地球と人類の共存は可能か?|二宮孝嗣の「自然・植物よもやま話」⑫
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世界のフラワーショーで数々の受賞歴をもち、庭・植物のスペシャリストであるガーデンデザイナー・二宮孝嗣さんによるコラム連載「自然・植物よもやま話」をお届けします。第12回目は「地球と人類の共存」について、二宮さんと一緒に考えてみましょう。
目次
世界の四大文明が消滅した理由は?

人類は、アフリカの森から地上に降り立ってから数百万年という長い間、ゆっくりと他の動植物たちとともに共存してきました。しかし、ここ数千年の間で、人類が積極的に周りの環境を自分たちの都合の良いように利用し始めました。
約9000年前にメソポタミア文明がチグリス・ユーフラテス川のほとりで始まり、ナイル川のほとりでエジプト文明が、そのほか8000年ぐらい前には黄河文明、3000年くらい前にはインダス文明と、世界の四大文明は地球の長い歴史の中でほんの一時的に栄え、全て数千年の間に消滅してしまいました。
消滅の一番大きな理由は、周りの木を切ってしまったことにより、当時唯一の燃料であった木材がなくなってしまったことだと思われます。どの文明も大きな川のほとりにあったのですが、日本の森のように自己復元能力が弱く、木を切った後に植林することもなかったので、どの地もその文明を支えることはできませんでした。
SDGsという言葉に安心していませんか

しかし、その後も地球のあちこちで、人類は周りの環境を壊し、人口を増やしながら現在に至っています。特に、地球が丸いことがわかってからの人類の環境への関わりは凄まじく、ある意味、略奪と搾取の歴史へと変わっていきます。大航海時代から産業革命時代に、人類は森を切っては更地を作り、どんどん内陸に侵入し、現在に至っては環境に優しいと言いながら太陽光パネルなどで環境を破壊し続けています。もう、自然との共存という言葉さえ「痩せ犬の遠吠え」に聞こえてしまいます。
人類が増殖して地球上を覆い尽くしてしまう事は、誰も止めることはできませんし、少しでも本来あるべき持続性を持つ地球の姿に後戻りすることが可能だとは思わないでしょう。少し前まではカーボンフリー、今はSDGsと言えば何でも人類の将来が薔薇色に思えてくるような気がしますが、本当のところ、少しは環境破壊が弱まるのかもしれませんが、決して本質的に共存できるような将来は見えてきません。もっと積極的に現状に関わり合っていかないと、なかなか明るい将来は見えないのです。
温暖化の速度を弱めるために

我々は今、地球のある意味支配者である植物をもっと積極的に増やさなくてはいけないと思います。太陽光や風力による発電で作ったエネルギーで海水から真水を作り、その水で森を育てれば、砂漠が緑あふれる森に変わっていくはずです。水さえあれば砂漠が緑に変わるのです。アフガニスタンで水路を作って砂漠を森に変えていった中村哲さんがその良い例です。これにより、大気中のCO2が固定され、温暖化は速度を弱めるでしょう。
もう一方で、現在の大気中のCO2をなんとか固定して減らしていかなくてはいけませんが、植物で固定する以外、その手法の決定打はまだ出ていないようです。
人類の存在理由は?

人類の地球上での存在理由がはっきりすれば、それに伴ってこれまでの環境破壊が少しでも許されるのではないでしょうか。皆さんは、人類が地球上になぜ現れ、まだまだ生命の歴史から考えると短い間ですが、ここまで存続してきたかを考えてみたことはおありでしょうか?
僕は、地球上のすべての生き物にはそれなりのなくてはならない存在理由があるのだと考えています。それは、食物連鎖を考えれば納得がいくことだと思います。すべての生命が食物連鎖のどこかに属しているのだとしたら、人類はその頂点に立っているのだと思われますが、果たしてそうでしょうか。
その生命の存在理由を考えるには、その種がいなくなったことをイメージしてみると見つかると思いますが、残念ながら人類が地球上からいなくなった時に、食物連鎖で困る事が起きるとは考えられず、そうなると、僕にはまだ人類の存在理由が見つかりません。それ故、人類がいなくなったら、逆に本来あるべき姿になるのではないでしょうか? 人類はすべての食物連鎖の外にいる存在なので、そこに人類の存在理由は無いのかもしれません。
地球に対して謙虚に生きる

また、別の見方をすれば、人類を含めてほぼすべての動物が植物の炭酸同化作用(植物が空気中の二酸化炭素を吸収し、光のエネルギーを利用して有機物を合成する過程のこと)によって生かされている現状を考えれば、食物連鎖のさらにその上に植物があると考えることはできないでしょうか? 現在は、人類が地球の支配者のように振舞っていますが、それは植物という「お釈迦様の手のひらの中」で全ての動物が生かされているように思えます。
話がわかりにくくなってきましたが……
僕が今現在、人類がすべきだと思うことは、もう少し地球に対して謙虚に生きてはどうかということです。そうすればその遠い先に、自然との共存、 本当の意味でのSDGsに繋がるのではないでしょうか。
植物よもやま話を一年間自由気ままに書かせていただきましたが、何か皆さんに参考になる事があったでしょうか?
最後に書いたように、植物の炭酸同化作用だけが今までは地球上で唯一のエネルギー生産手法でしたが、近年人類は太陽光発電や風力発電によって、初めて植物に頼らない太陽エネルギーを手に入れる事ができるようになりました。今まで地球上のほとんどすべてのエネルギー生産者であった植物に、人類が取って代わる可能性が出てきました。
近い将来、人類に関わり合う動植物だけが生き残れる地球にならないように、危機感を持って物事を進めていかなくてはいけないと思うのは僕だけでしょうか?
一年間、僕の思いつくままにまとまりの悪い話を読んでいただけた方には、本当に感謝しております。次回からは、もう少し軽く「庭」の話をしていきたいと思っていますので、またお付き合い願えればと思います。
▼二宮孝嗣さんのインタビュー記事はこちら

二宮孝嗣(にのみや・こうじ)
ガーデンデザイナー、樹木医。
静岡大学農学部園芸学科卒、千葉大学園芸学部大学院修了。
1975年からドイツ、イギリス、ベルギー、オランダ、イラク(バグダッド)と海外各地で活躍の後、1982年に長野県飯田市にてセイセイナーセリーを開業。宿根草、山野草、盆栽を栽培する傍ら、飯田市立緑ヶ丘中学校外構、平谷村平谷小学校ビオトープガーデン、世界各地で庭園をデザインする活動を続ける。
1995年には世界三大フラワーショーのひとつ、イギリスのチェルシーフラワーショーで日本人初となるゴールドメダルを受賞した。さらに、オーストラリアのメルボルンフラワーショー、ニュージーランドのエラズリーフラワーショーと、世界三大フラワーショーのゴールドメダルをすべて受賞、世界初となる三冠を達成した。ほかにも世界各地のフラワーショーに参加、独自の世界観での庭園デザインで世界の人々を魅了し、数々の受賞歴をもつ。
樹木医七期会会長、一級造園施工管理技士、過去に恵泉女学園、岐阜県立国際園芸アカデミー非常勤講師。各地での講演や植栽・ガーデニングのセミナーなども多数。著書『美しい花言葉・花図鑑-彩と物語を楽しむ』(ナツメ社)はロングセラーとなっている。










































