世界の植物紀行 – 四代目金岡又右衛門 –スペインで生産されているユッカ【前編】

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今回は近年ドライガーデンやローメンテナンスガーデンのメインとして最も人気があるユッカ類をお送りする。

目次

ユッカとは

ユッカ(Yucca)はリュウゼツラン科イトイラン属(ユッカ属)に分類されている植物の総称である。

ユッカってスペイン? と思われる方も多くいると思う。確かに、以前まで日本に輸入されるユッカ類はメキシコ産が多くを占めていた。

しかし、自然保護の観点と近年はスペインにて高品質のユッカ類が生産されるようになり、日本への輸出が始まった。さらに少量のタイ産も含め市場には混在している状況であったが、現在では圧倒的な品質の高さと、枯死率の低さからスペイン産のユッカ類が優位に立ち、日本をはじめヨーロッパ諸国ではスペイン産に人気が偏り始めている。

ではなぜ、本家本元のメキシコ産よりスペイン産の品質が高いかというと、私がスペインに初めて赴き、この種の生産において国内で圧倒的なシェアを持つC社を訪れた時に、その答えは一目瞭然であった。

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スペインのユッカ農場

これがC社農場である。そして植わっているのはユッカ ロストラータ ブルー・スワンである。見事に大きく拡がったシルバー ブルーがとても美しい。その柔らかな葉が風になびく姿からブルー・スワンと名付けられた。

 

C社は当時ユッカ類に魅力と可能性を感じ、この種の生産をスペインにて手掛け始めた。

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ユッカの品種改良と日本までの道のり

ユッカ類の生産をスペインで始めたC社だが、ユッカ類は一般的な草花のように数年で育つという植物ではない。その為、当初はユッカの多くをメキシコから輸入し自社農園で移植・栽培を始めたが、育った環境の違いからそう簡単にはいかなかった。

 

スペインのC社農場に移植されたメキシコ産ユッカ

今まで姿の美しさなどから、建築デザイナーやガーデンデザイナーも多く採用をしてきた。だがユッカ類は、一見簡単なように見えながらも重要なポイントを押さえなければ、適応しづらい面を多く持つ植物である。

今まで輸入を手掛けてきた著名な業者も、ユッカ類への知識が乏しいため、日本に適した輸入や管理ができず同様の枯死が多くあり、人気が高まりつつも、その不安から普及までにはいかなかった。

 

そこで彼らは、自ら研究施設をつくり組織培養や優秀選抜などの常に研究を繰り返し行い、日本や欧州などのメキシコとは違った環境でもしっかり育つような品種改良を行ってきた。

 

そして豊か広大な農場で生産拡大をすすめ、鉢上げ、現地で時間をかけて養生させ出荷している。

 

更に日本向けには土が少しでも付着していることは許されないため、丁寧にしっかりと洗浄を行う。

 

その際には根も切れてしまい多くのストレスを受けるため、出荷までには欧州向けの出荷より1~2年の時間を要す。そして、しっかり発根が確認できたものを出荷する。

 

又右衛門エリアと名付けられた防虫するためのネットを張り、地面には線虫の侵入から守るようにモルタルなどで固めた日本だけに出荷するスペースをつくり管理をしている。

 

そして、それらを適期に温度管理されたコンテナで日本向けに輸送するという行程を踏んでいる。そのため日本でも問題なく、しっかり生育する素晴らしい品質のユッカ類が日本でも見ることができるようになったのである。

さて次回の後編では、スペインから日本へ輸出されているユッカの代表的な品種をお話をさせていただく。

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