冬はなんだか赤い実が多く見られる。鳥たちが上空から見た時に、緑の葉が落ちた中で赤は目立って、よく食べてもらえるためという説があるそうですよ。冬に見られる赤い実の植物をいくつかピックアップしました。名前の分からなかった赤い実の植物はありましたか?
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センリョウ

お正月によく見かけるセンリョウ(千両)。背丈は1メートルもない低木で、ギザギザの葉の中央に赤い実がつきます。次に出てくるマンリョウと間違われやすい植物ですね。鳥たちはマンリョウよりもセンリョウの赤い実の方が好みらしく、先になくなるのはセンリョウのことが多いです。
- センリョウ(千両)は、山林の湿った半日陰地に自生し、晩秋に赤い実をつけるセンリョウ科の常緑低木です。極端な乾燥には注意が必要ですが、丈夫で育てやすい樹木です。
初夏に新梢の先端に穂状に小さく黄緑色の花が咲いたあと、直径5~6mmのツヤツヤした実をつけ、晩秋に赤く熟します。別名「草珊瑚(クササンゴ)」と呼ばれるほど鮮やかな色合いの実は、花が少なくなる冬に、庭木として明るい彩りを添えてくれます。
古くからナンテン(南天)やマンリョウ(万両)とともに縁起の良い木として親しまれ、お正月用の生け花の花材にも使われてきました。全国の花の卸売市場では、12月の半ばごろ、年に一度「千両市」というセリが行われ、そこで仕入れたセンリョウ(千両)が12月後半から店先に並びます。
センリョウ(千両)は、もともと仙蓼(センリョウ)と呼ばれていましたが、江戸時代に千両へと変わりました。その理由は、同じ赤い実をつける縁起の良いマンリョウ(万両)に似ているものの、マンリョウ(万両)より実つきが少ないためセンリョウ(千両)と呼ばれるようになったと言われています。
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マンリョウ

こちらも名前がおめでたいことから、センリョウと一緒に並ぶことが多いマンリョウ(万両)。背丈はセンリョウと同じくらいで、マンリョウは葉の下に赤い実がつき、幹をぐるりと囲うように実ります。センリョウはセンリョウ科ですが、マンリョウはサクラソウ科なので、種類も全く違う植物です。
- つややかな赤い実と常緑の濃い緑色の葉がお正月の縁起植物として定番のマンリョウ(万両)。千両(センリョウ)と並んで古くから庭木として愛されています。 よく似た両者ですが、万両(マンリョウ)の方が実が大きいため、額の多い万両と名づけられました。
マンリョウ(万両)は日本の暖地に自生しています。寒さにそれほど強くないので、関東地方以西であれば庭植えで育てられます。
樹高1mほどとコンパクトにまとまり、剪定はほとんど必要なく、葉が落ちて間延びした枝を切り詰める程度です。やや日陰でも生長し、とても育てやすい植物です。
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ピラカンサ

ピラカンサはバラ科の植物で、トゲが多くあるのが特徴です。冬に赤い実をつけます。また実におへそのような切れ込みがあるのがバラ科の植物の特徴でもあります。防犯上の理由からトゲのあるピラカンサを好んで植える家が多く、庭木や玄関などに多く植えられています。枝が良く伸びるので生垣などにも使われていますよ。
- ピラカンサは庭木や生垣として人気のあるバラ科の常緑低木です。春の終わりから初夏には小さな真白な花を枝いっぱいにたわわに咲かせます。秋から冬にかけては枝をしなるらせるほどにたくさんの果実を実らせます。あまり手をかけずとも毎年結実してくれるので、庭木として人気の樹種です。枝には細かいトゲがあり、常緑ということもあって、生垣として利用されることも多々あります。
ピラカンサというのは、ピラカンサ属の樹木数種類を指して使われる呼称です。赤い果実を付けるトキワサンザシ(Pyracantha coccinea)の他、黄色い果実のタチバナモドキ(Pyracantha angustifolia)などがあります。
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ナンテン

ナンテンも「難を転じる」と言われ、庭木に多く使われてきました。日が当たりにくい場所でもよく育つので、家の北側の方に植えられていることが多いです。ナンテンの赤い実はブドウの軸をひっくり返したような形になります。冬になれば、葉も赤く紅葉していることが多く、寺社仏閣などでもよく目にします。背丈は1~2メートルほどの低木です。

ちなみに赤い実ではないですが、変わり種の白い実のナンテンもありますよ。色が変わるだけで、雰囲気も変わって面白いですね。
- 南天(ナンテン)は、赤い実がお正月の花材として欠かせないメギ科の常緑低木で、古典園芸植物の一つです。日本では関東以西で自生し、栽培も容易です。初夏に白い花が開花しますが、一般的には赤い実の季節の冬が鑑賞期で、もっとも目立つ時期です。
南天(ナンテン)は、冬でも濃い緑が茂る様子や赤い実をつける特徴から縁起物として好まれ、古くから魔除け、厄除け、無病息災を願い、多くの家庭で栽培されてきました。
和名の「南天」は、難を転じる「難転」や「成天」の意味合いで、不浄をはらうために玄関やお手洗い、鬼門と呼ばれる方角に方位よけとして植えられるようになりました。
南天(ナンテン)は観賞するだけでなく、実を焼酎、氷砂糖とともに漬け込んだ南天酒は咳止めや喉の痛みなどの民間薬として利用されてきたほか、「南天のど飴」として販売されています。
お赤飯や煮物、魚など、料理の上に乗せられる南天(ナンテン)の葉は、縁起物としてだけではなく、防腐や殺菌を目的として使われています。
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クロガネモチ

こちらは高木の樹木で、大きいもので10メートルほどまで育ちます。高い木の上部にビッシリと赤い実がつき、鳥たちも食べるものが少なくなった頃に食べに来るので、長く赤い実を楽しめます。こちらも庭木や寺社仏閣に多く植栽されている樹木で、雌雄異体なので赤い実がつくのは全てメスの木になります。
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気になる赤い実はありましたか?
すでに鳥たちがついばんでしまっている実もあるかと思いますが、少しでも赤い実の植物を覚えてもらえると嬉しいです。
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