世界の植物紀行 – 四代目金岡又右衛門 –総集編「まとめと御礼」
LOVEGREEN編集部
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さて今回は、前回マダガスカル編をはじめ、今まで各国を訪れ学んだことや、私なりに感じたことのまとめとして書かせていただきたく思います。今まで、オーストラリア、スペインをはじめとしたヨーロッパ、マダガスカルなどのアフリカ諸国、シンガポールやアジア諸国など様々な国を訪れ、そこで住み暮らす人や、植物、文化、生活に触れることで本当に多くを学ばせていただいた。
目次
各国の振り返り
オーストラリアでは、数年で1㎝しか生長しないと言われるマクロザミアムーレイが自生する山を訪れ、まるで映画で見るジュラ紀を体験したように感じることができた。
またその近くには先住民アボリジニーが残した壁画もあり、その時代にアボリジニーの方々が残しておきたかったであろうメッセージに触れることができ、タイムスリップしたように思えた。
スペインでは、樹齢約2000年というほぼ紀元前に近い年齢のオリーブに出逢い、心を奪われた。実際にこの時の感動が今の植物貿易などの活動につながっていると言える。
また近年人気が高まっているユッカ・ロストラータの“ブルースワン”を畑で見た時の美しさは今でも目に焼き付いている。メキシコ産の荒々しさも魅力的だがスペイン産のブルースワンの輝きと、日本の気候への耐性を考えた時に、これからの世界的な気候変動に対応できる植物としてランドスケープにおいて重要な役割を担うであろうことを直感した。
アフリカ、セネガルにおいてはバオバブと村人の関わり合いにおいて、バオバブのツリーハウスがとても魅力的でいつかこのようなスタイルで生活したいと憧れを感じた。
また村には「語り部(かたりべ)」という、村の歴史や、大事なことを言葉で後世に伝えていく人たちの存在ある。私たち現代人の多くは大切なことは、文章やクラウドなどデータで残すことが当たり前に思ってきたが、文字を持たない彼らは言葉で伝える。それに不便さがあるだろうと感じたが、彼ら曰く「大事なことだからこそ語り継ぐ。文字ではどのように伝わるかがわからない。」と言った言葉が、今でも深く心に刻み込まれている。
先月号でも書かせていただいたが、バオバブやモリンガなど彼らの生活や文化において切っても切れないものであることを感じた。
そのバオバブや稀少な植物たちが気候変動や、開発によって行き場を失われてしまったり、村人の生活を継続していくために採取などされてしまったりしている現実と、それを護ろうとする人びとの関りを目の当たりにして多くを考えさせられ、今の私の活動に大きく影響を与えてくれたと言える。
アフリカ諸国とは違い、狭い国土において植物の必要性を探求し、文明と植物の共存をさせ美しい国土をつくっていく姿勢やその実現力の高さから、これからの都会における植物(みどり)の必要性とその効果を体感でき、多くを学ぶことができた。
この他にも今回紹介できていないたくさんの国々を訪問し、その国の大地や植物、住み暮らす人びとと直接触れることで、本当に言葉では表せないほどの感動と学びをいただくことができた。本当にこのような活動ができた環境を作ってくれた多くの方々に感謝の気持ちでいっぱいである。
海外を周り、感じたこと
最後に許されるのであれば、又右衛門が海外を周り強く感じたことを皆さんにお伝えし、締めくくらせていただきたく思う。
私は仕事やNGO活動において様々な国を訪問してきた。特に厳しい状況において生活している方々や、そのような国で開発が進んでいく現状を目の当たりにして思うことがある。どこの国とはここでは言わないが、新興国において先進国が巨額な投資をしてインフラ整備などを積極的に行っている。それは現地の人たちにとっては必要なことではある。しかしながらそれと引き換えに美しい自然や文化が失われ、公害や渋滞など多くの社会問題を引き起こしている現実もある。
私たち先進国と言われる国々は、高度経済成長を掲げ、文明という大義名分のもと様々な開発を進めてきた。その結果、今でも多くの社会問題を抱えているのではないだろうか?それと全く同じ道を他国で行っているように見えて仕方がない。
新興国には私たちではもう手に入れられなくなった豊かな自然や動植物がある。そのような国に、私たちが間違った選択と同じことを繰り返すことはさせてはならない。一過性の便利さなどを追求するのではなく、しっかりその国の固有の文化や動植物たちなど生きとし生けるものを大切にした上での発展を願っている。それこそが先進国の責務である。決して誤った同じ「道」を歩ませてはならないことを強く想う。そして今の地球環境、社会はとても厳しい状況にあると考えます。どれだけ、最先端の科学の力を駆使しても、経済力であっても、武力であっても、戦争や環境破壊は無くなっていません。それどころかさらにひどくなっているのではないでしょうか?
私はそれに歯止めをかけ、美しい地球社会を取り戻すことができるのは、人類を産み育てて来てくれた植物(みどり)の力しかないのではと思っています。今こそ「みどりの力」を借り、地球をリ・デザインしなければならないのではないでしょうか。
ある人が言った一言が私の頭に残っています。それは「人は植物が無ければ生きていけない。しかし植物は人がいなくても生きていける。」私はそんな、素敵な植物(みどり)の持つ力の素晴らしさと、植物からのメッセージを世界を舞台に活動し、発信し続けていきたいと思っています。
実は今回の寄稿でLOVEGREEN「世界の植物紀行 – WORLD OF PLANTS – 四代目金岡又右衛門」の連載は一旦終了となります。長い間私の稚拙な文章、わかりにくい表現でありながらお読みいただいた皆様、掲載していただいた運営会社の皆様には本当に感謝です。またCOVID-19の世界的感染が収束し、以前のように世界を駆け回る又右衛門に戻ったときには、また新たな形で皆様に植物から預かったメッセージを伝えさせていただければと思っております。本当に素敵なご縁をありがとうございました。またこのような投稿や、実際の活動で直接皆様にお会いできる日が来ることを心よりお待ちしています。
それでは皆さん。本当にありがとう!ではまたね!!!
PROFILE
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四代目金岡又右衛門
「世界の感動を日本に。日本の感性を世界へ。」 まだ見ぬ植物との出逢いを求め、世界を奔走する金岡又右衛門。世界各国に拡がるネットワークと持ち前の行動力を駆使し、希少性の高い植物を求め、自らの足で直接現地に赴き目利きをし、日本に紹介している。植物と大地への尊厳の念を持ち、植物の”生”へのこだわりを第一とする活動スタイルは、国内外の専門家から高く評価され、業界からの信頼も厚く、植物貿易の第一人者と評価される。
Facebook/人と人、国と国を繋ごう。
HP/緑匠・又右衛門
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