ローラン・ボーニッシュさんの素敵なアトリエにお邪魔してきました!
山田智美
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日本在住のフランス人フラワーデザイナー、ローラン・ボーニッシュさんをご存知ですか?
日本の花材を使って、フランスの風を感じるような花を作り続ける素敵なフラワーデザイナーです。そんなローラン・ボーニッシュさんのアトリエにお邪魔して、ローランさんの好きなバラについて、そして原風景など、たくさんのお話を伺ってきました。
目次
- ローラン・ボーニッシュさんプロフィール
- どこを見ても素敵なアトリエ
- ローランさんの素敵なアトリエで本人にお話を伺ってきました
- ローランさんが話してくれた、バラ以外のお話
- ローラン・ボーニッシュさん新刊本の紹介
- 最後にローランさんのアトリエの魅力について伺いました
ローラン・ボーニッシュさんプロフィール
- ローラン・ボーニッシュ Laurent.Borniche
- フラワーデザイナー
- Laurent.B Bouquetier代表
フランス・パリ郊外の高級住宅地ヌイイ市に代々続くフローリストの4代目として誕生。フランスでフラワーデザイナーとしての経験を積み、1998年に来日。フランスの花文化のエスプリを伝え続けている。
豊富な知識と熟練された技術によって紡ぎだされる作品の洗練されたデザイン、色彩感覚、感性は、日本の花業界に大きな影響を与えている。
2014年、東京田園調布にデザインアトリエ「Laurent.B Bouquetier(ローラン・ベー・ブーケティエ)」を設立。フラワースクール、デザインアトリエをオープン。
どこを見ても素敵なアトリエ
ローランさんは黒いシャツに黒いパンツ、花がもっとも引き立つ色のコーディネートで私たちを迎えてくれました。
東京田園調布にある「Laurent.B Bouquetier(ローラン・ベー・ブーケティエ)」に一歩踏み入れると、そこは日本とは思えない雰囲気。
この日は2018年の夏の暑い日だったというのに、さっきまで浴びていた夏の陽射しも過去の記憶のような気すらしてきます。流れている時間とひんやりとした空気が何か日常と違うように感じるのは、空調のせいだけではないでしょう。
グレーを基調としたシャビーシックな内装。どこを切り取っても絵になるような美しい空間に、ローランさんに選ばれた花たちが静かに並んでいました。
自らの手で空間まで作り出す美意識の高さ
どこを写真に撮っても絵になってしまう美しいアトリエの中は、ほとんどがローランさんの手作りでした。植物を美しく見せるために花器や家具をリメイクしたり、壁や背景まで手作りする徹底ぶり。至るところに彼の美意識が行き渡っている素敵なアトリエでした。
素敵なアトリエで本人にお話を伺ってきました
夏の午後とは思えないほど静かで落ち着いたアトリエで、ローラン・ボーニッシュさんにインタビューをさせていただきました。
ローラン・ボーニッシュさんと言えばバラ、と言っても過言ではないくらいバラを美しく生けるフラワーデザイナーの彼に、バラの魅力についてお話を伺ってきました。
見たバラのどんなところに魅力を感じますか?
「バラは、とても難しい存在です。同じ種類のものでも1つ1つ顔が違う。二度と同じものには会えない。だから、二度と同じ作品は作れない。そこがとてもユニーク(独特)だし楽しいところです。バラは香りも美しい。生産者の皆さんはその香りを作り出すことにも苦労しています。香りの良いバラに出会えるととても幸せな気持ちになれます。だから、バラの魅力は、顔、ユニーク(独特)、香りです」
バラを生けるときに意識していることはありますか?
「バラをきれいに見せるために周りは重要です。周りや間に、葉っぱ、雑草(草花)、小花を添えるようにします。
それは、立体感と勝ち負けという効果を出すためです。周りが負けているからバラが美しく見える。バラとバラを合わせるときは両方勝ちだから、1つ1つの美しさが見えなくなってしまいます。バラとバラを隣同士で生ける時には色を変えるようにします。そうするとお互いの美しさが引き立つようになります」
「作品を作るときには360°を意識しています。360°の仕上がりはとても大事です。裏が汚い作品なんて誰も見たくないでしょ?」
好きなバラはありますか?
「オールドローズ系が好きです。花びらが多くてふっくらしているバラが好き。日本で作出されたオリジナル品種のバラなどが好きですね。
ピンク系のバラを使うことが多いけど、特にこの色が好きという色はありません。一年中、その季節に合わせていろんな色のバラが好きです」
ローランさんが話してくれた、バラ以外のお話
せっかくローランさんが時間を作ってくれたのですから、もう少しお話を聞かせていただきましょう。バラ以外のことも聞いてみました。
バラ以外に好きな花は何ですか?
「好んでよく使うのはアストランチアです。あとは雑草(草花)系のものが好き。花って感じのユリのようなものよりも、自然に近いものが好きです」
とても自然な感じの世界観と微妙なニュアンスの色合いが素敵ですが、ローランさんの原風景は何ですか?
「フランスのロアール地方です。ここにあるおじさんの家に、夏休みのたびに行っていました。子供時代(の夏休み)はその田舎でいつも過ごしていました。豊かな自然に囲まれて、常に自然に触れていたから、自然というものを理解しました。
雑草と言われるような存在の可愛さが好きです。とても可愛いと思います。ネコジャラシのような、毎日見ている雑草って、絶対部屋の中に運ばないでしょ。でも部屋に入れて飾ったら可愛くなります。
毎日花屋で買ってきた花を飾るのは大変。でも雑草をちょっと切ってきて飾れば可愛い。そうしたら雑草はなくなります。もっといいでしょ」
そう言ってにっこりと笑いました。
流暢な日本語でたくさんの質問に答えてくれた、ローラン・ボーニッシュさん。彼の繊細でどこかノスタルジックな花の世界は、ロアール地方で身に着けた自然との向き合い方、雑草と言われているような植物を「存在」と表現する豊かな感性、そんな素敵な要素から成り立っていたのですね。
新刊本「Jeux de fleurs」の紹介
そんなローラン・ボーニッシュさんは、今年新しい本を出版されました。
ローランさんの美しい作品の数々を、四季を通して撮りためた、豪華な写真集です。どのページを開いてもため息が出るような美しさです。
雑誌に掲載された写真もありますが、屋外での写真は全て撮りおろしだそうです。各所にちりばめられたローランさんの美意識を、ぜひその手にとって堪能してください。
こちらの本は、ローランさんのアトリエから直接購入すると特典として、特別使用の表紙と特製布バッグがついてきます。
Jeux de fleurs(ジュー・ドゥ・フルール)
著者 Laurent.Borniche ローラン・ボーニッシュ
発行所 株式会社誠文堂新光社
最後にこのアトリエの魅力について伺いました
ローランさんがこの場所を選んだ理由は、この場所が東京と思えないくらい静かな場所で、きれいな自然光が入るところ。それから花壇が付いているところも気に入っているそうです。
花壇にはバラもアジサイも、ローランさんが雑草と呼ぶ草花たちも、たくさんの植物たちが植わっていました。好きなものばかり集めて植えている花壇だそうです。勢いよく繁茂するネコジャラシも周囲の花たちと混ざって、風に揺れていました。ネコジャラシをスズメが好んで食べにくるのだそうです。
花壇の写真を撮ってもいいかと聞いたところ、「写真はダメです。庭師が見たら、怒られてしまう。喜ぶのはスズメだけ」と恥ずかしそうに笑っていました。
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