築100年の繭蔵をリノベーションした花と器のお店、草の音さんをレポート!
小野寺葉月
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長野県伊那市にある繭蔵をリノベーションしたすてきなお店、「花と器 古道具 草の音」さんにお邪魔しました。
築100年の繭蔵(まゆぐら)
1910年に上田で上田蚕糸専門学校が開校した同じ時代に建てられた繭蔵。伊那市に残る最後の一棟であるこちらの繭蔵が取り壊しの危機にあるという状況を知ったグリーンファームの代表、小林さんが歴史ある建物を守ろうと立ち上がり、この建物が残ることになりました。
長野と養蚕
長野県は戦前養蚕がさかんな地域で、蚕からとることができる生糸(絹糸)は国内外への輸出品として重要な産業の一つでした。現在の信州大学繊維学部(繊維に関する論文数は世界一なんだそう)は日本の国立大学で唯一残る繊維の名前を冠する学部ですが、その前身は1910年に創立された上田蚕糸専門学校です。蚕業を教育する学校まであったほど、長野は養蚕に力を入れていたのですね。こうした養蚕教育が養蚕産業を発展させた要因の一つとして挙げられているそうです。繭をつくる蚕をお蚕様と呼び、まつった神社などもあるくらい、大切にされてきた文化です。
母体となる産直市場グリーンファーム
産直市場グリーンファームは広大な敷地の中に、産地直送の食品やビニールハウス2棟分の鉢植えや盆栽、生花のほか、動物と触れ合えるコーナーがありますが、骨董品の展示販売も大々的に行っています。骨董も生花も仕入れは一括でグリーンファームがとり行い、そこからセレクトするかたちで「花と器 古道具 草の音」さんで販売をされています。
JR飯田線の伊那市駅から徒歩五分ほど、線路わきに草の音さんがあります。駐車場もあるので車での来店も可能です。
繭蔵時代の面影を残す店内
大きなガラスの引き戸を開けて中に入ると・・・右手にすぐ、幅の広い木の階段があります。その奥、生花が並ぶガラステーブルの奥には壁面に並ぶカラフルな包装紙のグラデーション。正面から左手には古道具や骨董が静かに陳列されています。
生花ご担当の唐澤さんは、もともと箕輪にあった草の音の前身、生花店の「草の音」時代から携わっておられます。移転し、この繭蔵がオープンするのに際してこちらで生花のご担当として働かれています。
「繭蔵は冬は寒いですが夏は涼しい。窓が少なく直射日光が入らないので花にとってはいい環境です。環境が一定しているので、冷蔵庫がなくても花の鮮度を保つことができます」とのこと。床からの冷気もあるため働いている人には冬は厳しいそうですが、花にとっては最高なんですね。
「値段も明確化して、お客様に選んでいただく楽しみを提案するよう心がけています。ショーケースのない生花店は東京は多くてもこちらではあまりないのですが、見やすく買いやすい売り場を作るようにしています。骨董とお花の組み合わせを楽しむように選んでいただけたら」とおっしゃっていました。
毎日の花を求めに来店される常連さんから、贈答用のブーケなどを買い求めに来るお客様、骨董を眺めていく常連さんなどさまざまなお客様がいらっしゃる店内。毎日のお花を買い求めに来てそのまま骨董のほうを見て、お皿や小さいものなどを買っていかれるお客様もいるそうです。
お花以外にも古道具のあるすてきな店内
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