この一年、植物と共に暮らし楽しみましたか?【渡部陽子さん連載12月編】
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いよいよ2025年も終わりの足音が近づいてきました。皆さんはこの一年、どのような植物のある暮らしを楽しみましたか? 一年を振り返りつつ、冬から来春までのお庭の楽しみ方に想いを馳せてみましょう。
この一年、どんな植物と出会いましたか?【12月編】
あなたのお住まいはどのタイプ?
酷暑で苦しんだ夏がウソのような寒い日々が続いていますね。あなたのお住まいの場所は、どのタイプですか?
1. すでに雪で覆われている地域
2. まだまだ植物を植えることができる温暖な地域
3. どんより鉛色の空が広がり、冬の日照が少ない日本海側
私が住んでいる新潟市はまさに「3」のタイプ。日本は南北に長く、地域によって細かく気候が異なります。標高によっても気候が異なります。土壌環境も含めれば、お住まいの地域によって植物の選び方も違ってきます。
さぁ、この一年どんな植物と出会いましたか?
これまでの連載で、お庭づくりについてお伝えしてきました。今回はそれらを振り返りつつ、来春の参考にしてくださいね。
初冬の植物観察は、はっとする魅力の気づき
この季節の草花は、紅葉する品種がたくさんあり、畑やかとうふぁーむの農場を歩いていると、その美しさに足を止めてしまうことがあります。
宿根草の魅力は花だけでなく、四季折々に豊かな表情を楽しませてくれるところにもあります。皆さんのお庭でも植物の新たな魅力の発見、ありませんか?

ゲラニウム・サンギネウム・ストリアタム。 ところどころ美しく紅葉し目を引きます。緑葉とのコントラストが美しい

アムソニア・フブリヒティ。春の花も美しいですが、秋の黄葉は見事。秋らしい景色を演出してくれます

ペンステモン・ミスティカ。ブロンズの葉は秋の深まりとともに赤く色づく
もう一つ観察していただきたいことがあります。
クリスマスローズや春咲きの球根植物などは、晩春から夏に休眠します。多くの宿根草は、冬季に休眠します。地上部が枯れて株だけで越冬するものが多いですが、地上に葉を広げて越冬する種もあります。写真のペンステモンも葉が残ります。これは冬季の寒さから株を守り、冬の日照で光合成をするためです。植物それぞれ生きるための戦略があるんですね。
お庭の植物とほど良い関係を築きましょう
以前にもお伝えしましたように、植物が自ら生きるお庭を目指しましょう。人が先回りして水やりをしたり肥料をあげたりするのではなく、まずは植物をよく観察してみましょう。
・全体に葉がしんなりしている場合:水やりが必要。
・葉色がおかしい場合:病害虫(ハダニやアブラムシ、うどんこ病など)などを疑う。
・葉色がうすい場合:肥料が必要かな?
植物を育てるには想像力も必要です。水やりのタイミングや剪定のタイミングは、季節や種類によって違います。
なんだか難しいように感じるかもしれませんが、すべては植物が教えてくれます。人がサポートしてあげるぐらいが、良い距離感で植物と向き合えるかもしれません。
わたしがおすすめする宿根草
私がパブリックスペースに植栽している宿根草をいくつかご紹介しましょう。
公共のスペースでは、水やりやお手入れも十分に行えない場所が多いです。そのような場所でも自ら育ち、その魅力を発揮できる植物があります。近年の酷暑にも負けずに育つ丈夫な植物です。参考にしてくださいね。
サルビア・バイオレットクィーン

日向を好む丈夫な宿根草です。花色は青紫色で、穂咲のサルビアです。サルビア・ネモローサ’カラドンナ’とよく似ていますが、本種のほうは、穂がしなやかで自然な趣があります。
シソ科 開花期:初夏 草丈50cm 耐寒性:強 耐暑性:強
スタキス・オフィシナリス

日向を好む宿根草。すっと伸びた花茎の先に赤紫色の花をたくさん咲かせます。花後も倒れずにシードヘッドまで楽しめます。こぼれ種でも増えます。草姿も乱れないので、ローメンテナンスに一役かってくれる優秀な品種です。
シソ科 開花期:初夏~夏 草丈40cm 耐寒性:強 耐暑性:強
エキナセア・プリマドンナ ホワイト

花弁が大きめの存在感のある白い花を咲かせます。日向を好み、水はけの良い土壌を好みます。
茎は太くしっかりしているため、倒れることがなく、支柱をする必要もありません。切り花でも楽しめます。冬前に切り戻しを行うと、春にしっかりと芽吹く、丈夫で育てやすい品種です。ピンク花のエキナセア・プリマドンナ ディープローズもありますが、同様の性質です。
キク科 開花期:初夏~夏 草丈60~70cm 耐寒性:強 耐暑性:強
ガウラ・スパークル

別名ハクチョウソウ(白蝶草)。花茎がしなやかで風に白い蝶が舞うように揺れ、花壇に動きを与えます。花期が長く、切り戻しても次から次へと花を咲かせます。エキナセアのような丸いフォルムの花と組み合わせると、質感の違いがお互いを引き立てます。乾燥にも耐え、酷暑も乗り越えてくれますよ。
アカバナ科 開花期:晩春~秋 草丈:60cm程度 耐寒性:強 耐暑性:強
ポテンティラ・ヘレンジェーン

日向を好み、耐寒性・耐暑性に優れる丈夫な宿根草。イチゴのようなピンク色の可愛らしい花は、ナチュラルなガーデンにもよく合います。コンパクトでこんもりとした草姿であるため、花壇の縁に植えるとよいでしょう。晩秋、切り戻しを行うと春には新芽がしっかりと出てきます。
バラ科 開花期:初夏 草丈:50cm(花姿) 耐寒性:強 耐暑性:強
アムソニア・フブリヒティ

日向を好み耐寒性・耐暑性に優れます。別名イトバチョウジソウ。細い葉が特徴で、こんもりとした草姿はまとまりがあります。星形の花が手毬のように咲きます。花後は緑葉が美しく他の草花を引き立ててくれます。秋は、前述したように黄葉の美しさに目を奪われるでしょう。剪定は、地上部が枯れ始め、株元に逞しい新芽が確認できたら地際からカットしましょう。
キョウチクトウ科 開花期:春 草丈80cm 耐寒性:強 耐暑性:強
春にどんな植物を植えようかイメージしてみましょう
早春から徐々にたくさんの植物が園芸店に並び始めます。欲しい植物が入手しやすい春が待ち遠しいですね!
さて、お庭にどんな植物を植えましょうか。この冬に植物の情報を集めてイメージを膨らませてくださいね。
前述しましたが、お住まいの地域の気候やお庭の生育環境(日照条件、土壌)に適した植物選びが重要です。暖かな春を楽しみに待ちながら、寒い冬を乗り越えましょう。
それではみなさま良いお年をお迎えください。

渡部陽子(畑やかとうふぁーむ/ガーデンプランナー)
造園会社で20年勤務後、宿根草と一年草草花の生産農場畑やかとうふぁーむで生産に携わりながら、ガーデンデザイン、植栽工事まで行う。ライフワークとして、







































