お庭のデザインをしてみましょう! 植物の個性を楽しむイメージスケッチ【渡部陽子さん連載8月編】
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残暑厳しい日々が続いておりますが、少しずつ夜温が下がり、農場の植物たちも元気を取り戻しつつあります。
さて、先月はお庭の平面図の描き方、縮尺についてお伝えしました。今月は植物の特徴を捉えながら、イメージスケッチを描いてみましょう。
植物の個性を楽しむイメージスケッチ【8月編】
スケッチには水彩絵の具がおすすめ
私がイメージスケッチで使うのは、水彩絵の具です。おすすめポイントは下記の2つ。
①道具が少なくお手軽な点
水彩絵の具、筆、パレット、スケッチブック、水入れ(ジャムの空き瓶など)、ティッシュペーパーがあればOKです。絵の具は乾いても水で溶かせば使うことができるので、パレットはそのまま使い続けることができます。だから片付けも簡単。
②無限に表現できる色
植物の花弁や葉色など、微妙な色合いや濃淡を表現するのはとても難しいことです。水彩絵の具は、色の調合で無限に色を表現できます。水でぼかしたり、にじみを楽しんだり、自由に描いてみましょう。
お手軽に簡単に揃うものばかり。絵の具は不透明のタイプを使っています。おすすめの消しゴムは「ねりケシ」。細かいところもしっかり消せます。
まずは水彩絵の具に慣れましょう
水彩絵の具は水を加えて描くことで、ぼかしてみたり色を重ねてみたり、表現は無限です。筆に含ませる水の加減に慣れるとどんどん上達します。
空の色をグラデーションで表現してみます。夕暮れ時の空を描いてみましょう。
マスキングテープで用紙を止めます。そしてたっぷりと筆で水だけ含ませます。
濃いブルーを塗ります。にじんでも気にせず楽しんで。
用紙の下からオレンジをのせます。先ほどのブルーと混ざりあいグラデーションが生まれます。
乾いたらマスキングテープをそっと剥がして。完成です。
植物を描いてみましょう
さぁ、水彩絵の具に慣れてきたところで、植物を描いてみましょう。少し繊細な筆の動きが必要になります。
まず最初にお伝えしたいことは、「上手い、下手は関係ない」ということです。
絵が苦手、下手だから……という方が多くいらっしゃいますが、植物を知る時間と捉えてくださいね。
植物を観察したり調べてみたり、その時間も楽しんでください。花弁の数や葉のつき方、草丈など描くために必要な情報を集めてみましょう。
今回は「エキナセア・プリマドンナディープローズ」を例にとって描いてみます。
この品種は濃いピンクの花弁が美しく、草丈は80cm程になります。開花は6月~9月。耐暑性・耐寒性に優れ、とても育てやすいです。
花弁は細長く放射状に広がります。葉は茎に互い違いにつきます。このつき方を「互生」といいます。
下描き。花弁は線で描きます。
花弁は中心から先ほど描いた線に沿って筆で描きます。
茎、葉を描いて完成です。
植物を組み合わせて描いてみましょう
植物の草丈や草姿のバランス、生育環境が同じもの、実際植え込む時のことを意識しながら描いてみるのもよいでしょう。もちろん大好きな植物を描くことからスタートするのおすすめです。
≪描く手順≫
①鉛筆で大まかな下描きをして、全体のバランスを確認します。
②花付きの植物を描くときは、花から先に描きます。
③葉や茎を描きます。
いろんな角度から植物を楽しむ
植物の魅力をいろんな角度から楽しんでいただきたいと思い、そのひとつとしてお庭づくりを意識しながらスケッチを描くことをご紹介しました。
植物には「育てる」「香り」「食」「音」「飾る」「写真を撮る」「観賞する」「クラフト」そして「描く」など、さまざまな発見や喜び、学びがあります。植物から学び楽しむことができますね。
皆さんそれぞれのライフスタイルや考え方に合わせて植物と暮らしてくださいね。
渡部陽子(畑やかとうふぁーむ/ガーデンプランナー)
造園会社で20年勤務後、宿根草と一年草草花の生産農場畑やかとうふぁーむで生産に携わりながら、ガーデンデザイン、植栽工事まで行う。ライフワークとして、庭や植物の講師活動を通して、植物の魅力を伝えている。