると思うわ。
増える自然を活かした庭造り
自然に生えてくる雑草を活かし、デザインの力で美しく整え庭を造るメアリー。
チェルシー・フラワーショー100 年の歴史の中でも革命的な出来事だったと思います。
事実、同氏が見事に金賞を受賞し、それ(2002年)以降の出展作品には自然を活かした庭造りが多数見られるようになったそうです。
インタビュー中、ずっと笑顔で話してくれたメアリー氏。
その人柄を短い時間でもとても感じることができました。
恵比寿ガーデンプレイスでタイアップイベント
本作の公開を記念して、映画をイメージした庭が、恵比寿ガーデンプレイスのシャトー広場に登場しました。
■チェルシー・フラワーガーデン In YEBISU GARDEN PRACE
■庭園展示期間:6月29日(水)~7月20日(水)
■会場:恵比寿ガーデンプレイス シャトー広場
デザインを担当したのは、日本における英国式ガーデニングの第一人者であり、同フラワーショーにて三度メダリストに輝いた英国園芸研究家・ケイ山田さん。
本作の主人公のモデルとなったメアリー・レイノルズさんとは、2002年の同フラワーショーにて競演されています。
また、2009年に出場した際には、エリザベス女王より直々に称賛された経験をもつ園芸界のレジェンドです。
-『フラワーショウ!』を観た感想を聞かせてください。
本作のモデルとなったメアリー・レイノルズと競演した2002年のチェルシー・フラワーショー当時を思い出して凄く感動し、涙がでました。
また、メアリーさんの情熱や完成、自然を守りたいというポリシーが伝わってきて、素晴らしい映画だと思いました。
―本作をモチーフにしたお庭のテーマや注目ポイントを教えてください。
メアリーさんの造る、自然をテーマにしたアイルランドの原風景という感じのものにしようかなとも思ったのですが、ビルに囲まれたこの場所では野草だけだと少しインパクトに欠けるかなと思い、元来華やかな祭典である“チェルシー・フラワーショー”のシンボルとして“花”をモチーフにしました。
また、上から見た際にも目を引くよう、植栽ケースの中央部を花芯に、周りを花びらにみたて、元気なお祭りのイメージでデザインしました。
-チェルシー・フラワーショーの思い出を聞かせてください。
劇中で描かれているメアリーさんと同じような苦労がたくさんありました。
資金や、人集め、それから植物の調達。
特に私は日本からの出場ですので現地で集めることが難しく、半年以上前からナーサリー(お花の業者)へ日本から何度も何度も通いました。
また、実際に庭を造る際にも到着した花が全く咲いていないということがあり、ショックに思ったことも覚えています。
と、出展した当時を思い返すと苦労話が多くなりますが、チェルシー・フラワーショーは世界中から素晴らしいガーデンデザイナーが集まるとても美しいショーなので、見に行くのはとても楽しいですよ。
映画「フラワーショウ!」概要
2016年7月2日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー!
監督、脚本:ヴィヴィアン・デ・コルシィ
出演:エマ・グリーンウェル、トム・ヒューズ、クリスティン・マルツァーノ
配給:クロックワークス
公式サイト:flowershow.jp
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