ボタニカルピープル 『道草』石河英作さん 「身近な植物で育てる楽しみを感じて欲しい」

土屋 悟

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センスの良い苔テラリウムで人気の苔クリエーター、石河英作さん。最近はテレビ出演や書籍の出版など、様々な分野で活躍中です。そんな石河さんが、どのようにして植物と触れ合う仕事に就き、苔と出会ったのかをうかがってきました。

目次

プロフィール

■名前:石河英作 ■職業:苔クリエイター ■出身地:東京都 ■居住地:東京都大田区 ■ボタニカル歴:20年くらい

■名前:石河英作
■職業:苔クリエイター
■出身地:東京都
■居住地:東京都大田区
■ボタニカル歴:20年くらい

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苔とはどのようにして出会ったのですか?

農業系の大学を卒業してから、ランの育種や生産を行う種苗メーカーに就職しました。  その会社では和のテイストを感じさせるランの品種をたくさん開発していて、開花株を出荷するときには、株元に苔を貼っていました。盆栽でも鉢土の表面に苔を貼って、長い時間を経ていることを表現したり、しっとりとした風合いを添えることがありますが、それと似たことをランでもやっていました。

農業系の大学を卒業してから、ランの育種や生産を行う種苗メーカーに就職しました。

その会社では和のテイストを感じさせるランの品種をたくさん開発していて、開花株を出荷するときには、株元に苔を貼っていました。盆栽でも鉢土の表面に苔を貼って、長い時間を経ていることを表現したり、しっとりとした風合いを添えることがありますが、それと似たことをランでもやっていました。

当時はあくまでもランがメインなので、苔は添え物。ランを買った人は、ランを育てるための水やりや手入れはしてくれますが、添え物の苔にまで細かく手入れをしてくれることは多くはありません。苔に目を向けて育ててくれる人が少なく枯れてしまうのが嫌だなあ、と思ったのが苔を意識し始めたきっかけですね。

それと同時に、仕事で扱うようになって、苔に関心を持つようになったというのもあります。苔の図鑑を調べていくと、国内だけでも1700種以上の苔が自生していることや、それぞれが異なる環境で生きていることなどを知り、だんだんと興味が増していきました。

中には育てるのが難しいものもありましたが、難しいからこそうまく育ててみたいと思い、自分でもいろんな苔を育てるようになりました。

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苔を仕事にしようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

2013年に会社を辞めて独立したんですが、最初は苔だけではなく、もっと色々な草花なども扱ってたんです。身の回りにある草花を通じて、植物を育てたり触れたりする喜びを伝えたいと思っていて、苔もその中の一つという感じでした。

2013年に会社を辞めて独立したんですが、最初は苔だけではなく、もっと色々な草花なども扱ってたんです。身の回りにある草花を通じて、植物を育てたり触れたりする喜びを伝えたいと思っていて、苔もその中の一つという感じでした。

本との出会いから見つけた苔の楽しみ方を伝えたい。

苔は昔から盆栽で使われていましたし、1990年代からは苔玉などもポピュラーになってきていました。どちらの場合もほかにメインとなる植物があって、苔はあくまでもその添え物。盆栽の本にも苔玉の本にも苔のことは触れられていますが、苔が主役になった園芸書はなかったのです。もちろん専門的な苔の図鑑はありましたが、一般的な家庭園芸の本ではなく、アカデミックな学術書でした。

苔というのは今ほど注目を集める植物ではなかったのですが、2011年に藤井久子さんが書いた『コケはともだち』という本が出版されました。アカデミックなアプローチではなく、コケを楽しもうというスタイルがとても新鮮でした。

この本と出会ったことで、苔は今までともっと違う楽しみ方ができるのではないか、と考えるようになりました。

独立前の経験から得たことを活かしたい。

独立前から自宅で苔を育て、ほかの植物と一緒にフリーマーケットやハンドメイド製品を売るようなマルシェなどに持っていき、売っていました。

また、ワークショップで苔玉作りなども行っていたのですが、どうしても枯らしてしまう人がいたことがきっかけでした。

いろいろ試していくうちに、湿度が高い状態を好むコケをビンに入れた方が失敗しにくいことに気づいたのです。そこで、ほかにやっている人がいなかった苔テラリウムに特化したのです。苔玉はすでに多くの人がやっていたので、独自のものをやりたいというのもありました。

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独立後はどうやって仕事を軌道に乗せていったのでしょうか?

苔のテラリウムは今までにない商品だったので、とにかくいろんな人に見てもらおうと思ったのです。そこで、大きな園芸店などを訪ねて、商品を置いてもらいました。大きな園芸店だと、ほかの園芸店の人も視察に来るので、そういう人の目に留まり、注文してくださることもありました。

苔のテラリウムは今までにない商品だったので、とにかくいろんな人に見てもらおうと思ったのです。そこで、大きな園芸店などを訪ねて、商品を置いてもらいました。大きな園芸店だと、ほかの園芸店の人も視察に来るので、そういう人の目に留まり、注文してくださることもありました。

とにかく今まで市場がない商品だったので、どのくらい作っておいたらいいのか予想がつかず、戸惑うこともありました。

また、苔の栽培については一般的な園芸としては情報があまりなかったので、ブログなどで情報を発信して、今も続けています。

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仕事をしている中で気をつけていることはありますか?

独立前に扱っていた苔玉は、作った人が枯らしてしまうことが多かったのです。  一度失敗すると、再チャレンジはなかなかしてくれない。だから、できるだけ失敗が少なくなるよういつも考えています。

独立前に扱っていた苔玉は、作った人が枯らしてしまうことが多かったのです。

一度失敗すると、再チャレンジはなかなかしてくれない。だから、できるだけ失敗が少なくなるよういつも考えています。

苔テラリウムはフタをしたままでも失敗が少ないのが特徴。自分でテラリウムを作りたい人が失敗しない苔選びができるような情報を出すようにしています。

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\苔テラリウムに興味を持つのは、どんな人が多いですか?/

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土屋 悟

長野県松本市生まれ。早稲田大学第二文学部在学中より雑誌編集部でのアルバイトの延長でライター活動を始め、卒業後もフリーライターとして活動。 その後、編集プロダクションをいくつか経て、2009年より約9年間NHK出版「趣味の園芸」テキストの編集兼ライターに従事。 最近は湿度を好む植物、特に着生ランをいろいろ育ててます。 また、ガラスケースとLEDを使った屋内での植物栽培、窓がないトイレで育てるパルダリウム「トイレリウム」などもやってます。ときどき実家の庭の手入れもしており、庭仕事では剪定が好きです。【twitter】 @tutti0514 【Instagram】 @satorutsuchiya_

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