植物と人間の性格や生き方について|二宮孝嗣の「自然・植物よもやま話」⑨
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世界のフラワーショーで数々の受賞歴をもち、庭・植物のスペシャリストであるガーデンデザイナー・二宮孝嗣さんによるコラム連載「自然・植物よもやま話」をお届けします。第9回目は「植物と人間の性格や生き方」について、二宮さんと一緒に考えてみましょう。
目次
木を描くと人間の性格がわかる!?
今回は、植物の生育における「天上天下唯我独尊タイプ」と「日和見(ひよりみ)タイプ」の話をしたいと思います。ある人はこれを自形成と他形成と呼びます。
ちょっとここで、植物を使った簡単な性格判断占いをしてみましょう。
まず始めに、みなさん、お手元に紙と鉛筆をご用意ください。
そして、今から10秒で一本の木を思い浮かべて紙に描いてください。
描けましたでしょうか?
以下はあくまで、植物に絡めた僕の考えた占いなので「当たるも八卦、当たらぬも八卦」の余興として読んでいただければと思います。
あなたが描いた木はどんな形?

みなさんの描かれた木は、「クリスマスツリーの様な三角形の木」あるいは「もこもことしたクスノキの様な木」の大きく二つに分かれるのではないでしょうか。
三角形の木を描かれた方は、少数派の「天上天下唯我独尊タイプ」。
はっきりとしたご自分をお持ちの方で、リーダーになるべき方です。少々のことでは自分の主張、生き方を変えないのですが、ちょっと自己中心的です。三角がとんがっていればいるほど、その傾向が強くなります。なので、この方達だけではうまくグループはできません。
この中でも、クリスマスツリーの様に星や鈴をつけた方は「独尊タイプ」。
優しさと思いやり、ユーモアを持ち合わせたリーダーになる方です。根元に植木鉢か地面が描いてあれば地に足をつけた最高なリーダーです。

photo by 二宮孝嗣 日和見タイプ
もう一方の、もこもこの木を描いた方は「日和見タイプ」
グループを引っ張るよりも、皆とうまく調和してリーダーを助けていくタイプです。もこもこの左右の幅と高さが等しければ協調性があり、うまくみなさんと調和していきます。背が高ければ、自己主張が入ってくるので、時々みんなやリーダーと揉めます。背が低い木を描かれた方は、ちょっと自己主張が足りないので優しすぎて頼りがいがないかもしれません。また、木に花や実、あるいは蝶々や鳥を描かれた方は、まだまだ大人になりきれていない子供の心の持ち主で、キツく言われるとめげてしまうので取扱注意な人です。

photo by 二宮孝嗣 落葉樹と針葉樹
みなさんの描かれた絵に、地面はあったでしょうか? 地面を描かれた方は、しっかりと物事を判断してから行動に移すタイプですが、ただまっすぐな木を描いた方は、すぐに話に乗ってしまう軽はずみなところがありますので気をつけましょう。
これ以外に「枯れ木を描かれた方」や「左右非対称の木を描かれた方」は、芸術家タイプなのですが性格にちょっと問題ありで、付き合いにくいタイプかもしれません。
いかがでしたでしょうか?
植物にも性格がある!?

さて、ここから本題に入ります。
植物は、より多くの太陽光を得るために自分の樹形を太陽の高度に合わせます。北半球では、南へ行くほど樹形は丸みを帯び、赤道直下では樹冠は殆ど平らになります。逆に、北へ行くほど細く尖っていきます。
日本は温帯でその中間なので、両方の木が混じり合って森を作っています。照葉樹林や夏緑広葉樹林の中では、少しでも明るい所へ伸びていきたいので、周りの木の形の隙間に枝を伸ばしていく他形成タイプである「日和見タイプ」の樹形が多くなります。落葉樹ではモミジやサクラ、常緑樹ではカシやツバキなど、針葉樹ではマツ、マキの木などがあります。
それとは別に、自形成の「唯我独尊タイプ」には針葉樹が多く、モミやトウヒなどがあります。このタイプは殆ど周りの植物とは関係なく、自分の形にこだわり、頭の上に隙間(ニッチ)ができて日の光が差し込まない限り、何年でも上が開くのを待ち続け、開かなければそこで枯れてしまいます。
植物の性質をふまえて庭の植栽バランスを考えよう

photo by 二宮孝嗣 イギリスの植栽
庭の草花も同じように、多くの草花は「日和見タイプ」で、空いている方に伸びていきます。しかし、デルフィニウム、グラジオラス、百合などは殆ど真っ直ぐ伸びる「唯我独尊タイプ」なので、庭では「日和見タイプ」の中に「唯我独尊タイプ」を少なめにうまく混ぜ合わせると、調和の取れた優しい植栽になるでしょう。
樹木でも「唯我独尊タイプ」の常緑樹を20〜30%、「日和見タイプ」と株物(低木や多年草)を混ぜて植えるとよいです。また、雑木林の庭を造るには、針葉樹や常緑樹をあまり使いませんが、多くの樹木が冬に葉を落とすと少し寂しくなってしまうので、「日和見タイプ」のソヨゴやアオキ、西洋ヒイラギ、サザンカなど、あまり緑が濃くなく優しい樹形になるものを混ぜると、冬でも寂しくなくなると思います。
多くの植物は中間タイプのものが多く、何もなければ円錐形に樹形を作りますが、少し込み入ったところでは他形成に形を変えていく適応力のある賢い植物が多いです。
植物も人間もなんだか共通点があって面白いと思うのは僕だけでしょうか?
ここまで読んでいただき感謝しております。次回は、春の話をしましょう。
▼二宮孝嗣さんのインタビュー記事はこちら

二宮孝嗣(にのみや・こうじ)
ガーデンデザイナー、樹木医。
静岡大学農学部園芸学科卒、千葉大学園芸学部大学院修了。
1975年からドイツ、イギリス、ベルギー、オランダ、イラク(バグダッド)と海外各地で活躍の後、1982年に長野県飯田市にてセイセイナーセリーを開業。宿根草、山野草、盆栽を栽培する傍ら、飯田市立緑ヶ丘中学校外構、平谷村平谷小学校ビオトープガーデン、世界各地で庭園をデザインする活動を続ける。
1995年には世界三大フラワーショーのひとつ、イギリスのチェルシーフラワーショーで日本人初となるゴールドメダルを受賞した。さらに、オーストラリアのメルボルンフラワーショー、ニュージーランドのエラズリーフラワーショーと、世界三大フラワーショーのゴールドメダルをすべて受賞、世界初となる三冠を達成した。ほかにも世界各地のフラワーショーに参加、独自の世界観での庭園デザインで世界の人々を魅了し、数々の受賞歴をもつ。
樹木医七期会会長、一級造園施工管理技師、過去に恵泉女学園、岐阜県立国際園芸アカデミー非常勤講師。各地での講演や植栽・ガーデニングのセミナーなども多数。著書『美しい花言葉・花図鑑-彩と物語を楽しむ』(ナツメ社)はロングセラーとなっている。









































