世界の植物紀行 – 四代目金岡又右衛門 -「オーストラリア」調査レポート vol.1!
LOVEGREEN編集部
このライターの記事一覧
オーストラリア調査レポート②グラスツリー編
オーストラリアのネイティブプランツの希少種の代表的なものであるグラスツリー(学名ザンソレア)。その中でもいくつかに分類され、これはグラウカという品種で最も人気が高い種になる。その他にオーストラリスなど3種ほどある。
※グラスツリーのことを昔はその容姿からブラックボーイと呼んでいた。昨今は、差別用語として捉えられグラスツリーと呼ぶようになった。今でも日本の専門家はそう呼ぶ人が多い。
※正確にはグラウカの中でも2種に分かれることが最近判明している。
グラスツリーの特徴としては、ブッシュファイヤーやグラスファイヤーなどで焼け焦げた黒い木肌と長く伸びた葉。日本では花はカンガルーテールという名前で、切り花で少量が流通。葉はスチールグラスという名前で流通している。
この種も州の採取規制などもあり、中々手に入らず、業者や趣味家の間では、とても人気が高い。さらにこの木の特性として根に共生する菌根菌への依存度が高く、荒れ果てた土地であっても生き続けるのは、この菌根菌のおかげである。
ただそこで大きな課題がある。日本に輸入するには土を全て綺麗に洗い落とさなければならないというルールがある。そのために根を切り、かなりきつく洗い落とすため、大きなストレスを与えた上に、根に付着する菌根菌の多くを失ってしまうため、普通にベアルートで輸入すると枯死につながる場合が多い。(実際にオーストラリアからネット通販で買って枯れてしまったという声を聞いたこともある。)
このような人気の植物なので今まで日本を代表する多くの専門家が輸入を試みたが、ほとんどが枯れてしまったと聞く。そこで私たちは現地の専門家たちと研究を進め、独自の方法により健康な状態で日本に輸入することを可能にした。
今回ボトルツリー同様に採取可能な限定的な地区が見つかったと、連絡が入りDanny氏と急行した。
そして現地に到着すると、考えられないような光景が目に飛び込んできた。グラスツリーの群生地である。グラスツリーの希少性を知る人にとっては、遠くても今すぐに駆けつけたいと思うような群生地である。
この種はグラスツリー・グラウカである。(正確にはグラウカssp.グラウカでシルバーブルーのグラウカよりグリーンがかっている。比較するとこの種のほうが強健である)
ふもとに到着するや否や、走って坂を駆け上がり確認した。大きなものこそ少ないが、このように群生しているところはかなり少ない。一本一本確認していくと、やはり干ばつに近いほどの乾燥のため、少し弱り気味であるものが多い。一雨降ると随分変わるであろうが・・・。
この場所は、政府の許可もありオーナーの了解があれば採取することは可能である。ただし、そこでこのように自生しているものを採取することに賛否はあると思うが、しっかり計画的に間引きを行うことは、合理的であると思う。何故ならば気候変動による干ばつは年々激しくなってきている。このままでは、多くがそのまま枯死してしまう可能性もある。さらに近年、干ばつにより果実など食料が無くなってきてしまった鹿がグラスツリーの生長点である中心部をエサにする食害が出てきている。既にこの場所もその危機に脅かされている。
それであるならばここから移動させることは必ずしもいけない事ではないと言える。ただあくまでもビジネスとしてではなく、植物への尊厳の念をもち、国際ルールを守って行う前提であれば良いと考える。
調査の帰り道、今まで見たことのないような驚愕の一本に遭遇した。
この一本はあまりにも凄い。今まで見たことがないほどの大きさである。そしてバランスもとても良い。これはオーストラリアから出してはいけないものであるとすぐに感じた。本当に素晴らしいとしか言いようがなかった。
なんと!7頭(マルチヘッド)のグラスツリー
\次はナーセリー訪問!/
関連ワード
今月のおすすめコンテンツ
「世界の植物紀行 – 四代目金岡又右衛門 -「オーストラリア」調査レポート vol.1!」の記事をみんなにも教えてあげよう♪