ディルとは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- ディル
- 学名
Anethum graveolens
- 英名
- Dill
- 和名
- イノンド
- 科名
- セリ科
- 属名
- イノンド属
- 原産地
- インド・アフリカ
ディルの特徴
ディルは独特の風味で、魚料理やハーブビネガーなどに使われているハーブです。細かく刻んで、ドレッシングやマヨネーズなどの調味料にも使えます。葉をはじめ、種や花も利用でき、一株あると料理の幅が広がるハーブのひとつです。
ディルは、種からでも苗からでも育てることができますが、一回の料理で大量に使うハーブではないため、自宅で料理に使う用途であれば、一株でも十分に楽しめることから苗での購入の方が一般的です。最近はスプラウト(発芽野菜)としても利用されます。
ディルの詳細情報
園芸分類 | ハーブ |
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草丈・樹高 | 60~100cm |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 弱い |
花色 | 黄色 |
開花時期 | 5月~7月 |
ディルとフェンネルの違い
見た目がとても似たハーブ、ディルとフェンネル。ディルは一年草、フェンネルは多年草。両者ともセリ科ですが、ディルはイノンド属、フェンネルはウイキョウ属です。
見た目の違いは、ディルの方がフェンネルより葉の密集度が高く、フェンネルの方が株が大きくなります。
ディルとフェンネルを近くで育てると交雑しやすいため、種を採る場合は植え付け場所には注意しましょう。
ディルの利用法
葉をはじめ、花、種など、様々な部分を利用することができます。
葉はスパイスとして肉料理、魚料理、卵料理や野菜のマリネなどに使われます。特に魚料理との相性が良いハーブと言えばディルが挙げられます。中でもサーモンの料理によく使われ、ソテーや煮込みなど火を通す料理のほか、生のサーモンと野菜のマリネなどにも利用できます。
また、フルーツにも意外と相性が良く、フルーツポンチに少量細かいディルの葉をアクセント的に入れると、彩と味のアクセントになります。ハーブビネガーの中にもディルはよく使われます。
種は「ディルシード」として、スパイスとしても販売され、ピクルスやマリネなどに利用できます。花はマリネやピクルス、オイル付けや飾りなどに利用できます。
ディルの花言葉
ディルの育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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種まき | ||||||||||||
植え付け | ||||||||||||
開花 |
ディルの栽培環境
日当たり・置き場所
ディルは、日当たりと風通しの良い場所で育てましょう。同じセリ科のディルとフェンネルを近くで育てると交雑しやすいので、種を採る場合は植え付け場所に注意しましょう。
用土
水はけと水保ちが良い土が適しています。
鉢植えの場合は、市販のハーブや野菜用の培養土で問題なく育ちます。
畑栽培をする場合は、植え付け前に土を耕す準備が必要です。まず植え付けの2週間前位には石灰を入れ耕しましょう。その1週間後に堆肥と元肥を入れ土になじませます。
窒素分を含む肥料は、石灰と合わさることで窒素分がアンモニアガスとなって消失してしまうため、同時に使用してはいけません。そのため、石灰と肥料を合わせて使用する際は最低でも1~2週間ほど日数をあけて投入しましょう。
なお、この場合の石灰とは「消石灰」や「苦土石灰」をさします。牡蠣殻などの「有機石灰」ではそのような化学反応は起きないので、どうしても堆肥と石灰を使用するために必要な日数がない場合は「有機石灰」の使用をおすすめします。
ディルの育て方のポイント
水やり
地植えのディルは、根付いてしまえば水やりの必要はありません。
鉢植えのディルは、鉢の表面が乾いたらたっぷりと水を与えるようにします。
ディルは乾燥には弱いので、完全に水が切れないように注意しましょう。
肥料
真夏以外は定期的に使用頻度を守って追肥しましょう。
病害虫
ディルは病害虫には強いハーブですが、キアゲハがディルを好み、夏になると飛来して卵を産み付けます。幼虫が孵化すると、あっという間に葉を食べられてしまうので、常日頃から葉をチェックするようにしましょう。
ディルの詳しい育て方
選び方
葉の色が生き生きとした緑色のものを選びましょう。ディルは、同じセリ科のフェンネルと見た目がとても似ています。二つを比べて、葉の密集度が高いのがディルです。ぱっと見だと見分けがつきにくいので、プランツタグをよく見て購入しましょう。
種まき
春か秋に種まきをします。
ディルは直根性のため、直まきが最適です。そのほか、ポットに直接まいて、間引きながら育てるのも簡単な方法です。
直まきは、株と株の間を30cm程あけて3~4粒ずつ種をまき、土をごく薄くかけます。土を手で押すようにおさえてから、種が流されないように優しく、水をたっぷりとやります。発芽まで、土が完全に乾かないように注意しながら水を与えましょう。
ディルは春と秋に種まきができますが、春まきは収穫できる期間が短いため、秋まきの方が一般的です。
植え付け
ディルは移植を嫌う直根性の植物なので、一番よいのは直まきすることです。苗で植え付ける場合は、根をいじらないようにして植え替えましょう。
直根性とは・・・
根っこが地中深く枝分かれすることなく、まっすぐに伸びていく性質のことをいいます。地中深く伸びた後に分岐するものもありますが、基本的には太い根が下に伸びていく性質です。そのため直根性の植物は、太い根を少しでも痛めてしまうと植物のダメージが大きく、うまく根付きません。このことから植え替えの時に注意が必要な植物と言えます。買ってきた苗を植え付ける際には、根をほぐさず、そのまま土に埋める感じで植え替えましょう。
仕立て方
ディルは背丈が高くなるので、伸びてくる前に支柱を立てて風対策をしましょう。
剪定・切り戻し
ディルの丈が20cmくらいまで生長したら、新芽の先を摘み取ると、そこから枝分かれして収穫量がアップします。適度に切り戻したディルと一度も切り戻さないものでは丈がかなり違うと同時に、葉の収穫量にも違いがでます。
植え替え・鉢替え
ディルは一年草のため植え替えの必要はありません。
花
ディルは初夏に黄色い花が開花します。花の後の種もピクルスなどに利用されています。花が咲いて種子が出来ると葉は堅くなり枯れていきます。
料理用に育てているのならば、花は極力咲かせず、葉をどんどん収穫した方が、長い期間収穫できます。
ディルは切り花としても楽しむことができます。
収穫
ディルの草丈が20~30cm以上になったら収穫可能です。セリ科のハーブは、内側に新芽ができるので、外側の葉から収穫していきましょう。
葉を利用したい場合は、花芽を摘んで花を咲かせないようにすると長期間、葉が収穫できます。伸ばし放題にして、花を咲かせると寿命は短くなります。
夏越し
ディルは暑さに強いハーブなので、特別な夏越しの必要はありませんが、水切れを起こさないように気を付けましょう。
冬越し
ディルは一年草のため冬越しの必要はありません。
増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)
ディルは一年草なので種で増やすことができます。種を採るのが目的の場合は、近くにフェンネルを植えないようにしましょう。交雑してしまう可能性があります。ディルはこぼれ種でも発芽するくらい繁殖力は強いハーブです。