「世界らん展2019」大賞花などの注目花はこれ!

土屋 悟

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世界らん展の大きな見どころの一つは、大賞に輝いた花をはじめとする、美しい入賞花たち。今年はどんな花が入賞したのかを紹介します。

目次

趣味家のパフィオペディラムが日本大賞を受賞!

パフィオペディラム、もう一つの注目花。ワーディ‘スーパークール’

見応え十分!豪華な大株

今年のお立ち台はグリーンがいっぱい!

趣味家のパフィオペティラムが日本大賞を受賞!

「世界らん展2019」に出品されたランのうち、世界大賞の審査対象となったのは677の株。その中から、栄誉ある2019年の日本大賞を勝ち取ったのは、パフィオペディラム エメラルドゲート‘グリーングローブ’でした! パフィオペディラムはリップと呼ばれる花の正面下に伸びる唇弁が袋状になるユニークな花型が人気の種類。熱心な愛好家も数多くいます。ラン展ではいくつものカテゴリーに分かれて審査が行われ、パフィオペディラムだけでもいくつかのカテゴリーがありますが、今回の‘グリーングローブ’はパフィオペディラムの中でも整形花と呼ばれるカテゴリーに出品されたものでした。整形花は、様々な種類のパフィオペディラムを交配して、より理想的な形と 大きさの花を競います。一般的なパフィオペディラムは左右に広がる花弁(ペタル)の先端が尖っていたり、背面から上に伸びるがく片(ドーサルセパル)が湾曲しています。パフィオペディラムの整形花では、これらの花のパーツが全体でより真円に近い形になるものを目指します。  ‘グリーングローブ’は全体がよりふっくらと丸い形をしていて、これまで多くのパフィオペディラム愛好家が目指してきた、究極の形により近い花型であることが高い評価を得ました。また、花型に加え、花も直径14cmと大型で見応えがある上に、名前に「エメラルド」とあるように、白と黄色をベースにした花色に、鮮やかなグリーンが差す美しい花であったことも高評価の理由です。 パフィオペディラムの整形花では、より大きく丸い花を目指してさまざまな交配が試みられますが、優れた花に、花粉をつけたからといって必ず種が取れるとは限りません。何度もの失敗を繰り返しながら、それでもくじけずに交配・育種を続けた努力の成果が‘グリーングローブ’の花として結実したのです。こうした様々な特徴は、この‘グリーングローブ’がもともと持っていた性質ではありますが、それが花として現れてきたのは日ごろの栽培の成果でしょう。育てる技術と毎日のまめな手入れがあってこそ、美しい花が咲いたといえます。 プロの栽培家やラン園、並み居る愛好家を抑え、この花で大賞を手にしたのはアマチュア園芸家の桜井一さん。受賞式では、「ランが好きで花を見つめる毎日。よい花を咲かせたいという一心で栽培しています」と篤実な口調で受賞の心境を語っていました。 最近ではパフィオペディラムの整形花はカトレアの交配種などと並ぶ人気となっていますが、その理由の一つは花もちがよいこと。肉厚で蝋細工のようにも見える花弁は、会場までの運搬のストレスにもよく耐え、1週間にも及ぶラン展開催期間中にも傷みにくいため、ラン展に出しやすい花という面もあります。それだけ強い花ということは、家の中に置いておいても長く楽しめる花ということ。‘グリーングローブ’のようにコンテストでの入賞をめざして作られたものはやや高価ですが、数千円程度でも手に入るものがたくさん流通しているので、冬に家の中で楽しむ花としてもオススメです。ランの園芸品種はさまざまな親株を交配してつくられており、それが名前にも表されています。名前の意味を知っておくとランをより理解するきっかけにもなります。ちなみに、この花の名前のそれぞれの意味はこのようなものになります。  パフィオペディラム→この花の属名、交配に使われたのは、すべてパフィオペディラム属の花なので、この花もパフィオペディラム属になります。エメラルドゲート→交配名。特定の花と花の交配の組み合わせにつけられた名前。‘グリーングローブ’→個体名。「エメラルドゲート」と名づけられた交配からは複数の種が取れますが、その中の個別の個体株にそれぞれつけられる名前。

「世界らん展2019」に出品されたランのうち、世界大賞の審査対象となったのは677の株。

その中から、栄誉ある2019年の日本大賞を勝ち取ったのは、パフィオペディラム(*1)エメラルドゲート(*2)‘グリーングローブ’(*3)(以下、グリーングローブ)でした!

パフィオペディラムとは?

パフィオペディラムはリップと呼ばれる花の正面下に伸びる、唇弁が袋状になるユニークな花型が人気の種類で熱心な愛好家も数多くいます。ラン展ではいくつものカテゴリーに分かれて審査が行われ、パフィオペディラムだけでもいくつかのカテゴリーがありますが、今回の‘グリーングローブ’はパフィオペディラムの中でも整形花と呼ばれるカテゴリーに出品されたものでした。

整形花って?

整形花は、様々な種類のパフィオペディラムを交配して、より理想的な形と大きさの花を競います。一般的なパフィオペディラムは左右に広がる花弁(ペタル)の先端が尖っていたり、背面から上に伸びるがく片(ドーサルセパル)が湾曲しています。パフィオペディラムの整形花では、これらの花のパーツが全体でより真円に近い形になるものを目指します。

高評価のポイント

‘グリーングローブ’は全体がよりふっくらと丸い形をしていて、これまで多くのパフィオペディラム愛好家が目指してきた、究極の形により近い花型であることが高い評価を得ました。

また、花型に加え、花も直径14cmと大型で見応えがある上に、名前に「エメラルド」とあるように、白と黄色をベースにした花色に、鮮やかなグリーンが差す美しい花であったことも高評価の理由です。

パフィオペディラムの整形花では、より大きく丸い花を目指し、さまざまな交配が試みられますが、優れた花に花粉をつけたからといって必ず種が取れるとは限りません。

何度もの失敗を繰り返しながら、それでもくじけずに交配・育種を続けた努力の成果が‘グリーングローブ’の花として結実したのです。

こうした様々な特徴は、この‘グリーングローブ’がもともと持っていた性質ではありますが、それが花として現れてきたのは日ごろの栽培の成果でしょう。

育てる技術と毎日のまめな手入れがあってこそ美しい花が咲いたといえます。

受賞者は桜井一さん

プロの栽培家やラン園、並み居る愛好家を抑え、この花で大賞を手にしたのはアマチュア園芸家の桜井一さん。

受賞式では、「ランが好きで花を見つめる毎日。よい花を咲かせたいという一心で栽培しています」と篤実な口調で受賞の心境を語っていました。

最近ではパフィオペディラムの整形花は、カトレアの交配種などと並ぶ人気となっていますが、その理由の一つは花もちがよいこと。

肉厚で蝋細工のようにも見える花弁は、会場までの運搬のストレスにもよく耐え、1週間にも及ぶラン展開催期間中にも傷みにくいため、ラン展に出しやすい花という面もあります。

それだけ強い花ということは、家の中に置いておいても長く楽しむ事が出来ます。‘グリーングローブ’のようにコンテストでの入賞をめざして作られたものはやや高価ですが、数千円でも手に入るものがたくさん流通しているので、冬に家の中で楽しむ花としてもオススメです。ランの園芸品種はさまざまな親株を交配してつくられており、それが名前にも表されています。名前の意味を知っておくとランをより理解するきっかけにもなります。ちなみに、この花の名前のそれぞれの意味はこのようなものになります。

(*1)パフィオペディラム
この花の属名、交配に使われたのは、すべてパフィオペディラム属の花なので、この花もパフィオペディラム属になります。

(*2)エメラルドゲート
交配名。特定の花と花の交配の組み合わせにつけられた名前。

(*3)‘グリーングローブ’
個体名。「エメラルドゲート」と名づけられた交配からは複数の種が取れますが、その中の個別の個体株にそれぞれつけられる名前。

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パフィオペディラム、もう一つの注目花。ワーディ‘スーパークール’

‘グリーングローブ’はパフィオペディラムの様々な種類を交配して、意図した性質を持った整形花というカテゴリーに出品された花ですが、同じパフィオペディラムでも一つの原種のみから作られた花を競うカテゴリーもあります。原種のカテゴリーで賞を取ったのは、パフィオペディラム・ワーディー‘スーパークール’。端正に作り込まれた整形花に対し、こちらは濃い色合いでエキゾチックな魅力あふれるパフィオペディラムです。この個体はラン展の審査で奨励賞を得たほか、すぐれた原種の株に授与される、AOS(アメリカ蘭協会American Orchid Society)賞も受けています。ワーディーは中国南西部からミャンマー北部に自生するパフィオペディラム。‘スーパークール’は、ワーディーの特徴である縞模様が鮮やかで、花弁の色も濃く、美しい個体。まだまだ小株が増えそうな大きな株に育てられ、しっかりとした花が3輪も開花。ワーディー同士を交配して優れた個体を選抜し、すばらしい花を咲かせた栽培技術が高い評価を得ました。咲かせたのは中藤洋ラン園の中藤保孝さん。パフィオペディラムをはじめとする多彩なランの栽培の名手の、見事な一株でした。

‘グリーングローブ’はパフィオペディラムの様々な種類を交配して、意図した性質を持った整形花というカテゴリーに出品された花ですが、同じパフィオペディラムでも一つの原種のみから作られた花を競うカテゴリーもあります。原種のカテゴリーで賞を取ったのは、パフィオペディラム・ワーディー‘スーパークール’。端正に作り込まれた整形花に対し、こちらは濃い色合いでエキゾチックな魅力あふれるパフィオペディラムです。

この個体はらん展の審査で奨励賞を得たほか、すぐれた原種の株に授与される、AOS(アメリカ蘭協会American Orchid Society)賞も受けています。

ワーディーは中国南西部からミャンマー北部に自生するパフィオペディラム。‘スーパークール’は、ワーディーの特徴である縞模様が鮮やかで、花弁の色も濃く、美しい個体。

まだまだ小株が増えそうな大きな株に育てられ、しっかりとした花が3輪も開花していました。ワーディー同士を交配して優れた個体を選抜し、すばらしい花を咲かせた栽培技術が高い評価を得ました。咲かせたのは中藤洋ラン園の中藤保孝さん。パフィオペディラムをはじめとする多彩なランの栽培の名手の見事な一株でした。

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見応え十分!豪華な大株のリカステとカトレア

パフィオペディラムは丹精込めて作り込んだ1輪〜数輪を咲かせて競う花ですが、迫力ある大株に、たくさんの花が咲いた株がずらりと並ぶのも、ラン展ならでは。中でも目を見張るのは、大賞花の‘グリーングローブ’の両脇に配置されたリカステとカトレアでしょう。優秀賞を受けたサガノ‘アワユキ’(上写真)は純白で大輪の花を咲かせるリカステ。一度にたくさんの花が咲きそろい、花はいずれも見るものの方に顔を向けてくれています。リカステ独特の大きく広がる葉は、展示のために後から葉を指したのかと思うほど優美に広がり、美しい株姿になっています。出品者は、これまで数度にわたり日本大賞を受賞している、斉藤正博さん。気品あふれるさすがの一株です。

リカステ サガノ‘アワユキ’

パフィオペディラムは丹精込めて作り込んだ1輪〜数輪を咲かせて競う花ですが、迫力ある大株に、たくさんの花が咲いた株がずらりと並ぶのも、ラン展ならでは。中でも目を見張るのは、大賞花の‘グリーングローブ’の両脇に配置されたリカステとカトレアでしょう。

優秀賞を受けたサガノ‘アワユキ’(上写真)は純白で大輪の花を咲かせるリカステ。一度にたくさんの花が咲きそろい、花はいずれも見るものの方に顔を向けてくれています。リカステ独特の大きく広がる葉は、展示のために後から葉を指したのかと思うほど優美に広がり、美しい株姿になっています。出品者は、これまで数度にわたり日本大賞を受賞している、斉藤正博さん。気品あふれるさすがの一株です。

 

カトレア シュロデレー アルバ‘ヘラクレス’  もう一つの優秀賞は、カトレアのシュロデレー アルバ‘ヘラクレス’。出品者は群馬県の神保康紀さん。こちらも芯が黄色で、全体が白花。たくさんの花が、株を覆い尽くすほどにすき間なく咲いています。花芽をしっかり出させ、それをしおれさせることなく開花まで持っていく高い技術を感じます。そしてそれを実現するためには、日々の細やかな手入れをされている事が感じられます。

カトレア シュロデレー アルバ‘ヘラクレス’

もう一つの優秀賞は、カトレアのシュロデレー アルバ‘ヘラクレス’。出品者は群馬県の神保康紀さん。こちらも芯が黄色で、全体が白花。たくさんの花が、株を覆い尽くすほどにすき間なく咲いています。花芽をしっかり出させ、それをしおれさせることなく開花まで持っていく高い技術を感じます。そしてそれを実現するためには、日々の細やかな手入れをされている事が感じられます。

 

神保さんはその他にもデンドロビウム・レポリナム‘ヒペリオン’も出品されました。

神保さんはその他にもデンドロビウム・レポリナム‘ヒペリオン’も出品されました。

 

出品者は群馬県の神保康紀さん。神保さんはそのほかにも上のデンドロビウム・レポリナム‘ヒペリオン’も出品。

こちらのガストロキラス・プルクラ‘フルデンスボルグ’も神保さんの出品。迫力のある大株で、たくさんの会場者を魅了していました。

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今年のお立ち台はグリーンがいっぱい!

ラン展では各カテゴリーの最優秀株を並べたコーナーが設けられ、「お立ち台」なんて呼ばれることもあります。今回の世界らん展2019ではお立ち台は黒を基調としたディスプレイで、そこここにカポックやシェフレラなどの観葉植物が並べられるというしつらえ。そのため、どのランも植物に囲まれて飾られています。

ラン展では各カテゴリーの最優秀株を並べたコーナーが設けられ、「お立ち台」と呼ばれることもあります。今回の世界らん展2019ではお立ち台は黒を基調としたディスプレイで、そこここにカポックやシェフレラなどの観葉植物が並べられるというしつらえです。どのランも植物に囲まれて飾られています。

 

今回の展示は上の写真のように、植物の中に出品株が並べられ、とてもいい雰囲気でした。今までのラン展は、どこかの会場を借り、その会場にある陳列台を使って展示するというのが一般的でした。今年は植物園で開かれるラン展で目にする、多彩な植物に囲まれながら咲くランのようなイメージで、ランの魅力がより一層豊かに感じることができます。

今回の展示は上の写真のように、様々な植物の中に出品株が並べられ、とてもいい雰囲気でした。今までのラン展は、どこかの会場を借り、その会場にある陳列台を使って展示するというのが一般的でした。今年は植物園で開かれるラン展で目にする、多彩な植物に囲まれながら咲くランのようなイメージで、ランの魅力がより一層豊かに感じることができます。

植物園のラン展って?

昨年11月、筑波実験植物園で開催されたラン展の様子

昨年11月、筑波実験植物園で開催されたラン展の様子。

 

こちらも昨年11月の新宿御苑でのラン展の様子。目に鮮やかな花の色がほかの植物となじんで、いい雰囲気です。 国内ではそのほかにも福岡市植物園、高知の牧野植物園、熱帯ドリームセンターなど、植物の中で花を楽しめるラン展がいくつも開催されています。  今回の世界らん展2019では、そうしたグリーン豊かな空間で、よりいっそうランの魅力を感じられるようになっています。広い範囲が写ってしまうスマホだと、つい画面の隅にいらないものが写っていることがありますが、今回はそんな心配はしなくても大丈夫そうですね。大賞受賞花をはじめとして、いくつかの入賞花をご紹介しましたが、会場にはまだまだ魅力的なランがたくさん!是非会場を訪れて、たくさんの花との出会いを楽しんで下さいね。

こちらは昨年11月の新宿御苑でのラン展の様子。目に鮮やかな花の色がほかの植物となじんで、いい雰囲気です。
国内ではそのほかにも福岡市植物園、高知の牧野植物園、熱帯ドリームセンターなど、植物の中で花を楽しめるラン展がいくつも開催されています。

いつもとは一味違う世界らん展2019

今回の世界らん展2019では、そうしたグリーン豊かな空間で、よりいっそうランの魅力を感じられるようになっています。広い範囲が写ってしまうスマホだと、つい画面の隅にいらないものが写っていることがありますが、今回はそんな心配はしなくても大丈夫そうですね。大賞受賞花をはじめとして、いくつかの入賞花をご紹介しましたが、会場にはまだまだ魅力的なランがたくさん!是非会場を訪れて、たくさんの花との出会いを楽しんで下さいね。

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土屋 悟
土屋 悟

長野県松本市生まれ。早稲田大学第二文学部在学中より雑誌編集部でのアルバイトの延長でライター活動を始め、卒業後もフリーライターとして活動。 その後、編集プロダクションをいくつか経て、2009年より約9年間NHK出版「趣味の園芸」テキストの編集兼ライターに従事。 最近は湿度を好む植物、特に着生ランをいろいろ育ててます。 また、ガラスケースとLEDを使った屋内での植物栽培、窓がないトイレで育てるパルダリウム「トイレリウム」などもやってます。ときどき実家の庭の手入れもしており、庭仕事では剪定が好きです。【twitter】 @tutti0514 【Instagram】 @satorutsuchiya_

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