世界の植物紀行 – 四代目金岡又右衛門 –スペインが生んだ魅惑のオリーブ【後編】
LOVEGREEN編集部
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今回は実際に生産・管理されているオリーブを写真とともにご覧いただきたいと思う。
そしてオリーブファンなら気になるところであろう品種についてだが、オヒブランカ、レチンなどが出荷されているものの、高樹齢のオリーブは品種を断定することが難しいのが正直なところだ。出荷者にも確認は幾度か行ってきたが、確信を持てるまでには現時点では至らなかったことを付け加えさせていただきたい。
目次
スペインの観賞用オリーブ
現地では観賞用のオリーブを学名とは別に流通名として「OLIVE BONSAI」と呼んでいる。それらに樹齢もしくは直径などサイズを併記して表している。中には各人・各社が特徴を捉えた呼称をつけたり、生育地の地名をつけたりもしている。
ポケットサイズのオリーブ
私はこのサイズをポケットサイズと呼んでいる。樹齢としては30~80年ぐらいのもので高さを抑えてコンパクトに仕上げられているため、欧州では背の高い鉢に植えられるなどされ、街中のアパレルや飲食店のディスプレイで多く見かけることがある。
中型のオリーブ
樹齢100年前後のオリーブ。日本でも100年オリーブと呼ばれ、人気が高まっている。100年という大きなものであるにも関わらず、植え替えなければ大人数名の人力移動が何とか可能であることが、日本の事情にマッチしており人気の要因であると言える。
スペインのオリーブ古木としては、まだまだ若いものだが、日本では100年を超える園芸用のオリーブはまだ生産がされていないため、輸入に頼るしかない。また100年と言えどもとても存在感があり、多くの日本人を魅了してやまない。
大型のオリーブ
樹齢300年以上のオリーブ。迫力のある寸胴型や大きく株元から二股、三股にわかれた形状のものもあり、その形状は様々である。そのため多くの建築デザイナーが注目し、ローメンテナンスも手伝って人気は高まりつつある。
超大型のオリーブ
樹齢800年以上のオリーブ。1000年以上も含め、高さ6mを超える縦型のものや、横に大きく広がったものまで様々である。その迫力は絶大。日本で普及するとは言えないが、シンボリックなものが必要な時には、その存在感は抜群であろう。
高さ6mを超えるオリーブは横に広がったものとはまた一味違った迫力がある。
この他にも多くのものが生産されている。全てを紹介するにはオリーブだけで1年間の連載が必要であるので、この辺でとどめておきたいと思う。
ただ少し付け加えさせていただくと、このようなオリーブにも少し不安な要素がある。それは、近年欧州では病気の発生などの問題もあり、かなり深刻である。そのような状況下で日本への輸入にはトレサビリティーを含めて植物の吟味が必要である。そのためには、生産者・輸出者の正しい選択が必須ではないだろうか。
現在数社のみではあるが、日本向け出荷施設を保有し、積極的に活動している生産者がある。そこでは高品質のオリーブ生産を行うだけではなく、輸出先の環境も考慮し生産を始めている。それはブームではなく、長い取引を続けるためにはとても大事なことであるため私も支援をさせていただいている。日本の生産者と海外の生産者、日本の植物、海外の植物が競合するのではなく、共存し、さらに一緒に伸びていくための取り組みが始まっていることを知っていただければ嬉しく思う。
ヨーロッパのオリーブ植栽
巨大なオリーブの迫力はやはり素晴らしい。
並木道の様に植えられたオリーブはいかにもヨーロッパという雰囲気。ここのパークにはオリーブのみが植栽されている。
オリーブはそれ単体でも画になるが、他の植物と一緒に植栽しても映える。
日本に植栽されているオリーブ
スペインから遥々やってきてくれたオリーブたちは日本でも活躍をしてくれている。
樹齢約1000年のオリーブ。とても優しく力強い形状で日本各地を回り、多くの人を魅了してきた。今は大阪府豊中市にある施設にて管理されている。
ここは神戸煉瓦倉庫のオリーブ広場。2017年に樹齢500年のオリーブ1本、300年3本、100年4本と合計8本のオリーブが配置され、多くに市民に愛され、この施設の活性化に大きく寄与しているため、関係者の方々にもとても喜ばれている。
そしてオリーブは前編でご紹介させていただいたようにオリンピアンの勝者の証として授けられたこともあり、スポーツとの親和性も高い
来年には東京五輪が開催されるが、2016年にはIOC トーマス・バッハ会長が日本体育大学の名誉博士となり、名誉博士号授与式にてオリーブが記念植樹に採用され大きく報道された。
記念植樹されたオリーブ
私がアンバサダーをつとめさせていただいているサッカーの聖地と呼ばれ、東京五輪の聖火の出発地点に決定している「Jヴィレッジ」でも多くのオリーブが植樹されている。
さらにその聖火の到着地点である新国立競技場近くにも樹齢約1000年のオリーブが植栽され、世界中の多くの皆さんのお出迎えをさせていただく予定である。是非機会があれば皆様も来場の際はご覧いただければと思う。
このように長い年月を人々と共に歩み、生活にも溶け込んでいるオリーブ。世界中で最も愛されている植物といっても過言ではないだろう。
これからも平和を祈念しながら、愛し合い、繋がりながら長く共に歴史を刻んでいきたいと強く想う……。
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