ザクロ(柘榴)とは?花や実の季節、種類、食べ方、英語、シロップ、神話まで

山田智美
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ザクロジュースやザクロシロップ。名前ばかり有名になってしまっているようなザクロ(柘榴)。ザクロ(柘榴)という果物について、どれくらいご存知ですか?ザクロ(柘榴)のお花を見たことはありますか。 ザクロ(柘榴)の種類、花や実の季節、食べ方、ザクロ(柘榴)にまつわる神話まで幅広くご紹介します。
目次
- ザクロ(柘榴)とは
- ザクロ(柘榴)の種類
- ザクロ(柘榴)の花の季節
- ザクロ(柘榴)の実の季節
- ザクロ(柘榴)の食べ方|簡単な剥き方
- ザクロ(柘榴)の食べ方|おすすめレシピ
- ザクロ(柘榴)は 英語で何て言うの?
- ザクロ(柘榴)とグレナデンシロップの関係
- ザクロ(柘榴)は人肉の味?鬼子母神の民話
- ザクロ(柘榴)は冥界の果物?ギリシャ神話
ザクロ(柘榴)とは
- 学名:Punica granatum
- 科名:ミソハギ科
- 属名:ザクロ属
- 分類:落葉高木
- 花期:5~7月
- 収獲期:10~11月
ザクロ(柘榴)はその昔、中東の方から中国を経て日本に渡ってきました。寿命の長い樹木で、独特の形状の果実を付けることで有名な落葉高木です。
ザクロ(柘榴)の幹は細く灰褐色をしていて、光沢のある明るいグリーンの小さな葉をつけます。枝に小さなトゲがあるのも特徴です。日当たりがよければ花付きがよく、実もたくさん収獲できるので、昔から庭木として好まれてきました。
ザクロ(石榴・柘榴・ざくろ)
- ザクロはミソハギ科ザクロ属の落葉小高木です。夏に咲くオレンジ色の花も、秋に熟す果実も観賞用とされています。果実は食用にもなります。生食ができる他、ジュース果実酒にして楽しめます。 私たちがよく見かけるザクロの実は、直径5~10cmほどのオレンジ色のボールのような果実ですが、これは熟れる直前のものです。木に実るザクロは熟すと果実がはじけ、果皮が裂けて果肉が見えるようになります。中には小さな種子を包む半透明で赤紫色の果肉がたくさん入っています。この小さな果肉は一つの果実に多いと800粒も含まれていると言われています。 果実ばかりが注目されますが、ザクロの花も観賞価値があります。花は緋色のようなオレンジ色で一重咲きから八重咲まであります。また、淡い黄色がかった白い花が咲く品種もあります。 ザクロは落葉性小高木に分類されますが、大きなものは5m以上にもなります。反対にヒメザクロや一才ザクロのように、小さなままで開花、結実する品種もあります。 意外と知られていないことですが、ザクロの木には鋭いトゲがあります。枝に触れるときには気を付けるようにしてください。
ザクロ(柘榴)の種類
ザクロ(柘榴)には通常のザクロ(柘榴)の他に「ヒメザクロ」や「一才(いっさい)ザクロ」と呼ばれる矮性種もあります。
矮性種は小さな樹高のまま、花も実も付けます。矮性のザクロ(柘榴)は花も実も通常のザクロ(柘榴)より小さく、3cmくらいと小ぶりです。
ザクロ(柘榴)の花の季節
ザクロ(柘榴)の花が咲くのは初夏、5~7月頃です。
本格的な暑さが来る前、鮮やかなオレンジ色の花を咲かせます。ザクロ(柘榴)の花は、肉厚なオレンジ色のガクの間から飛び出すように花びらを広げます。
ザクロ(柘榴)の花は初夏に咲くので、開花してすぐに梅雨に入ってしまい、花が散りやすいという特徴もあります。この落ちたガクがタコウィンナーのようで、ちょっと可愛らしくもあります。
ザクロ(柘榴)の実の季節
ザクロ(柘榴)の実の収穫を楽しめるのは10~11月です。
ザクロ(柘榴)の実は、直径10cm前後の球体に近い形で、黄色味の強いオレンジ色をしています。
秋が深まってきた頃、十分に熟すと厚みのあるオレンジ色の果皮がひび割れるように裂け始めます。中にはぎっしりと、ボルドーカラーの宝石のような小さな実が詰まっています。この小さな実は食用になり、ジュースやジャムの他、生食もできます。小さな実を歯で軽く押すように噛むと、程よい酸味と甘い果汁が口の中に広がります。
この小さな実の中にさらに小さな種子が入っています。食べていて気になる場合は種子を吐き出してください。そのまま食べてしまっても何も問題はありません。
ザクロ(柘榴)の食べ方|簡単な剥き方
ザクロ(柘榴)の実を食べてみませんか。とっても簡単で果肉も潰れにくいザクロ(柘榴)の剥き方を紹介します。
ザクロ(柘榴)の実の上の方2cmくらいをスライスします。
果皮に4~5ヶ所ぐるりと切れ目を入れ、手で果実を割ります。この時あまり深く切れ目を入れると中の実まで切れてしまうので注意してください。
割った果実を水を張ったボウルに入れ、ボウルの中で薄皮をはがしながらほぐしていきます。水に浸けると薄皮がはがれやすくなり、果肉一粒一粒を壊さずにほぐすことができます。
ほぐされた果肉は水に沈み、薄皮は浮いてきます。水に浮いた細かな薄皮を取り除きます。ザルに上げて、キッチンペーパーなどで水気を取ったら完成です。
まずはそのまま数粒口に入れて、瑞々しく甘いザクロ(柘榴)のおいしさを味わってください。
※ザクロ(柘榴)の果汁は服に付くとシミになりやすいので、エプロンの着用をおすすめします。
ザクロ(柘榴)の食べ方|おすすめレシピ
宝石のように美しいザクロ(柘榴)の実は、そのまま食べても十分に甘さと瑞々しさ、それから食感を楽しめる果物です。でもせっかくですからこの果実の美しい色を活かして、目にもおいしい一品にしてみましょう。
ザクロジュース
フレッシュのザクロ(柘榴)が手に入ったらザクロジュースを楽しんでみませんか。色のきれいなザクロジュースはウェルカムドリンクにおすすめです。
▼ザクロジュースの作り方はこちら
ザクロのサラダ
ニンニクとオレンジのサラダにザクロ(柘榴)のほぐした果肉を和えて、イタリアンパセリを散らしました。鮮やかなオレンジ色と深い赤が美しい一品、おもてなし料理にもおすすめです。
▼ニンニクとオレンジのサラダのレシピはこちら
ザクロ(柘榴)は 英語で何て言うの?
そういえば、ザクロ(柘榴)は英語で何て言うのでしょう。外国でザクロジュースが飲みたくて飲みたくてたまらなくなることがあるしれません。
知らないよりは知っておいて損はない、そんなザクロ(柘榴)の英名をご紹介します。
- 学名:Punica granatum
- 英名:pomegranate
ちょっと馴染みのない単語ですが、覚えておいても損はないと思います。こういう言葉ってどこかで突然使うことになるかもしれませんからね。
ザクロ(柘榴)とグレナデンシロップの関係
お菓子やカクテルのシピによく登場するグレナデンシロップは、ザクロ(柘榴)からできていると言われています。
グレナデンシロップ「grenadine syrup」の語源は、フランス語でザクロ(柘榴)を意味する「grenade」からきています。その名の通り、過去にはザクロ(柘榴)の果汁から作られていました。
現在流通しているグレナデンシロップは原料がザクロ(柘榴)ではなく、他のレッドベリー(赤い果物)類の果汁か、あるいは合成着色料や香料でできているものがほとんどです。
絶対にザクロ(柘榴)のシロップが欲しいという方は、「ポムグレナートシロップ」を探すとよいでしょう。
ザクロ(柘榴)は人肉の味?鬼子母神の民話
鬼子母神とは仏教に登場する女神です。鬼子母神は非常に子だくさんな神様で、その子供の数は500人いたとも1000人いたとも言われています。
子だくさんな鬼子母神は子育ての体力をつける為に人の子供をさらって食べていました。それを見かねたお釈迦様が鬼子母神の子供を1人隠したところ、鬼子母神は大いに悲嘆にくれました。
お釈迦様は「自分の子供がいなくなる悲しみがわかったのなら、もう人間の子供をさらって食べてはいけない」と鬼子母神に告げ、代わりにザクロ(柘榴)を食べるように伝えたそうです。
「ザクロ(柘榴)が人肉の味」だというは噂の出どころは、この鬼子母神のお話でした。
ただし、本来の鬼子母神とお釈迦様のエピソードにはザクロ(柘榴)は登場しません。「お釈迦様が、人間の代わりにザクロ(柘榴)を食べるように戒めた」というのは、日本で広まった俗説です。
ザクロ(柘榴)は冥界の果物?ギリシャ神話
ギリシャ神話に登場する大地と豊穣の女神デメテル。デメテルにはペルセフォネ―という娘がいました。
ある日冥界の王ハーデスが、ペルセフォネーを見染めてさらってしまいます。明るい太陽の下で花を摘んでいたところを、突然暗い冥界に連れてこられたペルセフォネーは意気消沈します。
冥界の食べ物を口にしてしまったら2度と地上の暮らしに戻れなくなる、と思った彼女は何日も何も食べずに過ごします。
飢えと喉の渇きに耐えられなくなったペルセフォネーは、ある日とうとう3粒(4粒とも6粒とも言われています)のザクロ(柘榴)を食べてしまいました。
一方地上は、娘をさらわれたデメテルが悲しみのあまり閉じこもってしまったので、大地は草花が枯れ果て、さながら冬のような有様になってしまいました。
みんなが困っているのを見かねた全能の神ゼウスは、事態を収束させようとハーデスに働きかけました。
ゼウスの判断は、(ペルセフォネーは)1年のうち、食べたザクロ(柘榴)の数の分だけ冥界で過ごし、残りは母親の元に戻って過ごす、というものでした。
こうして12ヶ月のうち3ヶ月はペルセフォネーは冥界でハーデスの妻として過ごし、その間はデメテルが悲嘆にくれる為、大地はすべてが枯れ果て冬となるようになったというお話です。
宝石のように美しく、食べても美味しくて、さらに少し背徳感のある逸話まで持つザクロ(柘榴)。これを機にザクロ(柘榴)の美しさについて見直していただけますように。
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