世界の植物紀行 – 四代目金岡又右衛門 –マダガスカル編6「モロンベ旅行記(中編)」
LOVEGREEN編集部
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さて前回の続きとして、マダガスカルにおいてバオバブの聖地、モロンベについて書かせていただく。各誌面やガイドブックでは前々回のバオバブ街道のほうが多く取り上げられているように思うが、私はモロンベのバオバブの方が強く印象に残っている気がする。そのような魅力的なバオバブを見ていただければと思う。
目次
モロンベの朝
深夜〜早朝の停電の中、2時間おきに蚊取り線香の交換をしつつ、無事に朝を迎えた。ただ慣れない蚊帳での眠りに、朝は蚊帳が身体に巻き付き、まるで又右衛門は定置網に引っかかったマンボウのようになってしまっていた。
そして、いつも通りシンプルな朝食を食べ、出発時間までの間、ホテル前のビーチを歩いてみた。
散歩で少しリフレッシュしホテルを出発。今日はマダガスカル最大級のバオバブをめざした。
その途中で、色んなユーフォルビアや巨大なパキポやオペルクリカリアに遭遇。おそらくデカリーであろう。
パーキンソニアはじめ、いくつかの花にも出会えた。
大きなものやとげとげしい植物を見続けてきたので可愛らしさを感じる。
ユニークなバオバブたち
そして悪路を走り続け約2時間で田んぼが見えてくる。スマホの写真で見にくいかとは思うが、その向こうにバオバブが写っている。これは田んぼにバオバブが植わっているのではなく、バオバブのある所に、村人が田んぼを作ったのである。とても不思議な光景とも言える。
走り続けると、次々と大きなバオバブに出会うことができる。またもやテンションが上がっていく。
そしてやっと会いたかったバオバブに遭遇。その名も見た目の通り「妊婦のバオバブ」である。その大きさ、形状は圧巻である。それにしても大きい!いくら又右衛門が小柄といっても、その大きさの違いに驚いていただけると思う。
何度も何度も周囲を周りながら眺めたり、歩測したり、さらに撫でてみたり抱き着いたりしながら、しばし一緒の時間を過ごさせてもらった。そして少し早いがバオバブを眺めながらお腹いっぱいランチをいただき、気のせいか私のお腹もバオバブのようになった気がした。食事を終えると、次の目的地マダガスカル最大級のバオバブ アダンソニア・グランディディエリ(Adansonia grandidieri)へと向かった。
それは妊婦のバオバブから車でそう遠くないところにそびえ立っている。いかがですか?この迫力。
いくら小柄の又右衛門とはいえ……(しつこくてすみません)(^^;)
そして持ってきたメジャーで胴回りを計測。なんと27.4mであった!驚きである。
きっとこのバオバブは、この地の人々をずっと見守ってきていて、また人びとも敬い、守り続けているということを感じ取ることができた。そしてこれからも引き続きこのバオバブが歴史を刻んでいってくれると確信していた。
そして最大級のバオバブに出会えた興奮は冷めやらないうちに移動となった。その途中では、穴の開いたバオバブがあり、私もお決まりのように中に入り顔を出してみた(笑)ちなみにこの中は10人はいってもまったく問題ない大きさで広々としていた。牢屋になったり、お墓になったり、集会場?になったり、バオバブは本当に生活になくてはならないものであると感じながらホテルに戻ることになった。
ホテルでは素敵な夕焼けを見ることができ、朝から晩まで感動の連続の一日となった。
あとがき
帰国して数年が経った昨年、驚きの情報が入ってきたので、少し書かせていただく。あの最大級のバオバブが崩れている無残な姿である。
ネットの報告によると、落雷による崩壊と書かれていた。私も見た目にすぐそうであろうとは思った。しかし気になる点も少しある。落雷による焼け焦げた部分が写真では確認ができなかったことである。では、もし落雷でなければどのようなことが考えられるかというと、上部にもかなり重みによる負荷がかかる形状のため、多くの水分を貯え過ぎて自重に耐えられなくなった可能性もなくはない。
実際に田んぼなどで人びとの手によって環境を変えられて、水分を過剰に含んだバオバブが、幹の途中から崩れ去るような姿は見かけたことである。
ただこのバオバブの近くにはそのように人の手によって水路が作られたような形跡はない。とするならば、気候の変化による降水量の変化なのかもしれない。いずれにしてもその二つの仮説には気候の変化が起因となっている。もしそうであるならばある意味人災ではないだろうか?
世界各国で進められている開発などによる環境変化がこの地の気候を変えたことによって起こった事故とも言える。
今、日本からアフリカに避雷針の優秀な企業が設置を進めていっている。主要施設などに設置しているとのこと。であるならば私は建造物もだが、一度崩れると修復ができない、自然が創り出したこのような歴史的な遺産の方が守らなければならないように思う。もし人類の文明の進化が起因になっていたのであれば、それこそ人類の文明によって守らなければならないのではないだろうか……。
村人の精神的支柱であったであろう聖なるバオバブ。村人の悲しみは幾ばくか・・・。
私たちは同じことが起こらないために世界的に日々の生活を見直し、改めていかなければならないことは確かである。そのことを胸に刻み込み引き続き活動をしていかなければならないことを気づかせてくれた大きな出来事であった。
いずれにしてもあくまでも私の憶測や強い思い込みによっての想像でもあるので現地に赴き調査できればと思う。そして可能であれば治療をしたいと考えている。また今回の崩壊したバオバブよりさらに大きなバオバブが見つけられたという情報もある。
ただ、今は新型コロナウイルスをはじめ様々な状況で渡航が厳しくなっているので再渡航まではしばらく時間がかかるであろう。早く渡航できる日を待つ日々がもどかしくもある。
旅行記の中に個人的な想いを少し書かせていただき申し訳なかったですが、次回からまた植物紹介に重きを置き進めてまいります。まだまだ驚くようなバオバブをはじめ、不思議な植物をご紹介させていただきますので引き続きよろしくお願いします。
PROFILE
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四代目金岡又右衛門
「世界の感動を日本に。日本の感性を世界へ。」 まだ見ぬ植物との出逢いを求め、世界を奔走する金岡又右衛門。世界各国に拡がるネットワークと持ち前の行動力を駆使し、希少性の高い植物を求め、自らの足で直接現地に赴き目利きをし、日本に紹介している。植物と大地への尊厳の念を持ち、植物の”生”へのこだわりを第一とする活動スタイルは、国内外の専門家から高く評価され、業界からの信頼も厚く、植物貿易の第一人者と評価される。
Facebook/人と人、国と国を繋ごう。
HP/緑匠・又右衛門
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