黒の空間で、花の持つ魅力を堪能。下北沢の花屋『milcah』
青沼綾乃
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下北沢の南口の商店街の道を少し横に入ったところに、『milcah』はあります。美容師の方や、感度の高い方からオーダーが絶えないお店です。店主の山田英輔さんに、milcahの魅力について伺ってきました。
お店の成り立ち
東北のご実家が花屋の山田さん。学生時代から、なんとなく花屋の道に行くと思っていたそうです。
22歳から花屋で働き始め、一通り自分で出来ると思ったタイミングで独立。下北沢には特にこだわりはなく、本当は「山の奥とかでゆっくりやりたかったです。」と教えてくれました。
お店の名前のmilcah(ミルカ)は、男性的な響きと女性的な響きが混ざった名前がいいということで、決められたそうです。
本当に花が好きな方が来てくれるお店にしたい
「街のお花屋さんではなく、milcahの花が本当に好きで、来て下さる方が多い店にしたいという想いから、店構えも黒で統一し、あえて少し入りにくい雰囲気にしています。」最初はお客さんが来てくれるか不安だったそうですが、置いてあるお花には絶対の自信があったという山田さん。今ではmilcahにお花やアレンジを頼む方が足を運び、全国からオーダーが来ています。
一回入ってしまえば、落ち着く店内でのお花選びがついつい長くなる方も多いのだとか。
milcahのお花選び
なんとなくある花が、一番いい
お花の仕入れについて質問すると、「そのお花がないと寂しいけれど、主張しすぎる花は違うと思うんです。頭の片隅にふんわり残るようなお花を選んでいます。花が主役にはならないように。」と、答えて下さいました。”自分の生活にもうちょっと、もう少しなにか欲しいな”と思う時にmilcahの花が、キッカケになればいいという山田さんの想いが、店内の生花に関わらず、ドライフラワーや様々なものに込められています。
こちらのセッカケイトウは、生産者さんからすればハッキリとした色に染まってくれなかったと思うものですが、この微妙な淡いグラデーションが、山田さんの心を捉えるそうです。
正面が分からないアレンジ
山田さんが作るお花のアレンジやブーケは、あえて花の中心を決めていないそうです。言い換えれば、どの角度から見ても面白いように作っているんだとか。こちらのコーンを使ったオーナメントも、回してどこから見ても、違う表情をみせてくれます。アルチンボルドの絵画のよう。
他の花屋さんから「そこまで細かくやるの?」というくらい緻密なアレンジが山田さんの持ち味です。こちらも主役の花を決めて、というよりは、細かなものが集まって、統一感を出しています。2~3時間かけて集中して作られるそうです。
アレンジに使うドライフラワーも、瓶に入れられて綺麗にディスプレイされています。(販売はしていません)
自分の色をもって、提案できる花屋
この日取材中に、お店の移転に伴いガーデニングの依頼をmilcahさんにしている美容師の方が訪ねてきました。ただ右から左にお花を売るのではなく、お店の特徴を持ち、提案できるている花屋さんが、今の時代に求められているのだと思います。
さいごに
今後のお店について伺うと、最初に言っていた「静かな場所でお店を出したい。」という想いが山田さんの中に変わらずあるようです。「地方の自然の中で収穫したもので、花屋ができればいいなって。でもクオリティーは東京の花屋に負けない、みたいな。わざわざその花屋を目的に、東京から地方に行く!くらいのお店ができればと思います。」と、語ってくれました。農業にも大変興味があるようで、生産者×花屋オーナーが山田さんの目指す場所なのかもしれないですね。そんな花屋ができれば、また新しい花屋のカタチがうまれそうです。
「好きなことを仕事にして、最近は仕事の幅も広がって、とっても楽しいです。定休日でも仕事があれば出ちゃいます。」というくらい、花屋とお花に対する愛が深い山田さん。元々理系出身ということもあり、「なんでこういうお花の形になるんだろう?」というお花の成り立ちから気になるのだとか。下北沢というと「若者の街」というイメージですが、milcahさんの店内はとても落ち着いた雰囲気で、じっくり花と向き合うことができます。山田さんが作った、店内に吊るされているオーナメントを見るだけでも、行く価値があると思います。ぜひ、足を運んでみてください。
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