【取材レポート】新しい植物がずらり!園芸業界限定のパックトライアル2024
LOVEGREEN編集部
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「パックトライアル」とは、種苗会社が生産者を招き、品種の紹介をして翌シーズンの生産検討をする場。ただ最近は生産者に限らず、植物の販売店や人気ユーチューバーなど幅広い関係者が来場し、また大手生産者も時期を合わせて展示会を開くなど、いち早く注目の品種をチェックする場となっています。「パックトライアル2024」では、千葉県内9ヵ所の会場で開催されたパックトライアルから、その一部をご紹介します。
目次
- ハクサン展示会2024/PW|シュラブ(低木)やペレニアル(宿根草)がますます充実!
- 未来アグリス|世界初の八重咲きトレニアが登場!
- エム・アンド・ビー・フローラ|タイタニウムに超種子系!お手頃価格のスペシャル品種に注目エム・アンド・ビー・フローラ|超種子系?お手頃価格のスペシャル品種に注目!
- ハルディン|ヒマワリシリーズ絶好調!カラーリーフも安定人気
- デュメンオレンジ|その色合いにひとめ惚れ!アロハダブル アプリコット
ハクサン展示会2024/PW|シュラブ(低木)やペレニアル(宿根草)がますます充実!
ハクサン展示会2024では、PWブランドの苗でおなじみのPWシュラブ(低木)、PWペレニアル(宿根草)、PWアニュアル(一年草)の多彩な品種が披露されました。
なかでも、PWシュラブ(低木)、PWペレニアル(宿根草)は一気に品種が増え、また従来品種もさらにブラッシュアップされたり、より良い品種が登場するなど、PW品種だけで庭が彩れるほどのラインアップに。いずれも観賞価値が高く、日本の広くない庭やベランダでも楽しめるコンパクトに育つ品種がそろっていました。PWシュラブ(低木)、PWペレニアル(宿根草)を植えっぱなしにして、季節の草花をアニュアル(一年草)で演出する。そんなローメンテナンスなスローガーデンがますます注目を集めそうです。
ラグランジア®シリーズもさらに充実
会場入り口で勢ぞろいしたラグランジア®シリーズ。中央が新登場の「ラグランジア®オーロランジュ」
PWファンにはおなじみとなったアジサイ「ラグランジア®シリーズ」には、「ラグランジア®オーロランジュ」が新登場。名前の通り、アジサイの花(装飾花)1枚1枚の色が、オーロラのように色変わりする美しい品種です。コデマリのように小さなボール状の花(装飾花)が一枝にたくさんつき、しだれるタイプなのでハンギング仕立てにするのも楽しそうです。24年春から店頭に並んでいるので、見かけたらぜひ手に取ってみてください。
会場には、人気ユーチューバーの「やっちゃんねる」さんも参戦。会場のメインスペースに置かれたラグランジア®ブライダルシャワーは、やっちゃんが挿し木から育てたそう。
挿し木4年越しの年越しの巨大ラグランジア®ブライダルシャワーを、やっちゃんに持たせる記者。重い鉢をありがとうございました!
こちらが、4年前にやっちゃんが挿し木したラグランジア®ブライダルシャワー。ここからあれほど大きく美しく生長するラグランジア®の品種力に驚かされました。
ラグランジア®シリーズは切花にもおすすめ
アジサイは一般的に水揚げしにくく切り花で楽しむのが難しいケースが多いですが、ラグランジア®シリーズの2年目の枝なら水分量が安定しているので水揚げがしやすく、季節感のある花を簡単に切り花として楽しむのにも最適です。さらに1枝には側芽ごとでたくさんの花がつくので、華やかさが歴然!満開の中から枝を数本切って花瓶に飾れば、お部屋をパッと明るく華やかな空間にしてくれます。ラグランジア®ならではの楽しみ方のひとつです。
こちらは24年秋から店頭に並ぶペレニアル(宿根草)「アルンクス シャンテリーレース」。
たくさんの枝にエレガントな白い花が咲き、とても繊細な美しさを感じます。白い花は遠目から黄金色に輝くようにも見え、いつまでも見飽きません。レース模様のようなディテールの葉も美しく、開花期以外も葉だけでも楽しめます。さらに耐陰性も高いので、シェードガーデンから日向まで、幅広いシチュエーションで楽しむことができるのもうれしいポイント。
他の草花との寄せ植えにも相性抜群です!
ブラックステム(黒色の茎)が特長のペレニアル(宿根草)「アムソニア ストームクラウド」は24年秋発売予定。耐暑性・耐寒性に優れ、お手入れが簡単で、冬に地上部が枯れて翌春また土から芽吹いてくる黒い新芽の様子も圧巻!
春先に一斉に咲くアイスブルーの星型の小花も美しく、ぜひ見てもらいたいポイントです。
変わったところでは、マンフレダとアガベのハイブリッド品種「マンガベ プレイングハンズ」が参考展示されていました。「お祈りする手の形」を意味するプレイングハンズの名前通りの丸みを帯びた形が特長的。その神秘的な姿から、自然が生み出す「育つアート」として紹介されました。
水やり名人の注目資材「アクアセル®」
ハクサン会場では、最近急速に注目を集める資材「アクアセル®」も展示されました。アクアセル®は、吸水性と保水性に優れた特殊素材でできた、植物を長もちさせるためのスポンジ。一般的なウレタンに比べ約6倍の水を吸収し、植物が必要な水を必要なだけ根から吸収することができます。
生産農場や流通の過程、店頭などでも活躍するアクアセル®ですが、家庭用には鉢底石のように鉢の底に入れて使える「アクアセル®キューブ」が販売されています。
鉢底に入れたアクアセル®キューブが浸るぐらいの水を鉢皿に入れておけば、植物が自分で必要な量の水を吸水してくれます。アクアセル®を用いて育てた植物は、水を求めて根がぐんぐん伸びるようになり、とてもイキイキと育ちますよ(編集部スタッフも自宅の観葉に使っていますが、水管理がとっても楽です)。
未来アグリス|世界初の八重咲きトレニアが登場!
全国4,000軒の植物生産者とのネットワークを持つ未来アグリス(株)は、ガーデニングのポット苗供給を支える縁の下の力持ち。
その中でもトピックとして紹介されたのが、25年春に限定発売が予定される世界初の八重咲きトレニア「セレスティア」です。
トレニアの強健さはそのままに、波打つフリルの花弁が優美!花色は3色で、ローズは大輪の八重咲き、バイオレットブルーとパールホワイトは半八重~八重咲きになります。
八重咲きトレニア「セレスティア」のパールホワイト
八重咲きトレニア「セレスティア」のローズ
環境配慮のエコポットも
未来アグリス会場では、環境に配慮したサスティナブルな植木鉢や鉢カバーも紹介されました。
リサイクルプラポット&ソーサ―は、廃ペットボトルなどのリサイクル素材を60%配合、ストーンパウダーを40%使用した植木鉢シリーズ。軽くて耐久性があり、屋内でも屋外でも使えます。デザインもブラック・ベージュ・オリーブといったベーシックな単色から、上写真のような模様まで多彩。鉢底には吸水パーツがセットされおり、受け皿に水を貯めて底面給水できる機能も備えています。
こちらはなんと紙素材でできた鉢カバー「PAPER POTTERY」。陶器のようなしっかりとした質感で、聞かなければ紙素材とは気づかないほど。
内側は天然ゴムでコーティングした防水仕様で水濡れにも安心です。
エム・アンド・ビー・フローラ|タイタニウムに超種子系!お手頃価格のスペシャル品種に注目
幅広い草花品種を展開する(株)エム・アンド・ビー・フローラの会場では、耐病性をもった次世代ビンカや、種子系と栄養系のいいとこどりをした「超種子系」などの提案が目を引きました。
次世代ビンカ「タイタニウム」登場!
会場で注目を集めたのが、ビンカ「タイタニウム」。これまでも、ユーザーや生産者がより育てやすい品種をと、インパチェンス「ビーコン」など耐病性を持った品種を展開してきた同社ですが、次に世に出すのがこの「タイタニウム」です。
優れた環境適応力や育てやすさで定評のあるビンカ「タイタン」に、さら耐病性を付与。ローメンテナンスでたくさんの大輪の花を楽しむことができます。
ユーザーも生産者もうれしい「超種子系」って?
種子系品種に定評がある同社では近年、栄養系品種にも力を入れていますが、その強みをさらに活かした提案が、「超種子系」の品種群たちです。
「超種子系」とはなんぞや?
説明しましょう。店頭に並ぶ苗には、生産者が種から育てる「種子系(実生系)」と呼ばれる品種と、見た目も性質もスペシャルな品種を挿し芽や挿し木、プラグ苗から育てる「栄養系」と呼ばれる品種があります。
「種子系」は、生産者が低コストで安定的に生産できる一方で、花や草姿に目新しさが少ない傾向があります。対して「栄養系」は、生産コストや技術がかかる分、見た目も生育パフォーマンスも優れた品種が多いです。
「超種子系」シリーズは、生産のしやすさや買いやすい価格はそのままに、見た目や生育パフォーマンスも栄養系にひけをとらない品種を選抜した種子系品種たちなのです。
多くの生産者が生産コストを抑えて苗をつくれるということは、私たちユーザーも買いやすい価格のポット苗を手にできるということ。そうした品種が充実するのは、ガーデニングの大きな下支えになりそうです。
ちなみにエム・アンド・ビー・フローラの注目品種については、同社の難波さん(通称ナンバッチ)が、インスタグラムで分かりやすく動画レポートしてくれているので、ぜひチェックしてみてくださいね!
ハルディン|ヒマワリシリーズ絶好調!カラーリーフも安定人気
ヒューケラやコリウスなどのカラーリーフや、ペチュニア、最近では鉢植えヒマワリなどでも知られる大手生産者(株)ハルディン会場にも、多くの来場者がありました。
会場エントランスでは、同社の代名詞ともいえるヒューケラを中心に、カラーリーフをメインにしたモデルガーデンがお出迎え。
一風変わった新品種として、フリフリヒューケラ「フリリィ」が登場。これまでにないユニークな葉の形と、フリル葉が幾重にも重なることで、こんもりボール状になる立体感が特長です。
季節によって葉色がキャラメルピンクからシナモンオレンジ、秋から冬にかけてはディープオレンジからバーガンディ色へと移り変わるのも魅力です。皆さんならどんな風に楽しみますか?
昨春、LOVEGREENのモニター企画でも大好評だった鉢植えヒマワリ「ソルシーカー ビーイエロー」も着実に人気を集めています。
背が高いというヒマワリのイメージを覆し、ベランダの鉢植えでも楽しめるこの品種は、誰もが知っているヒマワリをより身近にしてくれます。
草丈が低いヒマワリなので、カラーリーフなどと寄せ植えにしても素敵ですよ。
こちらは新登場のダイアンサス「あなたにキュン」。思い切ったネーミングですが、実際に花を目の前にすると本当にキュン!となります(笑)。キュートな花色はぜひ目にしてほしい可愛さ。母の日の鉢植えギフトとしても提案されていたので、来年の母の日には店頭で目にする機会があるかもしれませんね。
デュメンオレンジ|その色合いにひとめ惚れ!アロハダブル アプリコット
ハルディン会場では、オランダの種苗会社デュメン・オレンジの品種を国内で広めるデュメンオレンジジャパン(株)も出展しました。
世界中の生産者に幅広い植物の種苗を供給する同社ですが、会場でひときわ目を引いたのが、カリブラコア「アロハダブル アプリコット」です。
4月に行われた「横浜フラワー&ガーデンフェスティバル2024」でも来場者による人気投票で数ある品種の中から2位を獲得!
その優美で可憐なニュアンスカラーの花色が多くのユーザーをひと目で惹きつけました。
柔らかく優しい花色。株を覆うほど満開に咲いていても、この花色のおかげで圧迫感はまったくなく、軽やかな印象を与えてくれます。
こちらはダリア「サマービーズ」。どちらかといえばシックなイメージのあるダリアですが、サマービーズは春~夏が似合う元気な花色!
草丈は低くコンパクトなので、大輪花の存在感がより引き立ちます。生育旺盛なので、大きめの鉢や花壇でボリュームたっぷりに育てたいダリアです。
デュメンオレンジでは、このほかにも幅広い品種をラインアップしているので、日本でのこれからの普及にますます期待が膨らみます。
今回は全会場をまわることができませんでしたが、ここでは紹介しきれなかった種苗会社もたくさんの展示を行いました。
各会場では園芸関係者が翌シーズンに生産や販売をする品種を検討し、近い将来皆さまのお手元に届くことになります。業界内でのクローズな展示会ではありますが、本当のニーズはこの記事を読んでいただいているお花好きの皆様にあり!いつかLOVEGREENでも、展示会ツアーを開催できたら……そんな妄想を膨らませつつ、レポートを終わります。
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