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【新連載】渡部陽子のナチュラルガーデン講座|宿根草が主役のお庭づくりにチャレンジ!

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渡部 陽子

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ほんの少しアシストしてあげるだけで、植物が自ら毎年育ってくれるのが、宿根草を中心としたナチュラルガーデンです。植物本来の美しさをいかした野趣あふれるガーデンづくりのコツを、植物苗生産の「畑やかとうふぁーむ」で植栽デザイン・工事まで行うガーデンプランナーの渡部陽子さんに紹介いただきます。

目次

植物が自ら根を張り元気に育つお庭

皆さん初めまして。畑やかとうふぁーむでガーデンプランナーをしている渡部陽子と申します。これから毎月、宿根草をメインにしたナチュラルガーデンの作り方や楽しみ方、植物の紹介などをさせていただきます。

さて、皆さんは、植物は育てるものだと思っていませんか?

確かに水をあげたり、肥料をあげたり、剪定をしたりと、植物と向き合ってお世話するのは大切なことですし、楽しいですよね。でもそれが義務感のようになり、ご自身のストレスになってしまっては本末転倒です。

そこでおすすめしたいのが、植物が自ら根を張り元気に育つお庭です。植物が育つチカラを信じて、四季を彩る植物の魅力を感じることができると、日々のガーデニングもきっと楽しくなるはずです。あくまでも植物が主役、人は植物の生育をサポートする存在と考えると気持ちが楽になりませんか?

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野趣あふれる宿根草メインのお庭

私がおすすめしたいのは、宿根草メインのお庭です。

近年、ナチュラルで野趣があるガーデンづくりが人気です。早春の芽吹きから開花や草姿、または葉色を鑑賞し、晩秋の枯れゆく姿も植物の魅力として楽しもうという考え方のガーデンです。

まさに植物が主役のガーデン。植物の美しさは花だけではありません。葉色や穂、草姿などその魅力は無限大。いろいろな角度から植物の魅力を感じてみませんか?

5月上旬の宿根草ガーデン。 セントランサスアルバス、アリウム・マウントエベレスト、バレリアナ・オフィシナリスのさわやかな白花とアネモネが彩を添える晩春

 

グラスの穂やカラーリーフがガーデンの景色をつくり、花に はない美しさが映える秋のガーデンです。

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近年の酷暑にも耐えられる品種選びを

ですが近年は、酷暑にも耐える品種の選定が重要になりつつあります。特に日本の夏は高温多湿。株が蒸れたり病害虫が発生しやすくなり、多くの植物が苦手とする環境です。

暑さや多湿に耐える丈夫な品種でお庭を構成すれば、ローメンテナンスで植物の魅力を存分に楽しむことができるでしょう。近年の酷暑や高温多湿に耐えられるヒーローのような植物を選びましょう。

そのためには、植物の特性を知ることが大事です。植物はその性質や特徴によって、生育環境が違います。

たとえば日向が大好きな植物を日陰に植えると、光を求めて株が徒長して弱々しい草姿になるだけでなく、花を咲かせることができません。

逆に半日陰を好む植物を日向に植えると、葉焼けしてしまったり、暑さで枯れてしまうこともあります。お庭の環境を考えて苗選びをしましょう。

苗を植えるときはデザインやレイアウトも大切ですが、適正な場所に植えることも大事です。このような考え方が、ローメンテナンスなお庭づくりの一歩といえるでしょう。

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スケッチで学ぶ植栽の考え方

では、具体的にローメンテナンスで丈夫な宿根草で構成する四季の移ろいをイメージしてみましょう。

四季の移ろいと共に、ドラマティックに展開するガーデンは、見る人の心を豊かにします。

春には、アネモネやムスカリ、チューリップ、アリウムなどの球根草花、徐々にスカビオサやサルビア、セントランサスなどの宿根草の花々が満開となり見頃を迎えます。

夏には、エキナセアやシルフィウム、ヘリオプシスなどピンクやビタミンカラーの花々がお庭を華やかに彩ります。

秋から晩秋にかけて、秋風に揺れるグラス類や美しいカラーリーフが存在感を増しドラマティックな空間となります。このように植物の生育サイクルを知り、組み合わせることで植物の魅力あふれるお庭を通年楽しむことができます。

【春】球根草花が次々と開花。ピカピカの芽のわくわくを楽しんで

イラスト:渡部陽子

球根草花の開花リレーを楽しむ春。

早春のスイセン、クロッカス、ムスカリ、春のチューリップ、カマシア、晩春のアリウム……など、春の訪れを感じる春ガーデンです。

植えっぱなしでも毎年花を咲かせる、以下のような原種系の品種がおすすめです。

 

チューリップ・リトルビューティ/草丈15cm程。

 

チューリップ・レディジェーン/草丈40cm程。

 

クロッカス・クリームビューティ/草丈5cm程。

 

大小さまざまな球根を秋に植栽。春の景色をイメージしながら、宿根草の間に配置します。とてもワクワクする秋の庭仕事です。

【晩春~初夏】宿根草の花が次々と咲き出し一番お庭が美しい季節

球根草花のリレーが一段落すると、宿根草の花々が咲き始め、ガーデンの景色が一気に変わります。

組み合わせる品種によって見せ方はさまざま。晩春~初夏の植栽の一例を以下でご紹介します。

 

サルビア・カラドンナをリズミカルに配植し、背景にはバーバスカムやジギタリスが華やかに彩ります。

 

スタキス・ビザンティナ(ラムズイヤー)のシルバーリーフがアクセント。さまざまな宿根草の小花がフワフワと風にゆれるガーデン。

【盛夏】酷暑に耐える植物で花が少ない夏も乗り切ります

夏ガーデンは、ビタミンカラーとブルー。暑い夏でもたくさんの花を咲かせる宿根草で楽しみます。

 

畑やかとうふぁーむのサンプルガーデンです。コレオプシスの黄色とヘリオプシスのオレンジ。花壇前方には、シルバーリーフを添えると周りの花を引き立てる効果もあります。

 

おススメの宿根草、ヘリオプシス・ブリーディングハーツ。

花色は濃い赤から橙、黄へと色変わり。ブロンズリーフの茎葉がさらにシック。晩秋まで咲き続け、年々株が大きく生長して、花数も増えますよ。

【秋】ロマンチックな秋庭。カラーリーフやグラス類が秋風に揺れ、美しい夕景を楽しむ

秋風に揺れるグラス、カラーリーフが美しい秋。

夏から晩秋にかけて咲く草花は、秋の深まりをともに美しい発色へと移ろいます。

 

初夏から咲き続けるラベンダーセージとグラス(ミューレンベルギア・リンドヘイメリ)。

 

グラス類と宿根草の花々が調和する秋らしいガーデン。

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植物苗の生産者目線からも伝えるお庭づくり

今回はお庭の四季を彩る植物の魅力についてお伝えしました。

お庭づくりでは、実は見えないところに大切なものがあり、植物を通してお伝えしたいことがたくさんあります。

この連載では、植物苗の生産に携わる私だからお伝えできる、植物との向き合い方をお伝えしながら、お庭のプランニングや植栽など、ガーデニングがもっと楽しくなるようなお庭づくりについてお届けしたいと考えています。

次回はいよいよ春到来、3月に更新予定です。お楽しみに!

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渡部陽子(畑やかとうふぁーむ/ガーデンプランナー) 
造園会社で20年勤務後、宿根草と一年草草花の生産農場畑やかとうふぁーむで生産に携わりながら、ガーデンデザイン、植栽工事まで行う。ライフワークとして、庭や植物の講師活動を通して、植物の魅力を伝えている。

畑やかとうふぁーむ

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造園会社で20年勤務後、宿根草と一年草草花の生産農場畑やかとうふぁーむで生産に携わりながら、ガーデンデザイン、植栽工事まで行う。ライフワークとして、庭や植物の講師活動を通して、植物の魅力を伝えている。

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