栽培されているのはお薬の原料!? 東京都薬用植物園をご紹介
LOVEGREEN編集部
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今回ご紹介するのは、東京都にある個性豊かな植物園のなかでも、ほかとは一味違った魅力を持つ東京都薬用植物園。実はこの植物園、私たちの暮らしに欠かせないお薬の原料や身近に見られる毒のある植物が栽培されているんです! 見どころをギュッとまとめてお届けします。
目次
東京都薬用植物園とは?
薬用植物を収集、栽培している東京都薬用植物園。私たちの暮らしに欠かせないお薬の原料を確保するために始まったこの植物園ですが、現在では主に植物鑑別などの試験検査・調査研究を行っています。お薬や生活に利用されている植物を実際に見て学ぶことも可能です。
アクセス情報などについてくわしくみる!
- 最寄駅 : 西武拝島線東大和市駅
- アクセス : 西武拝島線東大和市駅下車徒歩2分。またはJR立川駅北口から西武バス南街方面行で (6-8番 乗場)都立薬用植物園前下車
- 住所 : 東京都小平市中島町21−1
漢方医学・民間療法・製薬などに用いられる植物を収集・栽培している植物園です。温室・冷房室・展示室・研修室などの施設があり、薬用植物の正しい知識の普及に努めています。
※
・入園無料
・物販あり。
ふれあいガーデン草星舎(http://www.fureai-garden.net/)にて
・食事場所について
飲食物の持ち込みOK。飲食は東屋、ベンチのみ。
ゴミ箱なし。飲酒禁止。
・トイレ:屋外1か所、薬事資料館内1か所
・ベビーカーでの利用可能。
・園内禁煙。
どこで、どんな植物が見られるの?
温室
熱帯・亜熱帯原産のお薬や暮らしにかかわる植物が並びます。また、冷房室が隣接されているので、寒冷地を好む植物も合わせてチェックしてみましょう。なお、冷房室は窓越しからの観察となります。
写真は温室の外観。中には熱帯・亜熱帯原産の薬用植物が多く栽培されています。
漢方原料植物区
漢方とは中国を起源とし、日本で独自の進化を遂げた医学です。「葛根湯(かっこんとう)」「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」などの名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。これらはいくつかの生薬を組み合わせてつくられているお薬です。東京都薬用植物園では、その原料となる植物を栽培しています。
民間薬原料植物区
漢方薬とちがって、原料の植物を単体で使うことが多いのが民間薬の特徴だそうです。
たとえば、写真のゲンノショウコは整腸・下痢止めの効果があると言われています。ほかにドクダミ・ハトムギなど、身近な植物も民間薬として利用されています。
水生植物区
ガマやコウホネなど、水辺に生きる薬用植物を集めています。写真は8月に撮影したので、ガマの穂が見ごろを迎えています。「因幡の白兎伝説」に登場するガマも花粉を生薬として用います。
ケシ・アサ試験区
こちらでは、アサ、モルヒネの原料となるケシを柵のなかで栽培しているとのこと。これは研究目的のほか、警察官や医学・薬学・看護学生が違法なケシやアサの見分け方などを学ぶ目的も兼ねています。
柵の外にはアサの仲間で間違えやすい植物(合法)などが植えられています。
製薬原料植物区
私たちの生活になじみ深い西洋医学のお薬も、植物を原料としているものが多くあります。ヤエチョウセンアサガオなど一歩間違えば有毒な植物もありますが、製薬原料としてここでは紹介されています。
染料・香料植物区
染物に使うアイ(藍)や、香料として用いられるハーブを栽培しているエリアです。写真は白い花が咲くアイ。アイは葉を傷つけると藍色に染まり、日本では古くから染料として用いられてきました。
有毒植物区
有毒な植物を集めているエリアです。わたしたちのお庭でもよく見るスズランやヒガンバナ、クリスマスローズなども有毒なことをご存じでしたか? キョウチクトウなど大変毒性の強いものもありますので、注意しながら観察したいですね。
ロックガーデン
山地や岩間で育つ植物を集めた小さな庭のようになっています。リンドウやオミナエシなど、可憐な山野草も見られます。
ほかにも、サンシュユやウメなど、暮らしにかかわる樹木を植えた有用樹木区、外国産の薬用植物を集めた外国植物区、ボランティアの方々が管理に携わるふれあいガーデンなどがあります。
ふれあいガーデン草星舎
ボランティアの方々が管理に携わっている「ふれあいガーデン」。草星舎(そうせいしゃ)という拠点があり、ワークショップや物販を行っています。
東京都薬用植物のココが見どころ!
薬効や毒性が詳しく説明されている!
多くの植物園で見られる、植物を種類ごとに紹介するタグ。東京都薬用植物園はタグもほかとちょっとちがいます。植物名のほかに、生薬としての名前や用途、利用されている部位などが細かく説明されているのはここならでは。ひとつひとつの説明を読むのがとても楽しく、どんどん知識が増えていきそう。一日では回りきれないかもしれませんね。
カキのヘタの部分を生薬として用いるのだそうです。ご存じでしたか?
植物の種類がたくさん!
ほかの植物園とはちょっとちがったラインナップの植物を見ることができる東京都薬用植物園。じつは薬用植物として753種、全体では1,600種もの種類の植物を集めています。これらの植物がギュッとまとまっているので、多くの植物をあまりあちこち回らずに見ることができるのが特徴です。
ガイドしてもらえる!
東京都薬用植物園では、ボランティアのガイドさんが無料で案内をしてくれます。毎週水~日曜日と祝日(4~5月は毎日)の開園時間に行っていて、事前予約も可能。また、タイミングさえ合えば予約せずともお願いできることも! 見ごろのお花や、植物についての説明などはやっぱりガイドさんがいると楽しみやすいですよね。
※20名以上の団体での来園の際には、ボランティアさんではなく東京都生薬協会の方が案内してくれるそうです(要予約。予約は前の月の20日までにお願いします)。
珍しい花・季節の花が楽しめる!
モルヒネなどの原料となるケシ。突然ですが、ケシの花がいつごろ咲くのかご存じですか? 5月中旬が見頃だそうです。
薬用植物のなかには美しい花を咲かせる植物もたくさんあります。8~10月の花や冬の実がなる樹木などがおすすめ。写真のミソハギやゲンノショウコの小さくてかわいらしい花、サンシュユの赤い実などが見られます。きれいな花や実がつく植物が、お薬としても利用できることができるのですね。
カカオの花は温室で年間3~4回ほど開花するそう。カカオの花は幹や枝に直接付きます。変わったかたちですが、白くてとてもかわいい花です。
東京都薬用植物園でこんなことができます!
薬草教室
東京都薬用植物園では、年間8回薬草教室を開いています。食べられる薬草や漢方、バイオテクノロジーなどについて学ぶことができます。各回先着100名、大変人気の教室なので、気になる方は要チェック!
薬草教室についてくわしくみる!
薬草教室(平成29年度第7回)園内林地で見られる野鳥
講師:吉澤正夫(東京都薬用植物園元職員・森林インストラクター)
薬草教室(平成29年度第8回)頭痛の漢方治療
講師:大野修嗣(大野クリニック院長)
ワークショップ・その他のイベント
薬膳やハーブの講座、園内で栽培しているケシについての説明などやラベンダースティックづくり、ハロウィンのフラワーアレンジなどのものづくりのイベントを毎月開催しています。
イベント情報についてくわしくみる!
好アクセスで入場無料
西武拝島線の東大和市駅で下車すると、すぐに植物園入口までたどりつくというアクセスの良さも魅力です。駐車場はあまり広くありませんので、ぜひ電車やバスでおでかけしましょう。また入場無料なので、何度でも足を運びたいスポットです。
いかがでしたか?
独自の魅力が詰まった東京都薬用植物園。じっくりと見て回れば、わたしたちの生活に植物がいかに無くてはならないものか分かると思います。季節ごとに何度でも訪れたいスポットです。
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