おすすめ果樹35種。庭木や鉢植えにしたい育てやすい種類

山田智美
このライターの記事一覧

果樹とは?意味や庭木との違い、育てやすい果樹、常緑や低木の果樹、鉢植えで育てられる種類、手間がかからない種類など。自宅で育てやすい果樹を35種類紹介します。
目次
果樹とは?果樹の意味、庭木との違い
果樹の意味
果樹とは、食用になる果物が実る木本の総称。木に果実を実らせるものが果樹に当たります。ミカンやリンゴなどが果樹です。イチゴやスイカ、メロンなどは木ではなく、草本に分類されるので果樹とは言いません。
木本とは
木本とは茎が木質化して幹になる植物。いわゆる樹木のことを指します。落葉する種類や常緑の種類があります。
草本とは
草本とは茎が木質化せず柔らかい植物。いわゆる草花のことを指します。一年草、多年草などはすべて草本です。
庭木との違い
果樹は果物が実る木、庭木は庭に植える木のことを言います。つまり、個人の庭に果樹を植えれば、果樹は庭木であるということになります。
庭木は主に観賞用、風よけ、防犯などを目的として植えられます。花が咲く木、厳密には花を観賞する庭木は花木といい、果実の実る木は果樹です。
植える場所が庭であれば、果樹は庭木の一つです。
育てやすい!おすすめ果樹15種
ウメ(梅)
- 花期:1月~3月
- 収穫期:6月~7月
ウメは早春に香りの良い花を咲かせるバラ科の落葉高木です。花を観賞することを目的として育てられるハナウメ(花梅)と果実の収穫を目的とするミウメ(実梅)があります。梅は生食には向かないので、梅干しにする他、ジャムなどにします。
- 梅(ウメ)は、初春のまだ寒い時期に香りのよい花を咲かせる落葉高木です。日本には中国からかなり古い時代に薬用として渡来しました。梅(ウメ)の樹高は10mに達しますが、3~5m程度で管理され、古くから花、香り、果実の3拍子揃った春を告げる落葉花木として全国各地で植栽され広く親しまれています。 梅(ウメ)の枝は広く張り、葉は長さ5~8cm程度で二重鋸歯があります。花は2年枝の細く短い枝に2.5センチ程度の花をつけます。梅(ウメ)は品種によって開花期に違いがあります。性質上、野梅性・緋梅性・豊後性・杏性の4系統に分けられますが園芸上は花を観賞する梅と果実の収穫を目的とする梅に分けられます。 果樹としては各地に産地があり、観賞樹としては庭や公園に春を告げる木として好んで植えられます。また、梅(ウメ)は花もの盆栽の代表格です。
アンズ(杏子)
- 花期:3月~4月
- 収穫期:6月~7月
アンズは梅のような花を咲かせるバラ科の落葉高木。ウメに似た果実を実らせます。アンズの果実は生食の他、ジャムなどにして楽しめます。杏仁豆腐はアンズの種を原料としています。
モモ
- 花期:3月~4月
- 収穫期:6月~9月
モモは春に咲くピンク色の花が美しく、夏に甘くみずみずしい果実を実らせる、バラ科の落葉高木です。その昔モモは不老長寿や多産の果物として神聖視されていました。モモは生食の他、ジャムやシロップ煮など様々な楽しみ方があります。
ジューンベリー
- 花期:4月
- 収穫期:6月
ジューンベリーは春に桜を小さくしたような白い花を咲かせ、初夏に実をつけるバラ科の落葉高木です。6月に果実が熟すことからジューンベリーと呼ばれます。赤黒く熟した果実は生食の他ジャムなどに加工して楽しむことができます。
ジューンベリー
- ジューンベリーは、名前の通り6月に赤い果実をつける落葉小高木。春に咲く白い花、新緑の葉、初夏の小さな宝石のような果実、秋の紅葉と四季折々に楽しむことのできる果樹です。果実はほんのりとした酸味と甘み、芳香があります。耐寒性・耐暑性があり、自家結実性があるので1本で収穫することができます。 ジューンベリーの花は直径1~2㎝程度と小さく、花びらが5枚あり桜のような形状をしています。花の見頃は3月下旬から4月地上旬頃、桜のソメイヨシノが咲き始めるよりも少し早く満開を迎えます。華奢な枝の先に小さな花をたわわに咲かせるのが特徴です。風で散ってしまう花びらの儚さも魅力の一つです。 ジューンベリーの果実の食べ頃は5月後半~6月です。4月に花が終わった後、段々と果実が色づき始め、5月には真赤になります。さらにもう少し辛抱強く待って、黒んずんだ赤になった頃がジューンベリーの果実の食べ頃です。 ジューンベリーはシンボルツリーとしてよく使われる他、街路樹としても植栽されています。白い花とかわいい赤い実、紅葉、樹形が美しいことなど、1年を通して楽しみがたくさんあることが庭木として好まれる理由です。
ナシ(梨)
- 花期:4月
- 収穫期:8月~11月
ナシはバラ科の落葉高木。春にリンゴに似た花を咲かせ、夏から秋に果実を実らせます。雌雄異株ではありませんが、2つ以上の品種を植えないと結実しにくいと言われています。ナシはみずみずしく生食で楽しみたい果実です。
カリン
- 花期:4月~5月
- 収穫期:10月~11月
カリンはバラ科の落葉高木。春にピンク色のかわいらしい花を咲かせ、秋に果実を実らせます。カリンの果実は生食できません。果実酒などにして楽しみます。
リンゴ
- 花期:4月~5月
- 収穫期:11月~2月
リンゴは春に咲く花と冬の真赤な果実が美しい落葉高木。アルプス乙女のような小さな果実を実らせる品種もあります。リンゴは生食の他、ジャムやコンポートなどにして楽しめます。
ガマズミ
- 花期:4月~5月
- 収穫期:9月~11月
ガマズミは秋に宝石のような真赤な果実を実らせるレンプクソウ科の落葉高木です。ガマズミの果実は酸味が強く生食には向きません。果実酒などにして楽しみます。
サクランボ(セイヨウミザクラ)
- 花期:5月
- 収穫期:6月~7月
サクランボはセイヨウミザクラという桜の果実です。初夏に真赤に熟す果実は宝石のようです。サクランボは生食できます。
カキ(柿)
- 花期:5月
- 収穫期:9月~11月
カキは秋にオレンジ色に熟した果実を実らせるカキノキ科の落葉高木です。翌年伸びた新しい枝の先に花芽をつけるので、3月以降の剪定は避けるようにします。剪定は1月~2月の間に行うようにしましょう。
柿(カキ)
- 橙色の柿(カキ)の実がたわわに実る光景や、軒下につるされている干し柿は、昔から日本の秋の風景として親しまれています。また秋の柿(カキ)を季語として多くの俳人が俳句を読んでいますが、正岡子規の「柿くへば 鐘がなるなり 法隆寺」という句はとくに有名です。ことわざにも「柿(カキ)が赤くなれば医者が青くなる」というものがあるくらいに、柿(カキ)は古くから日本人にとってなじみ深い果物です。春に若葉が芽吹き、初夏に控えめな淡い黄色の花を咲かせます。その花は壷のような形で花びらは肉厚ですが、葉に隠れて見落としてしまうほどに大人しい花です。柿(カキ)は雌花と雄花があるのですが、ほとんどの品種は雄花をつけていません。それでも受粉しなくても果実が実る単偽結果性という性質をもっているので、1本でも実がなります。しかし、生理落果しやすく良い実がなりにくいため、2品種植えることをおすすめします。果実には甘柿と渋柿がありますが、甘柿は国内で品種改良されたものです。
キウイ
- 花期:5月~6月
- 収穫期:10月~11月
キウイはマタタビ科のつる性落葉木本です。つる植物ですが幹は木質化します。雌雄異株なので、両方を植える必要があります。キウイは生食できます。
キウイフルーツ
- キウイフルーツは、中国の長江沿岸地方が原産のつる性の落葉果樹で5~8メートルの高さまで伸び100年以上の樹齢にもなります。雌雄異株で、雌雄ともに6枚の花弁をもつ黄白色の花を5月頃につけます。葉は長さ10~15センチのだ円形。細長い球形で表面に毛が生えた褐色の果実は晩秋に成熟し、収穫から20~30日ほど追熟させれば食用になります。果肉は緑色で香りが良くほのかな酸味と甘みがあります。 キウイフルーツは、耐寒性があり冬場-10度程度の地域でも栽培が可能です。ニュージーランドやアメリカが主産国ですが日本での栽培も広まっています。栽培には棚が必要ですが実がつきやすいので家庭果樹としても人気があります。
クリ(栗)
- 花期:5月~6月
- 収穫期:9月~10月
クリはブナ科の落葉高木です。ウニのような棘のあるイガの中に、茶色の光沢のある果実が食用部分です。クリは茹でたり甘露煮にしたりと楽しみ方がたくさんある果物です。
- クリ(栗)は、果実が秋の味覚として有名な落葉高木です。アジアからヨーロッパ、北米まで、多くの品種が分布しています。主に日本で流通しているのは、日本原産の和栗(ワグリ)とも呼ばれる柴栗(シバグリ)の改良品種で、その種類は数十種類から百種類を超えるとも言われています。 クリ(栗)は雌雄同株で、初夏5~6月くらいに開花します。雄花はクリーム色の花穂を房状に咲かせます。雌花は、雄花の付け根辺りに小さな花を咲かせます。雄花が開花したクリ(栗)の木は、遠くからみると白く樹木全体が煙るようで、見ごたえがあります。クリ(栗)の花には独特の芳香があり、初夏の開花の時期になるとどこからともなく風に乗って漂ってきます。 クリ(栗)は雌雄同株ですが、自家受粉し辛いので違う品種の木を近くに植え付けるなどの工夫が必要です。クリ(栗)の果実は、無数の針のようなイガに包まれていて、最初は緑色ですが熟すと茶色に変わり、イガが弾けて中からクリ(栗)の果実が現れます。
ザクロ
- 花期:5月~6月
- 収穫期:9月~11月
ザクロはミソハギ科の落葉高木。硬い果皮の中に宝石のような赤紫色の小さな果実がぎっしり詰まっています。ザクロは生食で楽しめます。ザクロの種は食べても問題ありません。果肉と一緒に食べられます。
ザクロ(石榴・柘榴・ざくろ)
- ザクロはミソハギ科ザクロ属の落葉小高木です。夏に咲くオレンジ色の花も、秋に熟す果実も観賞用とされています。果実は食用にもなります。生食ができる他、ジュース果実酒にして楽しめます。 私たちがよく見かけるザクロの実は、直径5~10cmほどのオレンジ色のボールのような果実ですが、これは熟れる直前のものです。木に実るザクロは熟すと果実がはじけ、果皮が裂けて果肉が見えるようになります。中には小さな種子を包む半透明で赤紫色の果肉がたくさん入っています。この小さな果肉は一つの果実に多いと800粒も含まれていると言われています。 果実ばかりが注目されますが、ザクロの花も観賞価値があります。花は緋色のようなオレンジ色で一重咲きから八重咲まであります。また、淡い黄色がかった白い花が咲く品種もあります。 ザクロは落葉性小高木に分類されますが、大きなものは5m以上にもなります。反対にヒメザクロや一才ザクロのように、小さなままで開花、結実する品種もあります。 意外と知られていないことですが、ザクロの木には鋭いトゲがあります。枝に触れるときには気を付けるようにしてください。
ナツメ
- 花期:6月
- 収穫期:7月~11月
ナツメはクロウメモドキ科の落葉高木。栄養効果が高いことで有名なデーツはナツメヤシの果実であり、ナツメとは別種です。夏のナツメの青い実は、シャリシャリとした食感で青リンゴのような爽やかな甘味を楽しめます。秋には赤茶色く熟し、果肉は柔らかくなります。
ナツメ(棗)
- ナツメ(棗)は、果実を食用にするクロウメモドキ科の落葉高木です。栄養効果が高いことで有名なデーツはナツメヤシの果実であり、ナツメ(棗)とは別種です。ナツメ(棗)の果実は、青い時は青リンゴに似た甘味と食感があります。完熟すると茶に近い赤色となり、果肉は柔らかく変化します。 ナツメ(棗)は、枝に鋭い棘があるのが特徴です。葉が繁っている期間は見えづらいので、幹に触れるときは注意が必要です。ナツメ(棗)を収穫する際には軍手を着用するようにしましょう。 雌雄同株ですので、1本で結実します。ナツメ(棗)の果実は生食も出来ますが、乾燥させたものが漢方では生薬として扱われています。日本ではナツメを果物として食べる習慣はあまりなく、出回りはあまりありません。
ヤマボウシ
- 花期:6月~7月
- 収穫期:9月~10月
ヤマボウシは初夏に花を咲かせ、秋にオレンジ色の果実を実らせる落葉高木です。ヤマボウシの果実は生食できます。外側の果皮を剥き、中の柔らかい果肉を食用にします。
- ヤマボウシは、6月~7月に白い花を咲かせる落葉高木。初夏の白い花、美しい若葉や青葉、赤い実、紅葉と四季折々の表情を楽しめる樹木です。本州から九州の山地に自生し、樹高は5~15mほどになります。白い花のように見える部分は総苞 (そうほう)と呼ばれる部分で、ハナミズキ同様、葉が変化したものです。 葉はだ円形で、やや波うっています。基本種は落葉樹ですが、常緑性の常緑ヤマボウシもあります。大きく広げた枝の先に一面に咲く花は、美しく見ごたえがあります。夏は青々とした葉が日陰を作り、常緑種を選べば、お庭の目隠しの役割も果たしてくれます。 自然樹形が美しく手間がかからないヤマボウシは、シンボルツリー、庭木、公園樹、街路樹など様々な用途で利用されています。
常緑の果樹9種
ヤマモモ
- 花期:3月~4月
- 収穫期:6月~7月
ヤマモモはヤマモモ科の常緑高木で、雌雄異株です。ヤマモモの果実は夏に赤黒く熟してから生食します。小さな果実の中には硬いタネが入っているので、力強く嚙まないように気を付けてください。
ミカン
- 花期:5月
- 収穫期:8月~12月
ミカンは日本の冬を代表するような果実。ミカン科の常緑低木です。オレンジ色のつやつやとした果皮を剥いて、中のみずみずしい果肉を食用にします。
ナツミカン
- 花期:5月
- 収穫期:12月~5月
ナツミカンは大きなミカンに似た果実を実らせる、ミカン科の常緑高木です。実付きが良く、庭木として人気があります。
ブンタン(ザボン)
- 花期:5月
- 収穫期:1月~3月
ブンタンはミカン科の常緑高木。関東以西では庭木として育てられます。果皮が厚く、中に酸味と甘みのあるみずみずしい果肉が詰まっています。大きな果実は美しく、庭木として観賞価値があります。
ダイダイ
- 花期:5月
- 収穫期:10月~2月
ダイダイはミカン科の常緑高木。橙色の語源にもなっているように、きれいなオレンジ色の果実を実らせます。英名はビターオレンジ。酸味が強く生食には向かないので、マーマレードなどに加工して楽しみます。
カボス
- 花期:5月
- 収穫期:8月~10月
カボスは小ぶりな果実がかわいらしいミカン科の常緑低木。柑橘類の中では比較的早く収穫できる種類です。カボスの果実は酸味が強く生食には向きませんが、香りが良いので料理の香り付けや臭み消し、薬味など幅広く利用できます。
オリーブ
- 花期:5月~6月
- 収穫期:9月~12月
オリーブは地中海地方原産のモクセイ科の常緑高木です。シルバーグリーンの葉と冬に黒く熟す果実のコントラストが美しく人気の庭木です。オリーブの果実はアクが強く生食できません。塩漬けやシロップ漬けにして楽しみます。
オリーブ
- オリーブは常緑の高木です。太陽と温暖な気候、水はけの良い土壌とたっぷりの水が大好きです。 オリーブは初夏に白や黄白色の小さな可愛い花をたくさん咲かせます。その様子は同じモクセイ科のキンモクセイとよく似ています。その後、丸くて可愛らしいグリーンの実をつけ、その実は赤、紫、黒へと成熟します。実はそのまま食べるととても渋いのですが、加工することで美味しいオリーブオイルやピクルスなどになります。 そのように家庭の食卓でも日常的に利用されているオリーブですが、植物としてのオリーブの魅力は何といっても樹形と葉の形です。葉の表面は光沢のある緑色、裏面には白い細毛が密生していて、風が吹くときらきらと銀灰色に輝きます。 「平和の象徴」としてハトが葉を口にくわえているデザインをラッキーモチーフなどで見たことがあるかもしれませんが、あの葉はオリーブです。「平和のシンボル」とされるのは「旧約聖書」のノアの箱舟のエピソードに由来します。ハトがくわえてきたオリーブの枝を見て、ノアは洪水が引いたことを知ったのです。 また、オリーブは萌芽力にも優れ、樹齢もとても長く、地中海沿岸地域では1000年を超える老木が今だに実をつけるそうです。 オリーブグリーンと言われる色もありますが、他の植物にはなかなかないような葉色や、スモーキーで乾いた感じの枝や幹の色など、様々な魅力があります。 オリーブは違った品種を2本以上植えた方が実がつく確率が俄然アップします。
ナワシログミ
- 花期:10月~11月
- 収穫期:5月~6月
ナワシログミは秋に花を咲かせ、翌年の初夏に果実を実らせる常緑低木です。他のナツグミなどは落葉樹です。ナワシログミの果実は酸味と甘みがあり、生食で楽しめます。
- グミとはグミ科グミ属の仲間の総称で、その品種は50~70種あると言われています。常緑も落葉もあります。日本で一般的に流通しているのは、主にナワシログミとナツグミです。ナワシログミは常緑低木で、葉の表面は銀葉、裏面が茶色という特性を持ちます。ナツグミは落葉低木で、名前の通り夏に酸味の強い赤い果実がなります。他にも園芸品種で斑入り種もあります。 枝を横に広げていくので、樹形もきれいです。銀葉のものは風で葉がそよぐ姿が、オリーブを思わせるような美しさです。非常に強健で、海辺などの風が強い場所でも日当たりが良ければよく育ちます。 グミの果実はほとんどが食用になります。余談ですが、お菓子のグミとは何の関係もありません。
ビワ
- 花期:11月~12月
- 収穫期:5月~6月
ビワは冬に白い花を咲かせ、翌年の初夏にオレンジ色の果実を実らせるバラ科の常緑高木です。ビワの花は小さく、高木の上の方に咲きます。あまり知られていませんが、花には芳香があります。ビワの果実はみずみずしく甘く、生食で楽しめます。
ビワ(枇杷)
- ビワ(枇杷)は、家庭果樹としても栽培される暖地に適した常緑の小高木で、生長が早く10メートル以上になることもあります。長さ15~25cmほどの大きな葉は革のように厚く、裏面に褐色の綿毛が密生しています。学名のEriobotryaは、ギリシャ語のerion(軟毛)、botris(ブドウ)に由来し、白い軟毛に覆われたブドウのように房状になる実をつけることを意味します。日本の「枇杷」の由来は諸説ありますが、葉や実の形が、楽器の「琵琶」に似ていることからと言われています。 ビワ(枇杷)の花の季節は、11月~12月の冬にかけてです。枝先に円錐花序となり、ひとつひとつの花は1~2センチほどの小さな白い花が少しずつ開花し、花には香りがあります。 果実は6月頃にオレンジ色に熟します。現在、果樹として栽培されている品種は、日本に自生しているものとは違い、中国品種を改良したものがほとんどです。
鉢植えでも育てられるおすすめ果樹5種
ラズベリー
- 花期:4月~5月
- 収穫期:6月~7月
ラズベリーは甘く香りの良い果実を実らせる、バラ科のつる性落葉木本です。ラズベリーは生食の他、ジャムなどにして楽しめます。
ラズベリー
- ラズベリーの日本名はヨーロッパキイチゴ、西洋キイチゴといいますが、フランス語のフランボワーズともよばれています。白い可憐な花を咲かせたあとに赤色・黄色・紫色などの可愛い宝石のような実をつける樹高1~1.5mの小低木です。その色鮮やかな果実は甘酸っぱく香りが高いので生食の他にも、ケーキやタルトなどの洋菓子に使用されます。 ラズベリーは自家結実性なので1本だけでも実がなります。ラズベリーの中には、1年に1度実がなる一季なり性と1年に2回実がなる二季なり性のタイプがあります。一般的にはトゲがあるので少し注意が必要ですが、種類のよってはトゲのない品種もあります。地下茎で増え繁殖力が強いのも特徴です。花芽は「混合花芽」という1つの芽の中に葉枝と花芽の両方を持っており、7月頃に分化します。寒冷地に適しているので、暖地は栽培に向いていません。
レモン
- 花期:4月~7月
- 収穫期:11月~3月
レモンは爽やかな香りと酸味が特徴のミカン科の常緑低木です。冬に明るい黄色の果実を実らせます。レモンは酸味が強く生食には向きませんが、様々な料理の香りづけやドレッシング、ジャム、はちみつ漬けなどにして楽しめます。
レモン(檸檬)
- レモン(檸檬)は、ミカン科ミカン属の常緑低木です。レモン(檸檬)の木は樹高があまり高くならないので、ベランダでも育てやすい果実の一つです。春から初夏には芳香のある白い可愛らしい花を咲かせます。果実は卵型で酸味があります。果皮にも香りがあります。レモン(檸檬)の果実はグリーンから熟すと明るい黄色に変化します。 病害虫も比較的つきにくいため家庭でも育てやすいです。温暖な気候でよく育ちますが、柑橘類の中では耐寒性は弱い為、鉢植えでの管理のほうが育てやすい場合もあります。 レモン(檸檬)の果実はビタミン、カルシウム、カリウムなど栄養も豊富です。レモン(檸檬)の果実はフレッシュの状態で料理やお茶、お酒などの香り付けとして多く利用されています。さらにレモン(檸檬)は生食の他、ジュースやお酒、コンフィチュール、ドライフルーツとしても楽しめます。レモン(檸檬)の果皮も乾燥させてレモンピールとして焼き菓子やチョコレート等のお菓子に利用されます。
ブラックベリー
- 花期:5月~6月
- 収穫期:6月~8月
ブラックベリーは名前の通り真っ黒な果実を実らせる、バラ科のつる性落葉木本です。春に咲くピンク色の花もかわいらしく観賞価値があります。ブラックベリーは大きくなり過ぎないので鉢植えでも育てられます。
ブドウ
- 花期:5月~6月
- 収穫期:7月~10月
ブドウは房状の果実を実らせるブドウ科のつる性落葉木本。甘くみずみずしい果実は生食で楽しめます。支柱に誘引して鉢植えで育てられます。
イチジク(無花果)
- 花期:6月~9月
- 収穫期:6月~9月
無花果はクワ科の落葉低木。特徴的なフォルムと甘みの強い果実が人気の果樹です。大きくならないので鉢植えで管理できます。イチジクは漢字で無花果と書くように、花を咲かせずに結実します。これは実は閉鎖花と言って、開花せずにつぼみの状態で受粉から結実までを行っているからです。
低木の果樹種3種
ブルーベリー
- 花期:4月
- 収穫期:7月~9月
ブルーベリーは名前の通り青黒い果実を実らせる、ツツジ科の落葉低木です。春にはすずらんのような白い花を俯かせるように咲かせ、夏に青黒い果実を実らせます。実つきを良くするためには、同一系統の異品種を近くで育てるとよいでしょう。ブルーベリーの果実は生食の他、ジャムや果実酒にして楽しめます。
- ブルーベリーは、ツツジ科スノキ属に分類される北アメリカ原産の落葉低木で、種類は200~300種あると言われています。初夏に白やピンクの花が咲き、7月~8月頃に紫色の小さな実が収穫できます。秋には美しい紅葉も楽しめ、寒さに強く丈夫な樹木であることから、庭木としても人気があります。低木なので鉢植えにしてベランダなどでも十分に収穫が楽しめます。地植えにすると大きく育って収穫量も増えます。虫が付きにくく無農薬栽培がしやすいことも魅力のひとつです。 ブルーベリーは1品種の苗木でも結実しなくはないですが、たくさん収穫したい場合は同一系統の2品種を植えるとよいでしょう。実が黒みがかった紫色になると食べ頃です。収穫期の実はやわらかいので、下から手を添えてやさしく摘み取りましょう。
フサスグリ
- 花期:4月~5月
- 収穫期:6月~7月
フサスグリは半透明の真赤な果実を実らせるスグリ科の落葉低木です。フサスグリの果実は透き通るような赤色が美しく印象的。酸味が強く生食には不向きですが、ケーキやデザートの飾りつけにしたり、ジャムや果実酒にして楽しみます。
ユスラウメ
- 花期:4月~5月
- 収穫期:6月~7月
ユスラウメは春に梅を小さくしたような花を咲かせる、バラ科の落葉低木です。初夏に実る赤い果実は甘味があり、生食できます。
ユスラウメ
- ユスラウメは、春に梅や桜に似た美しい花を枝いっぱいに咲かせ、初夏にさくらんぼのような真っ赤な小さな果実を実らせる落葉低木。新芽の明るいグリーンも美しく、花も実もない時期も楽しめます。丈夫で育てやすいため、庭木としてもおすすめの果樹です。 熟した果実は生食でき、甘酸っぱい味がしてジャムなどに用いられます。また、ユスラウメは漢方薬としても使われます。 ユスラウメの名は、花が梅の花に似ていることや枝の上部に繁茂して風が吹くと揺れやすいこと、枝を揺さぶって実を落とすことなどからその名が付いたと言われています。また、江戸時代に日本に渡来したときの名「ゆすら」が残り、梅に似ていることをプラスしてユスラウメになったという説もあります。
ほったらかしでもOK!手のかからない果樹3種
ムベ
- 花期:5月
- 収穫期:10月~11月
ムベはアケビ科のつる性常緑木本。アケビと違い常緑で、果実は割れません。その昔は不老長寿の果実と言われていました。ムベは病害虫の被害にあいにくく、育てやすい庭木です。また、青果店やスーパーマーケットではあまり流通していないので、自分で育てることで収穫を楽しむことができます。
ユズ(柚子)
- 花期:5月~6月
- 収穫期:10月~12月
ユズは香りが良いのが特徴のミカン科の常緑高木。主に果皮や果汁を香りづけに使用します。冬至の柚子湯も有名。ユズはあまり手間がかからず実付きが良いので人気の庭木です。
柚子(ゆず)
- 柚子(ゆず)は、ミカン科の常緑小高木で、晩秋から冬にかけて鮮やかな黄色の香り高い実をつけます。柚子(ゆず)は、柑橘系では珍しく耐寒温度が-7℃と耐寒性が高いため、風よけや幹の防寒は必要ですが、南東北地方までなら栽培することができます。 柚子(ゆず)の実は、非常に酸味が強く生食向きではありませんが、吸い口や調味料、ジャムとして使われるほか、強い香りで邪を払うということから冬至の柚子湯には欠かせません。 柚子(ゆず)は、栽培も柑橘の中では容易で、自家結実性があるため1本で実をつけます。枝には鋭く長い棘(トゲ)がありますが、近年では棘のない品種も出回っているので、小さいお子さんがいる家庭では棘の少ない柚子(ゆず)を購入されるとよいでしょう。
キンカン(金柑)
- 花期:7月~8月
- 収穫期:11月~3月
キンカンは直径3cm程の黄色い果実を実らせる、ミカン科の常緑低木。実付きが良く、大した手間をかけずとも結実します。キンカンは果皮を生食し、果肉はジャムや甘露煮などにして楽しめます。
自宅で果樹を育てる楽しみは、花や実りの景色を観賞できる他、流通していない果実の味を確かめられることです。太陽の光を浴びて輝く果実には、花とはまた違う美しさがあります。果樹が庭にあるだけで豊かな景色を楽しめます。1本からでも果樹のある生活を楽しんでみませんか。
▼編集部のおすすめ