牧野富太郎先生ゆかりの地、東京・練馬。牧野記念庭園へ!
小野寺葉月
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東京にも牧野富太郎先生ゆかりの庭園があるんです!練馬の大泉学園から歩いてすぐの牧野記念庭園をご紹介します。
目次
牧野富太郎先生とは
「日本の植物(分類)学の父」牧野富太郎先生は、高知県高岡郡の生まれ。小さなころから植物が大好きで、小学校も自主退学し、独学で土佐の植物採集や研究を重ねていきます。18歳のころに欧米の植物学に影響を受け、高知県内で植物採集に明け暮れるようになります。22歳の時上京し、東京大学理学部植物学教室へ出入りをしながら、日本の植物をまとめた本を作ることを夢見ます。東京植物学会(当時)の機関誌「植物学雑誌(1887年創刊)」の第3巻第23号(1889年1月発行)に記載された「ヤマトグサ」は、日本国内で日本人が行った最初の新種発表となりました。そこから94歳でなくなるまで、新種や新品種を含め、実に1500種もの植物を発見・命名しました。
牧野富太郎先生の故郷、高知県立牧野植物館
牧野富太郎先生の名前を冠した植物園は高知県高知市の五台山のなかにあります。山の一部が植物園で、広大な敷地に植物園や記念館、温室、ミュージアムショップ、レストランなどがあります。記念館の設計は内藤廣氏によるもので、植物と調和するような建築になっています。
▼高知県立牧野植物園の記事はこちら
東京にもある!練馬区立牧野記念庭園
牧野富太郎先生が東大に出入りするようになり、上京してきてからは財政難で引っ越しを繰り返していましたが、最後の地に選んだのは練馬区大泉でした。練馬区立牧野記念庭園は、そんなゆかりの地、練馬区大泉にあります。
練馬区立牧野記念庭園の施設情報
施設名称 | 練馬区立牧野記念庭園 |
住所 | 東京都練馬区東大泉6-34-4 |
電話 | 03-6904-6403 |
開園時間 | 午前9時から午後5時 |
休園日 | 火曜日(火曜日が祝休日のときは開園し、その直後の祝休日でない日を休園)年末年始(12月29日~1月3日) |
交通 | 西武池袋線 大泉学園駅 下車(南口)徒歩5分 |
HP | 牧野記念庭園(練馬区公式ホームページ) |
大泉学園駅から練馬区立牧野記念庭園までの道案内
大泉学園駅南口より徒歩5分ほど。ロータリーに看板がありました。
牧野庭園前交差点
駅から一本道で迷うことなくこれます。大泉自動車教習所をすぎ、「牧野庭園前」という交差点で右折。
庭園入り口
大きい!驚くほど大きい松がお出迎え。
木々に迎え入れてもらうように園内へ。
「牧野記念庭園」と彫ってある大きい石。葉影がキレイ。
花の見ごろがわかります
牧野記念庭園 花の見ごろ 手書きのカードで現在開花中の花の名前がわかるようになっています。
入ってすぐ左手のスペースには牧野記念庭園の由来が書いてあります。
ザイフリボク
園内入ってすぐ右手にあるザイフリボク。英語名はジューンベリー。白い花がかわいい。
采振り木と漢字で書くように、「采配」の意味からきているそう。実は赤黒く熟すと食べられます。
松ぼっくりや莢
松ぼっくりやマメ科のさやなど、園内でとれたもの
シモバシラ
入口右手に鉢植えであったシモバシラ。シソ科の多年草で、枯れた茎に霜が出来ることからその名前になったそうです。
ホール
入口を入ってきてホールを過ぎ、振り返った所。中は講習会やワークショップなども行われます。
フクロジュ
ガラスに映ったフクロクジュという名前のサクラ。幹の張り出しが雄々しくて素敵。
石碑
「家守し 妻の恵みや 我が学び・・・」先生は子だくさん(13人!)でしたが生前は出版費や出張費などがかさみ、奥さんはさぞかし大変だったろうと。。。お察しします。。。
庭園から建物を見る
建築の設計は高知県立牧野植物園の設計と同じく内藤廣氏ですが、やはり植物に溶け込むようなイメージの建物です。
写真で見ると空との境がわからないほどです。
展示室
記念館(展示室)に隣接して書庫があります。光がきれいです。
展示室の入り口の扉は木でできたソラマメみたいな形の取手。
土佐和紙壁紙作品「Botanical Sphere-clay 3」
中に入ると土佐和紙の壁紙作品「Botanical Sphere-clay 3」がありました。
牧野富太郎先生ゆかりの植物が和紙に漉き込まれています。真ん中には牧野先生の写真と右にワカキノサクラが。
センダイヤサクラ
センダイヤという種類のサクラ。園内にも二本ある桜です。ちなみに仙台で発見されたわけではなく、高知市内の「仙台屋」という店の庭で発見したためこの名前が付きました。
バイカオウレン
バイカオウレンは牧野富太郎先生が故郷をしのんで愛したとされる花で、 葉の形は高知県立牧野植物園でもマークになっています。
スエコザサ
牧野富太郎先生の研究を支えた奥様、壽衛(すえ)の名前から命名したスエコザサ。
牧野富太郎先生が植物に囲まれている様子が表現されています。
等身大パネル
一人で館内をまわっていて思わず「出たー!!」と声に出して驚喜してしまったほぼ等身大パネル。この表情!たまりません。
記念館の中からパノラマでお庭を撮影。とにかく木漏れ日がうつくしい!
練馬区立牧野記念植物園の植物紹介
牧野富太郎先生の銅像とスエコザサ。
センダイヤ(サクラ)
牧野富太郎記念館に植えてあるセンダイヤは、ねりまの名木とされています。
ねりまの名木とは
練馬区内にある練馬を象徴するような大きな木や、日常生活の中で昔から大切に守られてきた古木のことをねりまの名木として指定しています。
区内にある練馬を象徴するような大木や、古くから日常生活の中で育まれてきた古木などを指定したものです。
名木センダイヤの根から新しく芽が出てきた若木
センダイヤ(サクラ)の根から伸びてきたもの。右隣はタラノキ(タラの芽が取れます)
ヘラノキ
ねりまの名木ヘラノキ。本州近畿以西、四国、九州に分布する木で練馬区では珍しいために名木指定されています。
13mあるヘラノキ。見上げると大きな枝ぶりが守ってくれているような感じがします。
ダイオウマツ
遠くからでも良くよく見えるダイオウマツの松ぼっくりはなんとこんなに大きい!練馬区職員の成瀬さんに持っていただきました。
牧野富太郎先生が命名された草本
牧野富太郎先生が命名した植物たちはこんな風に仕切られて育てられています。
名前がひとつひとつ手書きで書いてあります。
スズラン
すずらんは花芽が上がってきたところです。
ホトトギス
ホトトギスとキイロホトトギス。葉脈が流線的でキレイです。
ヤマシャクヤク
ヤマシャクヤクはちょうど花盛りでした。
メタセコイア
若芽が出ているところでした!みずみずしい感じがして、本当に素敵。
「めたせこいあ」の表記がとても良い字です。
ウバユリ
この野菜みたいな植物はウバユリの葉。牧野先生が命名されました。
時期が終わって残っている花茎。花が出た時には葉(歯)がない事から命名された「姥(うば)」ユリ。牧野富太郎先生の命名は何となく駄洒落のようだったり、頓智が利いていて好きです。
▼ウバユリの記事はこちら
ニリンソウ
ニリンソウは2つ花芽が上がってくる。片方が咲くともう一つが蕾になって、枯れたあとに順番に花が咲いていきます。たまに3つあるのもあります。3本あるのはサンリンソウ。
ヒメナベワリ
高山植物ナベワリの近縁種。毒があって舐めると舌が割れることから。「舐め割」がなまってナベワリになったとか。
ミヤコアオイ
今はもう花が終わってしまったが、葉の下にこっそり咲きます。
▼ミヤコアオイの仲間、トサノアオイが咲いている写真はこちらの記事にあります。
ミョウガ
ミョウガの芽がひょろっと出ています。ミョウガはショウガ科なんですよね。
カタクリ
カタクリの花が終わり、タネが付いているところ。林床がだいぶ固くなってきているため、なかなか種が根付かないそう。
ムラサキ
生薬「紫根」として根が使われるムラサキ。
大きい!ベニバナトチノキ
ひときわ大きな掌のような葉が落ちてたと思ったらベニバナトチノキでした。
葉が大きい木は風が吹くとゆらりと枝がしなるのでとてもきれいです。
ウグイスカズラ
スイカズラ科のウグイスカグラ。茎や葉の縁が赤くて綺麗です。
ウグイスカグラの実
実は赤くなり、美味しいそうだが、いつも鳥が全部食べてしまうそう。
カエデとモミジ
カエデとモミジのコントラストが鮮やかで美しかったです。
キリシマツツジ
つつじも綺麗に咲いてきました。霧島つつじは樹高が高く、見上げるよう。
ドウダンツツジ
自然樹形、野木仕立てのドウダンツツジ。鈴蘭のようなつぼ型の白い花がとてもかわいい。生垣にはない自由さがあります。
モチツツジ
「蕾を触ってみて下さい」と言われたモチツツジ。ほんとうにおモチのような触り心地!つつじの葉はもともと起毛がありぺたぺたしていますが、それとはまた違った癖になるモチモチ感。(触りすぎないようにお願いします!)
青軸性のウメ
新梢が青みを帯びます。青軸性のほかに、白軸性、紅軸性などがあります。青軸性のウメは額も軸も緑みがある。また枝ぶりも曲線的で女性的なフォルムです。
休憩もできます
園内にはちょっとほっこりするようなこんな場所もありました。
シロヤマブキ(一重)
一重のシロヤマブキ。黄色のヤマブキよりも清楚なイメージです。
ラショウモンカズラ
昔、京都にあった羅生門でもがれた(!)腕に似てるからラショウモンカズラ。もがれた腕とは・・・!
ナルコユリ
山野草のナルコユリは東京にはあまりありません。花がとてもかわいいので咲いている時期に見てみたいです。
ホウチャクソウ
寺社等で飾ってある宝鐸(ほうちゃく)に似ているところから名前が付いています。
ヒガンバナ
倒れてる葉はヒガンバナの葉です。ヒガンバナは花が終わった後2週間後くらい経つと葉が出てきますが、ニラによく似ています。匂いもニラに似ていますが絶対に食べてはいけません!
訪れた日は天気も良く、若葉の木漏れ日がとってもきれいでした。これから夏の季節もきっと園内は涼しく過ごせそうですね。入園料も無料なので、お子さんと一緒に行ってみるのもおススメです。この時も保育園のお散歩で子供たちが園内に来ているのを見かけました。牧野先生が愛した大泉の土地で、牧野先生が愛した植物に囲まれた時間が過ごせてとっても気持ちが良かったです!また四季折々訪れたい場所になりました。皆さんもぜひ行ってみてください。
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