世界の植物紀行 – 四代目金岡又右衛門 -「オーストラリア東南部 ツリーファーンたち」前編- 自生地での姿

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サイスィア(Cyathea

その他にニュージーランド原産などのサイスィアが保護栽培されていた。

サイスィア・オーストラリス Cyathea australis (ラフ・ツリーファーン)

遠目には、ディクソニアとほぼ同じ。一般の人なら、間近にみても違いを感じられないほど。でも近くでよって、実際に触ってみると違いを感じることができる。

 

先ほどの「ディクソニア・アンタルクティカ(ソフト・ツリーファーン)」と違って、感触はざらざらしており、大根などをすりおろす、おろし金やカニ甲羅のようである。手袋なしで触ると危険なぐらいである。そのこともあるからだろうか、この種は先ほどのソフト・ツリーファーンに対して、通称「ラフ・ツリーファン」とも呼ばれている。

これは品種の違いではなく、植物の分類自体が違う種である。またワシントン条約の規制対象種でもあるため、輸出入には様々な手続きが必要になってくる。さらに輸入後の発根率がやや低いので、農場での発根済み輸送が適している。であるならば、わざわざ多くの手間をかけ、リスクを抱えてまでこの種を輸入することはないと思うが、この種には、ディクソニアと違った特性がある。ディクソニア・アンタルクティカはきつい日差しの下では葉焼けを起こしてしまうので室内や日陰の場所を好むが、「サイスィア・オーストラリス」は発根活着すれば、直射日光にも比較的強いため屋外管理や庭植えにするときに大きな利点があるからである。

 

ブラック・ツリーファーン Cyathea medullaris (Black Tree Fern)

 

ブラック・ツリーファーンと言われるだけあって幹がすごく黒光りしている。とても稀少で、今回の訪問で又右衛門が一目惚れしたのはこの品種である。

 

サイスィア・ブラウニー Cyathea brownii

まるで金色に輝いているようにも見える美しさが特徴。太く大きなゼンマイが、まるで恐竜の舌のようにも見え、ジュラ紀にタイムスリップしたようにも思えるほどド迫力である。

 

シルバー・ファーン Cyathea dealbata(Silver Fern)

金があればやはり銀もある。シルバーに輝く通称「シルバー・ファーン」。

「シルバー・ファーン」は、葉の裏側は、日本の正月のお飾りに使うウラジロ(裏白)の様にシルバーに光ることからそのように呼ばれているのであろう。その特徴を活かして、ニュージーランドの原住民は、その裏返した葉を山道に敷きながら、道標がわりに利用をしていたらしい。そのこともあって世界的に有名なラグビーチームのオールブラックスなどの紋章にも描かれているとのことを教えられた。

 ナチュナルプランテーションではこの他にもいくつかのツリーファーンが集約管理されていて、ツリーファーンを学ぶには最適な場所であると言えるだろう。

次回は、日本で人気のツリーファーンを紹介する。

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