グリーンあふれる吉祥寺の花屋『hibi』

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青沼綾乃

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東京・吉祥寺駅から少し歩いたところに、花屋『hibi』はあります。普通花屋と言えば、歩いている人の目に留まりやすいように1階に店舗を構えていますが、hibiはビルの3階が店舗になっています。店主である久野恭子(ひさのきょうこ)さんに、そんなお店への想いや、コンセプトを語っていただきました。

お店の成り立ち

まず一番初めに気になるのは、やはりhibiの立地。ビルの3階に緑が見えています。



「もともと、知り合いのご夫婦がギャラリーとしてこちらのスペースを使っていて。その方から『今度ここで何かやってみない?』というお誘いがありました。当時は店舗は構えてなくてフリーで生け込み中心のお仕事をしていたので、では3日間だけの花屋『移動花屋』をやってみようと思ったんです。サーカス団が年に数回街にやってくる、みたいな。みんながやって来るのを楽しみにしているような花屋がしたいと思ったんです。」と、久野さん。


その後そのスペースをご夫婦が手放してしまうということで、「この場所なら!」と2012年に開店。「3階だと人通りも目に入らないし、本当にお花が好きな人が、じっくり選んだりお話しするにはもってこいだと思ったんです。」という久野さんの言葉通り、半分ガラス張りの開放的なhibiの店内は、花屋というよりも、美術館に来たようです。居心地の良さからか、自然と滞在時間が長くなるお客さんが多いのだとか。

日常に植物を取り入れてみること

『日常の中に植物を。』ということを、久野さんは一番大切にされています。「みんなパンは気軽に買いますけど、お花ってまだそこまで日常的な感じではないですよね。同じわけではないですけど、『今日は何を買って帰ろうかな』という時の、ワクワク感を買って欲しなって思います。」と、久野さんは言います。

 

草花・枝ものを中心としたセレクト

お店に入った瞬間から、色んなものをまんべんなく、たくさん置いているのではなく、久野さんが厳選したものたちが並んでいる!という印象を受けました。

仕入れの際は、「わざわざ3階まで来るお花好きのお客さんに対してですから、これなんだろう?と印象的なものを市場でセレクトしています。またhibiには市場からでなく、生産者さんから直接届けてもらうものもあります。鮮度が良いのはもちろんですが、畑から切り取ったような風景が店内に広がりますし、大自然の中で好きなだけ風や雨、太陽にあたって育ってきた草花は、とても魅力のある姿をしているんです。そういうところも『美』だと思っています。」と、久野さんならではのこだわりがありました。

 

白い壁に映える枝ものが多くある店内で、その自然な動きをじっくり見てみると、その繊細な動きに心奪われていきます。物にもよりますが、大きくてご自宅の花瓶に入りきらないものは、部分売りもしてくださるそうです。

 

こちらの花束も、グリーンを中心に構成されています。アースカラーを好んで着ている方へのプレゼントにしたいなぁ、と思わず想像してしまいました。「葉っぱラブ!」と宣言されるだけある、久野さんのグリーンへの愛情溢れる花束です。

空間を演出できるお花の力

久野さんがお花を好きになったのは、昔見つけた花屋さんがきっかけだと言います。「昔お花というとキーパー(冷蔵庫)に入れてるところが多くて、とてもじゃないですがディスプレイしているとは言い難いお店が多かったと思うんです。でもその花屋さんは、キーパーはもちろん無くて、花を売っているというより飾っているという印象を受ける花屋さんでした。自分はあまりカサブランカに魅力を感じてなかったんですが、そのお店のカサブランカを見た時、素敵だな。って素直に思えて…置く場所やディスプレイする気持ち、何より人やお店によって、花の印象は違うんだということを知りました。」

 

1800年代のアラビアのピッチャーを器に、そしてさりげなく置かれたチランジア。こちらには、「洋服とか、小物とかはよく買いますよね。それと似たように、自分に投資する一つとして、フラワーベースも良いものを一つでもいいから買って、日常にそれに触れることで美意識を高めてもらいたいんです。」という、久野さんの密かな想いが込められています。店内のディスプレイを見ていると、そんな想いや、器と植物のバランスも知っていただきたいという気持ちが伝わってきます。

さいごに

久野さんに、今後のhibiのあり方について聞いてみました。「今まで通りにやっていけたらと思います。華やかなお花ではないけれども、心には響く、買う瞬間も、家に飾る時間もワクワクする気持ちがわかる店でいたいと思います。」

ー久野さん、ありがとうございました


インタビューにとても穏やかな雰囲気で答えて下さった久野さん。しかし根っこには、草花に対する熱い気持ちを感じました。確かに、お店に入る瞬間、少しドキドキしてしまう花屋かもしれません。しかし、一歩店内に足を踏み入れれば、久野さんによって最大限魅力を引き出されたお花や枝ものが、心地よく迎えてくれるはずです。吉祥寺に遊びに行く際は、ぜひ螺旋階段を上って、hibiの扉を開けてみてくださいね。

 

『 hibi』のショップ詳細をみてみよう!

hibi

  • 最寄駅 : 吉祥寺駅
  • アクセス : 吉祥寺駅北口から徒歩5分
  • 住所 : 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-16-13-3F/R

2012年から吉祥寺のビルの3階に店舗を構える花屋。草花や枝ものが好きな店主の久野さんが選んだこだわりの空間は、美術館のような雰囲気。落ち着いてゆっくりお話ししながら、自分にピッタリのお花を選べる場所です。

 

 

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青沼綾乃

静岡県の山、海、川に囲まれた自然豊かな町で生まれる。昨年から育て始めたフィカス・ウンベラータの葉が冬に全て枯れて落ち込んでいたところ、春にたくさん葉を付けてくれたことから植物の世界への興味が急上昇し、現在観葉植物たちとの生活を充実させようと奮闘中。将来の夢は熱帯植物の中でイグアナと猫とのんびり読書して暮らすこと。

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