ふき(蕗)とつわぶき(石蕗)の見分け方!ふきのとうって?食べ方は?

山田智美
このライターの記事一覧

春の山菜の代表、ふき(蕗)とふきのとう。ふきのとう狩りに出かけるのも初春の楽しみです。
ふき(蕗)にそっくりな植物つわぶき(石蕗)をご存知ですか?ふき(蕗)とつわぶき(石蕗)を間違えないように、見分け方をご紹介します。つわぶき(石蕗)も春の山菜として食べられます。ふき(蕗)とつわぶき(石蕗)は見た目もそっくりで食べられる特徴もそっくり。そんな2種類の違いをマスターできます。
さらにふきのとうが、ふき(蕗)のどの部位に当たるのかまで。じっくりとふき(蕗)とつわぶき(石蕗)に迫ります。
目次
ふき(蕗)とは
ふき(蕗)の群生
- 学名:Petasites japonicus
- 科名:キク科
- 属名:フキ属
- 分類:宿根草
ふき(蕗)は日本の山野に自生する宿根草です。北は北海道から南は沖縄まで広く分布しています。丸く大きな柔らかい葉が特徴です。数少ない日本原産の野菜と言えます。
地下茎で増えるので、増やしたくない場合は数年に一回株分けをして植え替えます。山野では思いがけず、ふき(蕗)の群生に出会えることがあります。
ふきのとうとは?
ふきのとう
ふきのとうはこのふき(蕗)の花の蕾(つぼみ)になります。ふき(蕗)は地下茎で広がる植物で、早春に地下茎から上がってきた蕾(つぼみ)がふきのとうの正体です。
ふきのとうは寒さから身を守るように淡いグリーンの苞(ほう)にくるまっています。そこから気温の上昇とともにあっという間に苞(ほう)が開いて花が姿を見せます。食用にするのは苞(ほう)に包まれた蕾(つぼみ)の状態です。
ふき(蕗)の特徴
- ふき(蕗)の葉は明るいグリーンで表面に産毛のような毛が生えています。
- ふき(蕗)は宿根草ですので冬は地上部が無くなるか、少なくなります。
- ふき(蕗)は春になると株元からふきのとうが出てきます。
ふき(蕗・フキ)
- ふき(蕗・フキ)は数少ない日本原産の山菜で、日本全国の山野に自生しています。キク科フキ属の宿根草で、毎年同じ場所で収穫を楽しめる山菜です。 細長い地下茎を数本伸ばして、その先に大型の葉が発生します。私たちがいつも食べている部分はじつは茎ではなく、葉柄(ようへい)といって茎につながる柄(え)のような部分です。ふきの地下茎は有毒なため食さないように気を付けましょう。 早春の雪解けとともに葉よりも先に花茎が土から顔を出すフキノトウは、ふき(蕗・フキ)の花です。フキノトウは雌花と雄花に分かれています。雄花は黄色で、花が咲き終わると枯れていきますが、雌花は白い花を咲かせた後、茎が伸びタンポポの綿毛のような種子を飛ばします。 北海道の足寄町に自生するラワンブキは、高さ2~3mにも達する大きさが有名で、人気の観光スポットにもなっています。
つわぶき(石蕗)とは
つわぶき(石蕗)の葉
- 学名:Farfugium japonicum
- 科名:キク科
- 属名:ツワブキ属
- 分類:常緑多年草
つわぶき(石蕗)は日本の海岸地帯や山野に自生する常緑多年草です。耐陰性が強く、日影でもよく育つので、個人の庭から寺院や公園まで幅広く植えられています。
つわぶき(石蕗)の花
秋には菊によく似た明るい黄色の花が咲きます。葉に明るい黄色や白の斑が入った品種や切れ込みのあるもの等があり、ファンも多い植物です。
つわぶき(石蕗)の特徴
- つわぶき(石蕗)の葉は濃いグリーンで、表面にはつやつやとした光沢があります。
- つわぶき(石蕗)は常緑性なので、冬でも青々と繁っています。
- つわぶき(石蕗)は秋に菊に良く似た黄色の花を咲かせます。
ツワブキ(石蕗)
- ツワブキ(石蕗)は、関東以南の海岸部や山林に自生するキク科の多年草です。岩の上など厳しい環境でもたくましく育つことから、「石蕗」と表記されます。日本原産だけに育てやすく、塩害や日陰にも強い丈夫さが特長です。九州を中心に山菜として広く食用になっており、宮崎県・日南市では市の花に指定されています。 管理が楽で日陰でも育ち、秋になるとキクに似た黄色い花を咲かせます。開花期間が長いため、個人宅をはじめ公園などにも植えられています。 ツワブキ(石蕗)は古典園芸植物のひとつで「葉芸」と表現される葉の形や形状、大きさ、斑などの柄にこだわった園芸品種がたくさん作出されています。葉芸は一年を通して固定されているものと季節によって斑などの出具合が変わるものがあります。最近は葉だけでなく、花も八重咲きや黄色以外の品種もあります。 盆栽として愛でられている他、樹木の下草やグランドカバーとしても使われます。 花の時期以外も葉の美しさが庭を彩ってくれる存在です。花のあとにタンポポのような綿毛をつけた種子が風に飛んでいくさまも風情があります。
ふき(蕗)とつわぶき(石蕗)の見分け方
写真の手前はふき(蕗)。奥がつわぶき(石蕗)です。これは偶然、隣同士に生えているのを見つけたので写真に収めました。手前のふき(蕗)は色が明るく、葉が柔らかそうです。奥のつわぶき(石蕗)は色も濃く光沢があり、葉に厚みもあります。
見分けるポイント
- ふき(蕗)は冬には地上部が無くなります。つわぶき(石蕗)は常緑で秋から冬に黄色の花を咲かせます。
- ふき(蕗)の葉は薄く光沢が無く、触ると僅かにざらざらとしています。つわぶき(石蕗)の葉は厚みがあり、表面に艶やかな光沢があります。
- ふき(蕗)は初春になると、足元にふきのとうが出てきます。つわぶき(石蕗)にふきのとうは生えてきません。
ふき(蕗)とふきのとう、つわぶき(石蕗)の食べ方
ふき(蕗)とつわぶき(石蕗)の見分け方がわかったところで、それぞれの食べ方をご紹介します。
ふき(蕗)の食べ方
ふき(蕗)は地上部の葉柄(ようへい)と蕾(つぼみ)に当たるふきのとうを食べます。ふき(蕗)もふきのとうもアクが強く、そのまま食べると苦味やえぐ味を感じますので、調理前にアク抜きしてください。
下処理を済ませたら、あとはもう煮物にしたりニンニクとオリーブオイルで炒めたり、好きな食べ方を楽しんでください。
ちょっとほろ苦い春の味を楽しみましょう。
ふきのとうの食べ方
ふきのとうもふき(蕗)と同様、そのままでは苦味やえぐ味が強いのでアク抜きを行います。アク抜きをしないと空気に触れた部分が黒ずんでしまいます。
下処理を済ませたら、刻んでお味噌汁やスープに散らしたり、クリームソースと和えたり、アーリオオーリオにするのも意外なおいしさです。
どうしてもアク抜きが面倒くさくて嫌だ!という方には、天ぷらをおすすめします。天ぷらに限ってはアク抜きの必要がありませんので、ちょっとだけ楽が出来ます。
つわぶき(石蕗)の食べ方
つわぶき(石蕗)は常緑で耐陰性が強く観賞価値も高いことから、園芸植物として親しまれています。一方、葉柄(ようへい)という葉の茎に見える部分は、九州地方では昔から食用とされてきました。皮を剥いてキャラブキにして食べることが多いそうです。
但し、つわぶき(石蕗)もふき(蕗)と同じくアクの強い野菜です。しっかりとアク抜きをしてから調理しましょう。
身近な草花から知る春の訪れ。この機会に道端の春を見付けてみましょう。ふき(蕗)もつわぶき(石蕗)も道端や庭先、公園の植え込み等、意外と身近なところに生えていますよ。
▼編集部のおすすめ