世界の植物紀行 – 四代目金岡又右衛門 –マダガスカル編2「ムルンダバ」
LOVEGREEN編集部
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お待たせしました。さ~、ここからはマダガスカルについて書かせていただきます。マダガスカルはバオバブをはじめ魅力的な植物がいっぱいです。何とその約80%が固有植物とのこと。まさに宝庫です。そのような植物が各地に点在しています。この記事を読んでいただいて、是非この地を訪れたいと思われた方のために、数回に渡って訪れた中から代表的な場所を道のり含めてご紹介させていただきます。
目次
アンタナナリボからムルンダバへ
この写真の光景を多くの方が見られたことがあると思います。これはムルンダバにあるバオバブ街道の写真です。まずはこの代表的な場所、ムルンダバの案内をさせていただきます。
アンタナナリボからムルンダバに行く方法は2つ。その一つが国内線での飛行機です。飛行機に乗っている時間は約1時間。そしてもう一つが車です。アンタナナリボから途中カーブの多い山道があるものの概ね整備がされている幹線が走っているので、スムーズに行ければ約10時間で行くことが可能です。ただここでいう車とはあくまでもチャーターした4WDの車になるので、マダガスカルにあるタクシーブルースの利用ではないです。
ここで、タクシーブルースという単語を初めて聞く人もいるかと思いますので簡単に。タクシーブルースとは乗り合いバスのようなものです。よく見かけます。安価ではあるものの決して乗り心地がいいとは言えないのと、慣れていなければトラブルに巻き込まれることもあるので旅行者にはおすすめはできません。
さて私は空路と陸路両方で行っていますのでそのメリット、デメリットについてお話をさせていただきます。
空路の場合
飛行機で向かうには、当たり前だが空港にまでいかなければならない。市内のホテルからであれば時間帯にもよるが30分から1時間で到着する。しかし空港には約3時間前に到着したほうが好ましいとのことでボーディングタイムの4時間前にホテルをチェックアウトする。
なぜ国内線であるのに3時間前に行く方が良いのかというとマダガスカルの国内線は極めて不安定であるからである。そのため、まずは空港に行って欠航でないかどうかのチェックが必要である。現在では少し便利になってPCなどでも確認はできるようだが100%信用できるかどうかはかなり微妙である。
次に座席の確保である。日本や多くの国では予約しているから大丈夫という認識は通用しないこともある。多くダブルブッキングをさせているようで、早く行って座席を確保しなければ、予約していても、勝手にキャンセルされてしまうこともあるようで、いわば早い者勝ちみたいなところもある。
無事ボーディングパスを受け取ればまずは一安心だが、飛行機のスケジュールは不安定である。また、セキュリティーチェックは結構厳しい。
まずは体温チェック。昨今のCOVID-19に関係なく以前から行われている。続いて持ち物チェック。ナイフ類、ドリンク類やスプレー缶がダメなのは世界共通。パソコンも見せるだけではなく開いてチェックをしている。少し珍しい禁止品もある。ガラスや陶器製品だ。恐らく割って凶器になるからだろう。ご当地バオバブの小さな置物もNG。鈍器になるからであろう。そしてガムテープ、紐、メジャーもNG。これはきっと手を縛ったりするからであろう。ただそこまで言い始めたら何でも凶器になるような気もする。とりあえず又右衛門自身が凶器と思われなかったことに安堵し次へ進む。
そしてボディーチェック。眼鏡も外し、バンダナも外して検査。ポケットの中のティッシュもNG。そして結構きわどいところまでのボディータッチ。その後の女性の検査官同士のひそひそ会話が少し気になった。笑みを浮かべながら見送られた光景が妙に目に焼き付いている(^_^;)
やっと飛行機に乗れるのだが、搭乗口には人が並んでいる。ボーディングパスの座席がかぶっている人もいるようである。実際にボーディングパスをみると座席の表示がないものや×で消されている人もいる。まさに椅子取り合戦のようなのかもしれない。ただこの時のわたしはそのようなこともなく無事席を確保でき、飛行機も遅れることなくムルンダバに到着した。
結局、ホテルを出てからは5時間ぐらいを要したことになる。また欠航などのことを考えると大きなリスクがあるので旅行であるならば私は車をお勧めする。その理由の第一が現地に行くまでの素敵な光景にあるからである。ここからは車でムルンダバを訪れた時のことを書かせていただく。
陸路の場合
まず車で行くにも2通りある。一つはガイド付きのチャーター車。タナ(アンタナナリボの略称)からムルンダバまで約700kmの行程。ドライバーの腕前によって大きく変わるが約9時間、休憩を含めると10時間少々で現地に到着でき、比較的自由度が高いので圧倒的におすすめである。
もう一つがタクシーブルースである。先ほどお伝えしたように、様々なトラブルも考えられるので何度か行っている私も原則は利用をしないようにしている。おまけに到着まで丸1日を要するので、私はチャーターの車で目的地をめざす。
早朝4時、ホテルを出発。辺りは霧がかかっている。なぜこのように早い時間に出発するかというと渋滞なく市内をでて、夕方のショータイムまでにムルンダバに到着がしたいからである。
深い霧の中を結構速いスピードで現地をめざす。トラックなどを追い抜きながらの山道運転はジェットコースターにのったような気さえする。結構怖い。
朝が急に冷え込んだせいか、深いモヤで視界が極めて悪い。暗闇の中から飛び出す人や牛車には何度も驚かされる。
途中視界の悪さからであろう、車線から外れたトラックを何台か見かけた。もしこのトラックが道をふさいでいれば、一本道のため、ずっと通行止めで今回はムルンダバには行けなかったであろう。また引き返すにもホテルもなかったかもしれない。運が良いと言えば事故にあった人には失礼であるが、何とか通行ができたため引き続き山道をひた走る。
途中、モヤの中から飛び出すように見えてくる牛車に脅かされる。さらに厳しい山道と疲れのせいか、車酔いに悩まされる。
そのような苦しい中も、窓から見える美しい棚田が酔いを癒してくれる。
行程の約3分の1、アンチラベに到着。ここで朝食をいただく。
シンプルなパンがとても美味しい。絶品であった!そしてランチのパンも買い込んで再びひた走る。
ここから約500kmの道は比較的緩やかである。田園風景が美しい。途中では、砂金を採る光景やのどかな農村を見ることができる。
行程の半分を過ぎたぐらいでランチタイム。先ほど買ったパンとソーセージをパッと食べる。普段あまりパンを食べないためもあるのか、このシンプルさがとても美味しく感じる。そして再びただただひた走る。
途中マダガスカルが本家本元のビスマルキアの群生にも出会える。どんな光景が目に飛び込んでくるかわからないので、おちおち眠ることもできない。
そして何とか明るい間にムルンダバへと到着し、一旦ホテルにチェックイン。お気に入りのバオバブカフェである。大きな荷物を部屋に放り込み、必要最低限の荷物をもって、もうすぐ始まるショータイムを観に行くためにホテルを出発した。
ショータイム
ホテルを出発し、しばらくすると目の前にバオバブ街道が拡がってきた。何度観ても感動的である。
そしてビュースポットに腰を下ろして、バオバブの間を沈んでいくように観える夕陽にしばし心を奪われていた。
この大自然のショータイムは瞬きさえするのが惜しい。
そうこうしているうちに陽は落ち、暗くなったのでホテルに戻ることにした。このホテルは日本のような便利さや清潔さとは違うが、趣があるホテルであるのでお勧めである。
そして、夕食をいただいた。シンプルな味付けがとても美味しい。ガスウォーターが身体に染み渡る。お腹もいっぱいになり部屋に戻って、冷たいシャワーで汗を流して、とても満たされた気分でベッドに横たわった。
バオバブ街道
朝は4時起床。再びバオバブ街道へ行く。ここで日の出のバオバブを少し眺める。朝もまた素敵である。ここバオバブ街道は、朝夕ともに素敵であるのでせっかくなら両方をチェックしていただきたい。
それともう一つ、バオバブ街道を通り抜け、振り返ると、それはそれで素敵な光景であるので、正面からだけではなく、必ず両方を観ていただきたい。
雑誌などでは夕焼けバックの写真が多いため通常の正面と言われるところからの写真が殆どだが、個人的にはその反対側からの街道の方が良いように感じることもあるほどである。車で通り抜けるも良し、歩いて現地の人や行き交う観光者と触れ合いながらもなお良しである。
さらにもう一つ、バオバブ街道を通り抜け、しばらく車を走らせ、左に曲がると「抱き合うバオバブ」を観ることができる。品種はグランディディエリではなくフニィ―である。仲良く抱き合っているように見える姿が微笑ましい。この姿を観て、複雑に絡み合ってしまっていると感じた方は、現在大変な私生活の環境かと思うので、お見舞い申し上げます(笑)
再びホテルに戻り、パッキングを済ませて、カフェでコーヒーを流し込み、次の街へと移動することにした。次回は往路で案内できなかったアンチラベや道中の素敵な光景のお話をさせていただきたいと思います。次回も是非お読みいただければです。
PROFILE
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四代目金岡又右衛門
「世界の感動を日本に。日本の感性を世界へ。」 まだ見ぬ植物との出逢いを求め、世界を奔走する金岡又右衛門。世界各国に拡がるネットワークと持ち前の行動力を駆使し、希少性の高い植物を求め、自らの足で直接現地に赴き目利きをし、日本に紹介している。植物と大地への尊厳の念を持ち、植物の”生”へのこだわりを第一とする活動スタイルは、国内外の専門家から高く評価され、業界からの信頼も厚く、植物貿易の第一人者と評価される。
Facebook/人と人、国と国を繋ごう。
HP/緑匠・又右衛門
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