イエソト空間の達人たち①|猫と植物が共存する心地良い住まい
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住まいの形にとらわれずに、室内やインナーバルコニー・ベランダなどで自分なりの「庭」空間の楽しみ方を紹介する取材連載「イエソト空間の達人たち」。
今回は、東京で2匹の愛猫と一緒に植物のある暮らしを楽しむ、このやさんご夫妻のご自宅を訪ねました。
緑あふれる空間でのびのびと寛ぐ猫たちを愛でながら、夫婦でゆっくりコーヒーを楽しむ休日の昼下がり。自然を身近に感じる心地良い空間は日々の疲れを優しく癒やし、穏やかな気持ちにさせてくれます。
緑で彩る、ナチュラルで心地良い居住空間

玄関の扉を開けると目に飛び込む、瑞々しい葉の美しい観葉植物たち。ここが東京のマンションの一室であることを忘れそうになる、まるで庭のような雰囲気のご自宅です。
愛猫・麦くんとホップちゃん専用のキャットウォークはDIYで造ったそう。自然の中でのびのび暮らす猫たちの生活も垣間見えます。

愛猫の麦くんとホップちゃん
ーー現在は100株近く育てているとのこと、好きな植物のテイストやお気に入りの鉢を教えてください。
野生に生えていそうな、自然らしい雰囲気の植物に惹かれます。斑入りだったり、派手な見た目の品種はほとんど置いていないですね。シダ植物が好きで、ネフロレピスとリドレイが特にお気に入りです。

(左)ネフロレピス (右)ビカクシダ・リドレイ
ーーシダ植物は繊細で難しそうというイメージを持つ方も。上手に育てるコツを教えてください。
アートストーンの鉢は水切れしにくくて、シダ植物と相性がいいのでおすすめです。
「これだけ鉢があると水やりが大変そう」とよく言われるのですが、全然大変じゃないんです。水やりの頻度も品種ごとに細かく管理しているわけではないですし、いま残っている植物は水切れしそうになるとわかりやすくサインを出してくれる子たちばかりなので。
ーー育成用のLEDライトもインテリアに馴染んでいて素敵です。
LEDライトは、なるべくすべての植物に当たるように工夫して配置しています。スポットライトのように取り入れることで、空間にも馴染んでいるかなと。室内で植物を健康に育てるための必須アイテムだと思っています。

ーーDIYもご趣味だとか。
大型のラックや棚・キャットウォークはDIYで作りました。また、もともと3DKの間取りだったのですが、リビングと和室の間にあった襖を取り払うことで開放感ある雰囲気になるよう手を加えました。

キャットウォークなどの猫ちゃんの遊び場はDIYの手作り
和室には和の趣きを取り入れた植物を置いています。アクセントの流木はダムの流木配布で貰ってきたものです。

和室には和を感じさせる植物や鉢をチョイス
ーー自宅で一番のお気に入りスポットを教えてください。
植物がたくさんある洋室のキャンプチェアでコーヒーを飲んだり、読書をすることが好きです。ここにソファを置く選択肢もあったのですが、軽くて持ち運びしやすいコンパクトなデザインのキャンプチェアを選びました。

幼いころの環境がいまの自分のルーツに

ーー園芸店で働いていたご経歴もあるとのこと。植物への興味関心は昔からおありだったのでしょうか?
高校まで住んでいた地元が緑豊かな場所で、両親もガーデニングを趣味にしていました。上京して、緑のある空間が欲しいと思い、初めてシェフレラをお迎えしました。
その後植物の魅力に惹かれ、7年ほど前からたくさん鉢を集めるようになり、園芸店にも就職したんです。そこで観葉植物をはじめとした多くの植物に触れ、 植物の知見もかなり広がったと思っています。

ーー都心部の場合、自宅に広い庭がないケースも多く、室内でも手軽に育てられる観葉植物は魅力的ですよね。このやさんのお部屋は、まさに理想的なインテリアグリーンの取り入れ方だと思いました。
花と観葉植物という違いはありますが、幼いころから植物が身近にある環境だったことは、自分の生き方に少なからず影響を与えているのかもしれません。
上京して身の回りの植物が減ったことで、自分の中で植物の存在がより大きくなっていったように思えます。植物と動物が好きなので、いまの暮らしはとても心地良いですね。

ーー猫以外に、ヤモリとイモリ・熱帯魚も飼育しているんですね。アクアリウムのレイアウトにもこだわりを感じます。
せっかくなら自然に近い環境でのびのび飼育したいという想いがあり、アクアリウムにも緑をたくさん取り入れて、ガラス越しの風景が美しく見えるように配置にも工夫しています。

熱帯魚は華美すぎない小型種を
夫婦一緒に共通の趣味を楽しむ幸せ

ーー奥さまも元々植物がお好きだったのでしょうか?
一緒に暮らすようになってから妻も植物が好きになりました。ちなみに、デリケートなアジアンタムのお世話は妻が専属で担当しています。
ーー高い場所にも植物があることで、空間にも素敵なメリハリが生まれているなと思いました。
高低差が出るレイアウトになるように、インテリアの観点からもこだわって飾っていますね。直感的に「いいな」と思う配置にしていますが、割と頻繁に並べ替えもしています。

盆栽的に楽しむプルセラ・シンプリキフォリアもお気に入り
ーーお話を伺って、お互いの好きを尊重し合って心地良い暮らしを探求されている印象を受けました。
妻も自分もかなりインドアなので、部屋を自分たちの好きな空間にしたいという想いが強く、部屋づくりが趣味でもあります。自分の好きな部屋で過ごすのが一番自分らしく過ごせて居心地が良いです。僕だけだと無機質なテイストになりがちなのですが、妻がそこに遊び心やスパイスを加えてくれると思っています。

遊び心のある小物は奥さまのセレクト
ーーこれから変えていきたいインテリアの要素や、新しくお迎えしたい植物はありますか?
いま使っている鉢は黒一色が多いのですが、これからはもっとデザインにもこだわっていきたいなと思っています。
植物だと、猫に安全とされる種類が多いヤシ科の植物が気になっています。ヤシ類は派手なイメージもあるのですが、高性チャメドレアはいま置いている他の植物とも相性が良さそうだなと思っているので、近いうちに加わるかもしれません。
猫と植物、双方に居心地の良い環境を

ーー麦くんとホップちゃんを飼い始めたきっかけも奥さまだったそうですね。
妻の実家に、野良の子猫の兄妹が住み着いており、出会った瞬間に飼うことを決めました。見に行ったその日の夜に妻から「飼うね」と。冬が来る前だったので、急いで猫可の物件を探して引っ越しました。それが現在住んでいる家です。
ーー猫と暮らすうえで、植物の扱いや置き場所など気を付けていることはありますか?
ハンギングや棚の上など、手が届きにくい場所をメインに植物を置いています。直で床置きはせずに、台に乗せて高さを出すだけでも効果がありました。直置きしていた時のいたずらレベルを「10」とするなら、いまは「2」くらいまで頻度が減ったと思います。あとは床の落ち葉を放置しないように気をつけています。
ーー猫との共存で、難しいと感じるのはどんなところでしょうか?
植物選びですね。猫と一緒に観葉植物に囲まれた暮らしをする以上、できるだけリスクを減らすのは飼い主の責任だと思っています。観葉植物の中には猫にとって危険な種類も多く、猫が植物にいたずらをするのは避けて通れません。だからこそ、正しい知識を持った上で植物を選び、置き場所までしっかり考えることが大切だと感じています。
ーーいままでで一番盛大ないたずらは……?
2日間ほど家を空けた際に、植え替えしたばかりのエバーフレッシュの大鉢が倒されてしまったことです。植え替えで弱っているときに根っこが土から出てしまったこともあり、あっけなく枯れてしまったのはとてもショックでしたね。

いたずらされたのは、このエバーフレッシュよりさらに大きい鉢だったそう
ーー植物への興味から猫の気をそらすコツがあればぜひ教えてください。
キャットタワーを置いてあげたり、あとはこまめに遊んであげることが大切だと思います。やはり留守にしたときにいたずらすることが多いので。

ーー猫飼いにおすすめだと言われている植物のなかで、実際に育てやすいと思った品種を教えてください。
ペペロミア・オブツシフォリアは乾燥にも強く、本当に丈夫で育てやすいと思います。

ーー最後に、猫を飼っていて自宅に植物を取り入れてみたいと考えている方に向けて、ぜひメッセージをお願いします。
植物をインテリアの一部としてだけではなく、猫と同じように大切な存在として迎える気持ちが大事だと思っています。だからこそ、心から惹かれる植物を選ぶことをおすすめしたいです。
猫にとっても植物にとっても快適な空間を意識しながら必要な知識や工夫を取り入れていけば、きっと理想の暮らしに近づけると思います。ぜひ一緒に、心地良い「家の中の庭空間」を目指していきましょう。
このやさん プロフィール

1993年生まれ、東京都在住。元園芸店員のノウハウを活かして「猫と過ごす植物のある暮らし」をInstagramで発信、フォロワー数は約4万人。
夫婦で100株近くの観葉植物を育てながら、猫・イモリ・ヤモリ・熱帯魚を飼育している。






































