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芽出し球根でワンランクアップの春のお庭づくり【渡部陽子さん連載】

ほんの少しアシストしてあげるだけで、植物が自ら毎年育ってくれるのが、宿根草を中心としたナチュラルガーデンです。植物本来の美しさを活かした野趣あふれるガーデンづくりのコツを、ガーデンプランナーの渡部陽子さんに紹介いただきます。

3月のナチュラルガーデン講座
芽出し球根でワンランクアップの春のお庭づくり

春を先取り! 芽だし球根で彩るお庭づくり

さて、いよいよ春のはじまり。私が勤める畑やかとうふぁーむは新潟市内にあります。ようやくあたたかな春の陽射しが植物たちの目覚めを急かしはじめました。地域によっては春の花々が華やかに咲いていることでしょう。一方、雪解けはまだまだ先で、春の訪れが待ち遠しい地域もありますよね。皆さんの地域ではいかがでしょうか。

前回は「四季を彩る宿根草メインのお庭」についてお伝えしましたが、今回は「芽出し球根ポットを植えてワンランクアップの春のお庭づくり」について、お伝えします。

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おすすめの春咲き球根

春咲き球根といえば、ムスカリ、スイセン、チューリップ、アネモネ、アリウムなどなど。

いずれも秋植え球根で、本来は10月中旬~11月上旬頃にプランターや花壇に植えて、春の開花を待ちます。秋植え球根の多くの品種は、寒さに強く育てやすいです。特におすすめは、植えっぱなしでも毎年花を楽しめる原種系品種です。

チューリップ「タルダ・インタラクション」

芽出し球根でワンランクアップの春のお庭づくり

原種系チューリップ。草丈が低く、一年目から愛らしい複数の黄花を咲かせる。一番の魅力は斑入りの葉。発芽からワクワクさせてくれる品種。

アリウム「シュベルティ」

芽出し球根でワンランクアップの春のお庭づくり

草丈は30cm程。大きな花火のような丸いフォルムの花が魅力。お庭のアイキャッチになることまちがいなし。

カマシア「ライヒトリニー カエルレア」

芽出し球根でワンランクアップの春のお庭づくり

草丈50~60cm。濃いブルーの花をたくさん咲かせます。チューリップの開花後に見頃を迎えます。用土を選ばずとても丈夫。毎年、花数を増やす見応えがある品種です。

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芽出し球根ポット苗で春うららなお庭づくり

この時期、ホームセンターや園芸店では、あらかじめ秋に植えた球根がポット苗で販売されています。新芽が出ている、もしくは開花しているポット苗が店頭に並んでいます。

生産者が秋にポットへ植え付けをしておいて、芽出し球根として春に出荷されているのです。

芽出し球根でワンランクアップの春のお庭づくり

早春に店頭に並ぶ芽だし球根苗ポットたち

芽出し球根ポット苗は、寄せ植えやお庭の好きなところへ自由に配置できるメリットがあります。その際、草丈や開花時期(早春~晩春)などを、あらかじめ調べて把握しておきましょう。

芽出し球根ポット苗の配置やデザインについて

では、実際にお庭へ芽出し球根ポット苗を植え付けの際の、配植のコツやデザインについてお伝えします。

苗を購入する際は、お庭へ植え付ける時になるべく発芽したばかりのポットを選ぶことをおすすめします。すでに開花している球根は、コンテナの寄せ植えなどに用いるには華やかですが、地植えする場合は、発芽したばかりのポットを植え込み、しっかり育てると良い花が咲きます。

私が植え付けするときは、草丈やバランス、開花時期、花色をイメージしながら、宿根草の間に配置します。実はここにもメリットが隠れています。

球根植物は比較的暑さに弱いものが多いです。宿根草の間に配植することで、春に球根草花が開花した後、宿根草が生育して葉が茂ることで日陰をつくってくれます。休眠期の球根を暑さから守ってくれるのです。

そして晩秋から冬季にかけて、宿根草が休眠期に入ると、入れ替わりで球根草花が来春の花を咲かせる準備をはじめます。このように植物の生育サイクルを活用することで変化に富んだ庭づくりができます。

一例をご紹介しましょう。

春のお庭づくりの一例:アリウムの芽出しポットを配植

アリウム・パープルセンセーションを、宿根草と配植した事例です。

宿根草の間にアリウムのポット苗を、ラインを描くようにリズミカルに配置しました。

 

芽出し球根でワンランクアップの春のお庭づくり

植え付けからおよそ1か月経過。ブルーを基調とした植栽デザインの中に、リズミカルに丸いフォルムのアリウムセンセーションが咲く。変化に富んだ春の庭となります。

このアリウムは5月上旬~中旬にかけて咲くので、晩春に咲く宿根草と組み合わせるとよいでしょう。

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配植のコツはまとめて島状に

前述しましたが、ポット苗購入の際にはその品種のことを知ることが大切です。開花時期や草丈、小さな球根なのか大きな球根なのか。把握しておくとイメージしやすいでしょう。

春咲き球根の多くは、球根1個に対して花は一輪と考えましょう。来春には分球して花数が増えていきます。ムスカリや原種系チューリップなどもその傾向があります。お庭に配植する場合、草丈が低いものは花壇の前面に島状(5ポットぐらいずつ)に何か所か植えると見映えがします。

開花後の生長を考慮して、植え付け間隔を10~15cm間隔にするとよいでしょう。バラバラに配置すると寂しい印象になり、球根草花の魅力が発揮されないかもしれません。

芽出し球根でワンランクアップの春のお庭づくり

エレムルスやフリチラリア、ディケロステンマ・コンゲスタムなどの春咲き球根草花から、晩春、初夏に咲く宿根草苗を組み合わせたレイアウト。草丈や花色をイメージして配置します。

 

芽出し球根でワンランクアップの春のお庭づくり

植え付け間隔を10~15cm間隔で。草丈の低い品種を前列に植えて、高低差でリズムをつけます。

推し花はアネモネ

私のおすすめは、アネモネです。次々とつぼみが上がり、花も長い間楽しめます。草丈は開花時で30~40cm。春先に地上部がなくなり休眠している宿根草の間に植えると、早春にいち早く華やかで愛らしく咲きはじめます。

アネモネはさまざまな品種がありますが、草丈20~30cm程の華やかな花色のものを雰囲気に合わせてレイアウトしましょう。

上写真は芽吹きが遅いホスタの間に配置した事例。

 

芽出し球根でワンランクアップの春のお庭づくり

こちらは、グランドカバーのベロニカ・マダムマルシア(ブルーの小花)とブルー系の濃淡が美しいアネモネを合わせた事例。

寂しくなりがちな春のお庭。球根の芽出しポットを活用して、早春から彩り豊かな春をぜひ楽しんでみませんか?

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渡部陽子(畑やかとうふぁーむ/ガーデンプランナー) 
造園会社で20年勤務後、宿根草と一年草草花の生産農場畑やかとうふぁーむで生産に携わりながら、ガーデンデザイン、植栽工事まで行う。ライフワークとして、庭や植物の講師活動を通して、植物の魅力を伝えている。

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