タイツリソウ(ケマンソウ)|ハートの形をした多年草
とまつあつこ
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タイツリソウ(ケマンソウ)
トゥデイズプランツ、今回ご紹介するのは「タイツリソウ(ケマンソウ)」。春にユニークな形の花を咲かせる、ケシ科の耐寒性多年草です。
タイツリソウは4月~5月頃、枝垂れた茎にハートの形をした花を連ねて咲かせます。釣り竿にたくさんの鯛がぶら下がっているように見えることから鯛釣り草(タイツリソウ)という名が付きました。
タイツリソウは、別名でケマンソウとも呼ばれます。ケマンソウという名は、仏堂の装飾具として使われる「華鬘(けまん)」が語源となっています。華鬘は、華やかな草花で作った髪飾りという意味があり、仏像の前に吊り下げて顔が隠れるような形で使われます。華鬘がこの花の形に似ているため、ケマンソウという名前が付いています。
全体に華奢で柔らかく、葉がボタンの葉の形にも似ています。そのため、フジボタンなどとも呼ばれることもあります。
今年も庭の小さなスペースでタイツリソウが咲き始めました。タイツリソウは白やピンク色がありますが、私の育てているものは白色です。とても爽やかで可愛らしく、何となく花の妖精のようなイメージがあります。
タイツリソウは森林などの湿った場所に自生している植物なので、直射日光や西日が当たらず、木漏れ日が差すくらいの明るい日陰や半日陰のようなやや湿った場所を好みます。例えば落葉樹の下は、夏は程よい日陰になり、葉焼けや高温を防いでくれるのでおすすめです。寒くなると休眠して地上部が枯れますが、水が切れなければ根が生きているので春にまた芽吹きます。
咲き始めはハートをモチーフにした垂れ下がるイヤリングのような形で、咲き進むと徐々に下に垂れ下がった部分の細い花びらが外側にくるんと巻き上がります。その姿はとってもユニークで、立派な髭のように見えたり、妖精やクリオネの可愛い姿などを連想してしまいます。
タイツリソウの花言葉「あなたに従う」は、ハートの形の花が等間隔で垂れ下がる姿が従順なイメージにつながることから付けられました。「恋心」は、ハートの形をした蕾の可憐な姿が由来とされています。
見た目はとても可愛いタイツリソウですが、実は全体に毒があると言われています。くれぐれも誤って食べないように注意しましょう。
タイツリソウが咲くと、寒い冬を越え、人も植物も過ごしやすい季節が来たことを実感するとともに、その可愛い姿を見て今年も会えたねと嬉しい気持ちになります。一年に一度しか咲かないけれど、毎年咲く多年草。タイツリソウは、環境が合えばほとんど手をかけなくても育つ丈夫な植物です。ぜひ育ててみてくださいね。
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