世界の植物紀行 – 四代目金岡又右衛門 –マダガスカル編3「アンチラベにて」
LOVEGREEN編集部
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今回はマダガスカルの中都市、アンチラベをご案内。ネイティブプランツが自生している管理保護区域があるIBITY山を訪れた時のことをご紹介します。
目次
アンチラベへ
朝、ムルンダバのホテルを出発。アンチラベへと向かう。その間には私が客員研究員をつとめさせていただいている進化生物学研究所の湯浅先生が定点観測しているバオバブがある。
この時は立ち寄れなかったが、湯浅先生は、前回の訪問時との差異を計測し、その生長度をグラフ化し管理している。この若い樹は前回計測時より外周が約50cmも増えているとのこと。もちろん幼木、老木との生長度も加味して考え、バオバブの推定年齢を割り出していく。土壌によっても倍以上生長度が違うことも頭に置いておかなければならないが、この生長の度合いによって大まかな樹齢を導き出すことが可能となるのである。とても興味深い。
ホテルを出発し、周囲のバオバブ(グランディディエリ、フニィ、ザー)を眺めながら、アンチラベへ向かうため往路と同じ道をひたすら走った。
途中何とか木陰を見つけて、ランチ。今日はホテルで用意してもらったサンドイッチと途中で買ったバナナ。パンもシンプルで美味しいが、続いており少し飽きてきていたのでバナナがとても美味しく感じた。
旅人の木が私たちを応援してくれているように感じながら、ただひたすら走る。
移動中、元気いっぱいに自生するビスマルキアの群生を観ることができた。
各国で植栽されているビスマルキアや、時間をかけて日本に輸入されてきたビスマルキアも魅力的ではあるが、やはり原産地のビスマルキアには格別さを感じる。
進んでいくと砂金を掘る光景に出会う。当たり前である。行きと同じ道を通っているので。ただ前回では案内ができてなかったのでここで。
小さな子どもからお年寄りまでがせっせと砂金を掘っている。この村があり、砂金を掘っているのではなく、砂金を掘るために国中から集まり村が形成されているとのことで、色んな部族がいて、時折、争いごともあるらしい。
ここを通ると車に子どもたちが駆け寄ってくる。食べ物や飲み物が欲しいのかと思ったら違う。ペットボトルが欲しいようである。移動中にたまったペットボトルの空きを手渡すと嬉しそうに持って行ってくれた。私たちにとってもありがたいことである。
トラブルもなく無事に車を走らせることができ、予定通り夕刻にアンチラベに到着することができた。少し時間があったのでホテルに荷物を置き、街歩きをしてみた。
その夜は青年海外協力隊隊員として赴任されている方々との意見交換会の機会を設け、各人の取り組む活動や想いについて聞かせていただくことができた。時間は早く過ぎ、再会を約束してお別れ。私たちもホテルへと戻った。
IBITY山訪問
次の日は、ホテルに近いところにあるIBITY山へと向かった。ここにはネイティブプランツが自生している管理保護区域があるとのことで急遽訪問することにした。
まずは現地に向かい管理事務所を探す。特に案内板などがなく少し道に迷ったが、数人に尋ねながら、数十分で管理事務所に到着。そして保護区域の視察申請を行い、少し交渉に時間は要したものの無事認可いただけた。
管理担当者に同行案内していただき、入山をすることになった。ここIBITY山にはパキポ・ブレビをはじめ、ここでしか見ることができない所謂、固有種が多く自生している。その素晴らしさを護るため保護区として、アメリカの支援の下、管理されているのである。
入口近くである山の麓では生活する人もいて、出会う人と会話を楽しみ、植物に触れながら目的地点に向かってひたすら歩き続ける。片道約1時間30分の道のりとなる。
途中見慣れない色々な植物に出逢うことができる。
山頂近くにはパキポディウムがきれいな花を咲かせて自生している。普段は鉢植えでしか見られない希少な塊根植物が自生していることを見ることができ、感動極まりない。趣味家にとってはたまらないであろう。
更に頑張って岩肌を登るとアロエやカランコエが岩の間から顔をのぞかせてくれる。その美しさは鉢植えとは格段に違い抜群である。
そうこうしているうちに頂上付近まで到達し、来た道を振り返ってみると、とても素晴らしい景色が目に飛び込んでくる。そんな素晴らしい眺めと植物、そして澄んだ空気のおかげで、先ほどまで攣りかけていた足や、疲れも吹き飛び、しばしその空間に浸りながら、制限時間となったので下山をはじめた。
下山中にも多くの固有種があり、ユーフォルビアが多く自生していた。正直私も何があるか把握できないぐらいであった。そしてそれら多くの植物は、現地の人の生活と密接に関係していて、ある種は腹痛、ある種は咳止め、他にも疲労回復やけがの治療など薬効があるものが多く自生している。本当に興味深いとこである。そしてそのようなことを教えていただきながら気が付けば麓まで戻ってきており、楽園のショートトリップは終わりとなった。
IBITY山を降り、再びアンチラベのまちでランチを食べて、首都アンタナナリボへの帰路についた。さて次はどこの街か?乞うご期待である!
PROFILE
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四代目金岡又右衛門
「世界の感動を日本に。日本の感性を世界へ。」 まだ見ぬ植物との出逢いを求め、世界を奔走する金岡又右衛門。世界各国に拡がるネットワークと持ち前の行動力を駆使し、希少性の高い植物を求め、自らの足で直接現地に赴き目利きをし、日本に紹介している。植物と大地への尊厳の念を持ち、植物の”生”へのこだわりを第一とする活動スタイルは、国内外の専門家から高く評価され、業界からの信頼も厚く、植物貿易の第一人者と評価される。
Facebook/人と人、国と国を繋ごう。
HP/緑匠・又右衛門
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