夏のそよ風みたいな草花を籠に生けて涼を運んでみませんか?
峰亜由美
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初夏になると生い茂る草花、いつも見る景色も違って見えてしまう程に生命力あふれて生い茂る雑草。
この季節は、つい邪魔だと思ってしまいがちですが、雑草と呼ばれている草花達にも素敵な名前があって、よく見ると綺麗な形をしていたり、可憐な花を咲かせています。草刈の合間や、ふと木陰で足を止めて見つめてみると、その季節に藪を作ったり、街路樹の脇から生えてくる草花の個性を楽しむ事が出来ます。
今回は野の草を籠にいけてみました。
籠に生けてみると、いつも見慣れた雑草達は表情を変え、涼を部屋に運び季節を豊かに感じる主役に変身します。
是非楽しんでみて下さいね。
目次
■完成です
個性的な雑草の活かし方
初夏になると生命力あふれる雑草と呼ばれる草花達は素敵な名前や個性的な名前がそれぞれについて、名前の由来を調べてみたり、花や葉の形、お花屋さんにある花達とはまた違った世界が見えてきてきます。
小さな面白い発見がありますので、夏の木陰で足元の植物達に目を向けてみて下さい。今回は野に咲く6種類の草花を使って籠に花を生けてみます。今回使用する花のご紹介です。
1.山紫陽花(ヤマアジサイ)
ユキノシタ科アジサイ属の耐寒性落葉低木
山紫陽花は日本の各地で古くから自生している野生種の紫陽花です。まあるく小さめの花房と小ぶりな葉が繊細な印象を与えます。細い枝の先に、たわわな花が咲き満開で膨らむ様子は可愛らしさと華やかさを見せてくれます。
今回はきれいな秋色に変化し始めたヤマアジサイを生けてみました。
2.ドクダミ
ドクダミ科ドクダミ属の多年草。
乾燥させてお茶にしても美味しいドクダミは日本では江戸時代にドクダミの名がつき現在まで親しまれています。
ドクダミはハート形の大きな葉と優しい肉厚な白色の花びらが可愛らしい植物です。生けたりアレンジに入れたりすると個性的なアレンジになります。
3.ナズナ
アブラナ科ナズナ属の越年草
小さな白い花が終わるとハート型の種に変化し繊細な可愛らしいさが増していきます。
最近ではその可愛らしい様子がブーケやアレンジメントの中で名わき役となり、生花店の店頭でも見られる様になってきた草花です。
一輪挿しや、ナズナだけを生けてみても素敵です。
4.トキワツユクサ(別名 ノハカタツユクサ)
ツユクサ科ムラサキツユクサ属の南アメリカ原産の多年草です。昭和初期に鑑賞用の園芸種として輸入され現在は野生化。
野山だけではなく、歩道や河原などあらゆる所で初夏になると芽を出します。茎は節ごとに角度があり弧を描くような形が特徴的です。白い爽やかな小さな花を咲かせ、茎の節は紫がかったグラデーションをしています。
このグラデーションの色や茎の形を活かして生けると、一輪挿しも素敵な草花です。
5.ヤブガラシ
ブドウ科ヤブガラシ属の多年草で、藪を枯らしてしまう程の育成力と繁殖力から、この名前が付けられたヤブガラシ。茎の色や、伸びやかな蔓の形、赤みががかったシックな葉の色を活かして生けてみると素敵なあしらいを楽しめます。
6.カモジグサ
イネ科エゾムギ属の多年草で、初夏を過ぎ雑草が生い茂る季節になると道端でもお馴染みのカモジグサ。
背丈は40㎝から100㎝程になり、風にそよそよと揺れる姿をしています。
花籠にいけると細い茎と勢いのある弓のような形が空間を作り風が通り抜けるような印象を作り出します。
籠にいけるには?
夏は竹籠や籐の籠等に花を生けると、すずやかな景色を部屋に運ぶ事ができます。
籠に花を生ける時のお水の入れ方をご紹介します。
今回使用した籠は蝉かごと呼ばれる日本で古くから愛されている籠を使用しました。
どんな籠でも代用できますのでご自宅にある籠を使ってみて下さいね。
籠に入るサイズのグラス等、水がはいる入れ物を準備します。グラスにお水を入れて籠の中へ。
グラスは籠の中央、或いは、どちらかの両端に寄せたりして生けたい植物に合わせてセッティングします。
中に入れる水を張る入れ物はペットボトルを籠のサイズに合わせてカットして使用する事も出来ますよ。
ペットボトルの良い点はどんな高さにもカット出来るので、ご自宅にある背の低い籠でも対応できます。
例えば、こんな風に低い籠に合わせて水入れとしてカットして使用できます。
草花を籠にいけてみよう
花を生ける際はなるべく、面積を広く使う花から活けていきましょう。
「野に咲いていたように」を意識して生けてみると上手くいきますよ。
1.山紫陽花(ヤマアジサイ)をいける
はじめに山紫陽花の位置を決めます。
ヤマアジサイから生ける理由は、今回の6種類の草花達の中で一番ボリュームがあり面積を使う花なので中心となる植物から生けます。
2.ナズナを生ける
下のほうまでついている葉。
水に浸かる部分に出ている葉はすべて取り除きます。
ナズナをヤマアジサイの横に同じ位の高さ位で生けます。
ナズナもヤマアジサイも小さな花が集まる植物ですが、花の色の違いや丸い房が集まるヤマアジサイと縦に長い形をしたナズナは、形の違いもあるので合わせて生けてもバランスを保ち活かしあう事が出来ます。
ナズナの花は小さく、花の下には個性的な平たく丸い三味線のバチのような種がついています。
バチの様に見える事から、別名のペンペングサの名前がついていると言われています。
3.ヤブカラシを生ける
ヤブカラシの葉はよく見ると赤紫色で縁取られていて、新芽のつややかな美しさも素敵です。
その茎も紫色を帯びて細く繊細な様子をしています。
籠から伸びやかに蔓が飛び出る様子は草花の柔軟な柔らかさをや雰囲気を表現する事が出来ます。
ナズナとヤマアジサイの間に伸びやかに生けてみましょう。
ヤブカラシの葉はよく見ると赤紫色で縁取られていて、新芽のつややかな美しさも素敵です。
その茎も紫色を帯びて細く繊細な様子をしています。
4.ドクダミをいける
ドクダミは水につかる、部分は葉を落としておきましょう。
ドクダミはヤマアジサイの右後ろに少し高さを出して生けてみましょう。色の濃い大きなハート型の葉が全体に細かい草花に締まりを出してまとめ上げる役割をします。
5.カモジグサを生ける
カモジグサは3本の長さを少しずつ変えて、同じ位置から天に向かうようなイメージで水の中の茎の視点がなるべく同じくらいの箇所に生けるようにすると自然な雰囲気で生ける事が出来ます。
カモジグサを入れる事でより、サラサラと揺れる風のイメージや野原や自然の中で目を止めて立ち止まった、野の草花の風景を部屋に運ぶ事が出来ます。
6.トキワツユクサを生ける
最後にトキワツユクサを生け込みます。長く角度のある茎と葉の面積のバランスを見ながら、生けてみて下さい。
今回の場合は、向かって左手前のヤマアジサイの葉と後ろのドクダミの葉の大きさと空間のバランスをとるために、長く伸びた茎の先に広がるトキワツユクサの葉を活かす生け方にしてみました。
もしこの場所でない場合はヤマアジサイの花の下から左手前に枝垂れさせる場所に生けても素敵だと思います。
完成しました
野に咲く草花は色味も優しく、お玄関や床の間、テーブル、どんな場所でも良く似合う自然な仕上がりののアレンジです。
ちょっとお散歩途中に見つけた草花を一輪挿しにしても楽しめますので、思い立った時に気楽な気持ちで夏の涼をお部屋へ運んでみませんか?
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