まだ見ぬ植物との出逢いを求め、世界を奔走する又右衛門さん!トークセッションレポート
金子三保子
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又右衛門さんは、まだ見ぬ植物との出逢いを求め、世界を奔走する植物貿易の第一人者。
2018年8月15日、又右衛門さんと、株式会社ストロボライト代表石塚とのトークセッションが、首都圏最大級のガーデンセンター「OZAKI FLOWERPARK (オザキフラワーパーク)」(練馬区)にて行われました。
2人の植物への熱い想いで白熱するトークとなったセッションの内容を選りすぐってご紹介します!
目次
■Tokyo Wonder Botanical Summer!30days! ~又右衛門 Plants 展示~
Tokyo Wonder Botanical Summer!30days! ~又右衛門 Plants 展示~
まだ見ぬ植物との出逢いを求め、世界を奔走する”又右衛門”さん。
緑匠・四代目金岡又右衛門さんが世界各地から選りすぐり、育て、大切に運ばれてきた植物がオザキフラワーパークの一階エントランス一部を占拠。7/28(土)~8/26(日)の約一カ月の間、真夏の東京に展示されました。
今年は今までで一番暑い、酷暑ともいえる夏の期間でしたが、又右衛門さんやスタッフが大切に海外から運び、日本で養生後に東京に運ばれてきた大型の植物は元気そのもの!めったに見ることができない大型の植物たちに私たちも興奮!
又右衛門さんプロフィール
又右衛門さん(右)、株式会社ストロボライト代表石塚(左)
又右衛門さんプロフィール
「世界の感動を日本に。日本の感性を世界へ。」
まだ見ぬ植物との出逢いを求め、世界を奔走する”又右衛門”さんは、ご家業が明治創業の花の生産農家さんの四代目。そのご家業が植物の輸出入、貿易の業務をされていたことが植物貿易との関わりのスタートです。
又右衛門さんの代になり、世界各国に拡がるネットワークと持ち前の行動力を駆使し、希少性の高い植物を求め、自らの足で直接現地に赴き目利きをし、日本に紹介していらっしゃいます。
植物と大地への尊厳の念を持ち、植物の”生”へのこだわりを第一とする活動スタイルは、国内外の専門家から高く評価され業界からの信頼も厚く、植物貿易の第一人者と評価されるほど。
現在では、あの世界的に著名な植物園ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ(シンガポール)のサプライヤー、プロデューサーとしても活躍されています。
ナビゲーターは株式会社ストロボライト代表石塚
今回の又右衛門さんのトークセッションのナビゲーターには、WEBメディア『LOVEGREEN』、フリーペーパー『Botapii』、庭やインテリアグリーンのプロデュースをする『MIDOLAS』の運営会社である株式会社ストロボライト代表石塚が務めさせていただきました。
初対面の二人
又右衛門さん
「しゃべるのが苦手。人を前にすると恥ずかしくなってしまう。植物を相手する方が得意。」
石塚
「長い時間のフリートーク。うまくお話を引き出せるのかどうか。」
二人ともちょっぴり不安な気持ちで始まったトークセッションでしたが、業界は違えど、植物への愛情、興味、意欲が桁違いの二人。ふたを開ければ、とても白熱したトークセッションとなりました。
当日の参加者は、オザキフラワーパークさんの方で予約制で取りまとめられていましたが、60人の予定が当日は100名近くになったとか!中には東京以外の地域からの参加もあり、又右衛門さんの人気がうかがえます。参加者の男女比も男女半々、男性が多かったのも印象的でした。
当日は、又右衛門さんにお持ちいただいた写真をもとにスライドを見ながらのトークセッションとなりました。その一部の内容をご紹介します。
自らが年に何回も現地へ出向く又右衛門スタイル
ご自身で現地に出向き、植物を見ながら現地のパートナーさんと対話し、植物の輸出入に関しての様々なことを決めていくのが又右衛門さんの貿易スタイル。年に何度も精力的に渡航されています。このトークセッションの1週間ほど前もセネガルに行かれていたとか。
たくさんの植物の輸出入にかかわっている又右衛門さんですが、その中から2点をご紹介します。
又右衛門さんが扱われている植物・バオバブ
バオバブ
この木のサイズに場内のお客様もびっくり!こちらは又右衛門さんが関わっている代表的な植物のひとつ、バオバブ。
ひとくちにバオバブと言っても、マダガスカル、オーストラリア、アフリカのバオバブでは種類が違うので見た目にも差があり、一番多くのバオバブが存在しているのがマダガスカルで7~8種類ほどあるそうです。
バオバブの木は、大きなサイズになると神聖な木として扱われている国が多く、バオバブの木にある穴を、国によっては牢屋として使用したり、セネガルでは言葉はフランス語だが、文字が書けない人が多いという背景から、語り部が存在し、その貴重な役割の語り部の方々のお墓として使用されるなど、それぞれの国によって植物という役割以上のものを担っている木なのだとか。
オーストラリアでの土地の大規模開拓のスタイルは、とにかく1本残らず木を抜き去って完全に更地にしてしまうことが多く、そのスタイルから大きなバオバブの木も伐採されることが多いのだそう。その伐採される運命のバオバブの命を助ける意味で、どこか他に移植しようよという世界的な活動プロジェクトに又右衛門さんも関わっています。
バオバブの木は、日本の寒さでは露地栽培は不向きですが、「バオバブの命を助けようプロジェクト」によって、2018年3月にリニューアルオープンした広島市植物公園の温室のシンボルツリーとして迎えることができました。輸送されるまでには、丁寧なケアをしてバオバブに衝撃が当たらないように慎重に輸送し、植栽までこぎつけたそうです。写真は広島市植物公園に秋篠宮様がお越しになった時に、又右衛門さんが指名され、ご案内した様子です。
今現在、運んだ当時より、葉っぱがフサフサと生えてきたとか。広島に行かれることがあったら、是非、生のバオバブを見てみたいものです。
又右衛門さんが扱われている植物・オリーブ
300年Olive(オリーブ)
オリーブはどんな状況で堀りあげられる?
石塚
最近日本でも目にすることがある樹齢数百年のオリーブ。こういったオリーブの鉢上げ前はどういった状態なんでしょうか?
又右衛門さん
原産地のオリーブは、ほとんどが畑に植えられています。日本で何かに例えるとすると、みかん畑のような感じです。畑なので植栽当初の若い木のうちは密集して植えています。それが大きくなってくると、中には実つきが悪くなってくる木が出てきます。そういった収穫の用途から外れてしまったオリーブを鑑賞用として鉢上げしています。もちろん無理に抜く人の存在もありますが、僕たちとしてはオリーブの次の人生(樹生)を考えてあげるというのを基本コンセプトとして活動しています。
オリーブの樹齢ってどうやってわかる?
石塚
素朴な疑問として、1000年オリーブとか、年数はどうやってわかるんでしょうか?
又右衛門さん
厳密に言えば、地上部分50センチの周囲で把握します。ただ、同じオリーブでも、水分が多い場所、土が肥沃なところ、風がきついところだとねじれてくるからウエストが絞れてくる・・・細くても樹齢500年というものもあります。
貿易以外の活動もライフワーク
乱獲に歯止めをかける
今回ご紹介したバオバブは、現地では乱獲による絶滅の危惧がされていることから、又右衛門さんは絶滅に歯止めをかける活動もされています。
又右衛門さんの活動エリアでは、植物を焼いて炭にすることが、生活のためのお金を得る手段となっています。それが現地の子供たちの仕事で、生活の糧になっている現状です。植物を焼くことは一酸化炭素が出て環境的によくないばかりか、バオバブの若い木や関係のない木まで無差別に焼いてしまうことがバオバブの減少にもつながります。
豊かな日本に住んでいると、なかなかイメージできない現状ですが、今日、明日の食べるものに困って木を焼く作業を行っている子供たちに、ダメだダメだと言っても、それは伝わるものではない・・・そういった現実である製炭に歯止めをかけ、自然林を守るため、現地の植物で作った木彫りを海外で販売しようという、子どもたちの仕事を作るプロジェクトが始まりました。
これは現地のボランティアを通じて、木彫りを海外で販売、そこで得た資金をボランティアの活動資金と彼らの生活資金に充てるというものです。そして木彫りの価格は炭で得るお金の何倍にもなるという仕組み。経済的なゆとりは、暮らしに豊かさとゆとりをもたらします。それが子供の教育や自然環境への関心へとつながります。それならば炭で焼くよりいいよねという意識にチェンジさせる、まさに体当たりの活動です。
同時に植林活動
又右衛門さんは貿易の仕事のかたわら、緑のことを考えて365 日活動しようという「みどりのサンタ」活動*を行っていてアンバサダーをしていらっしゃいます。具体的には現地で植林の指導、活動などにも携わり、現地の人と植林活動をしています。活動の難しさは言葉が通じないこと以外に、4等分というのが伝わらないのだそう。間隔を同じに植えるという観念がないので、等間隔に植えること自体にもなかなか苦労しているとのことでした。
*「みどりのサンタ」活動とは?
サンタとはサンタクロースのこと。赤いサンタクロースは、クリスマス期間だけ活動するのに対し、植林活動は「緑のことを考えて365日活動しよう」という趣旨から、又右衛門さんが緑色のサンタクロースの衣装を着て現地で活動しています。これは言葉で伝えるのが難しい現地の方々にビジュアルで訴えるということも意識されているそうです。
又右衛門さんって英語は堪能?
石塚
これだけ幅広い活動をされて、年に何度も世界各国を飛び回る又右衛門さん。英語、フランス語、スペイン語・・・何か国語を話せるんですか?
又右衛門さん
僕は英語もまったく喋れません。英語はご飯を食べるのが精いっぱいくらい程度。それでさえレストランでオーダーすると違うものが出てくるくらいのレベルなんです。
とのお話に会場のお客様もびっくり!では、それでどうやってこうした幅広い活動ができるのでしょうか?
もしも英語が話せたら違うやり方になっていた
又右衛門さん
今は、しゃべれないのがむしろ良かったと思うんです。もし英語をしゃべれたら、ブローカーを通じて、もしくはネットでビジネスができたと思うんです。でも、僕にできるやり方は、現地に行って体当たりでしゃべることしかできない。どうしても必要なときは通訳さんに来てもらう。その時は僕は喋るのはあきらめて、できるだけ植物と会話することを努力する、そして現地に行ってひとつひとつ自分の目で植物を確認する、それが僕のやり方に自然となっていきました。
言葉がなくても会話ができるのを教えてくれたのが植物です。
また、その僕の想いに協力してくれる現地パートナーさんが一緒に協力、活動してくれて日本に輸入することのできる植物に仕立ててくれることに感謝しています。
できるだけ1本も枯らさない心
又右衛門さん
植物を輸入する上で、普通のやり方で異国に短期間で持ってくると何割かは普通は枯れてしまいます。そこで、私たちは慣れ親しんだ場所で土に代わるものに植え直して様子を見ます。そして元気になったものを、日本に行く気になってくれたものと判断して輸入しています。
その過程で万が一、体調が悪くなったものは、もう一度土に戻す。できるだけ1本も枯らさないということをポリシーとしています。ただ、そのやり方は費用的には5~10倍もかかる。でも僕はそれでも何百年も生きている木に対してならそれでも構わないと思っているんです。
植物が二酸化炭素を吸って、酸素を出してくれることによって人は生きることができます。
衣食住、薬草・・・自分の命のすべてを人に差し出してくれている植物は偉大です。そういう植物を運ぶのだから、最大限、尊厳を持って植物と関わっていきたいと思っています。
又右衛門さんの熱いトークセッションの後は、参加者からの質問タイム。たくさんの方から熱心な質問が多数!その質問ひとつひとつにとても丁寧に答えられていたのが印象的でした。
トークの終わりには又右衛門さんから希望者にバッジやステッカーをプレゼント。
NO PLANTS NO LIFE
今回の又右衛門さんのトークセッションの内容そのものの言葉。人間よりもはるかに長く生きる植物たちと真摯に向き合い、仕事として成立させると同時に、長い尺での地球の環境の事も考えたパワフルな活動に、参加者はもちろん編集部スタッフもとても感銘を受けました。今後もますますご活躍されるであろう又右衛門さん。素晴らしい時間をありがとうございました!
OZAKI FLOWERPARK (オザキフラワーパーク)に行ってみよう!
今回の会場のOZAKI FLOWERPARK (オザキフラワーパーク)は、練馬区にある首都圏最大級のガーデンセンター。約4,000㎡の売場に、
▼OZAKI FLOWERPARK (オザキフラワーパーク)のリニューアルオープン時に詳しく取材してきました。
とても広いのでゆっくりと時間をかけて遊びに行ってみてください。駐車場もあります!
▼OZAKI FLOWERPARK (オザキフラワーパーク)の詳細はこちらをどうぞ
又右衛門さんについてもっと知りたい!
▼又右衛門さんホームページはこちらから
▼又右衛門さんブログ
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