熱帯スイレン(昼咲き)とは?育て方・栽培方法|植物図鑑
- 植物名
- 熱帯スイレン(昼咲き)
- 学名
Nymphaea
- 英名
- Tropical Water Lily
- 別名・流通名
- 熱帯スイレン
- 科名
- スイレン科
- 属名
- スイレン属
- 原産地
- 熱帯アフリカ、南米、オーストラリア、熱帯アジアなどの熱帯地域
熱帯スイレン(昼咲き)の特徴
熱帯昼咲きスイレンは、熱帯地域を原産とするスイレンのうち日中に開花するグループを総称して指すものです。生長に伴って長い根茎を伸ばしていく温帯スイレンと異なり、球根を作るという特徴があります。
現在では東南アジアを中心に数多くの交配種が作出されており、観賞用として流通しているのはその交配種がほとんどです。白、黄、ピンク、紫など様々な花色の品種があり、また花姿も花弁が丸みを帯びたものや細いもの、八重咲など様々です。花には石鹸や香水のような清潔感のある香りがあります。浮葉も無地のものだけでなく、熱帯らしい赤紫の模様が入るものなどがあります。
また、熱帯昼咲きスイレンには原種ミクランサ(Nymphaea micrantha)の特徴を受け継いだ「ムカゴ種」と呼ばれるグループがあります。ムカゴ種は浮葉の中央にムカゴを作り、そこから根や葉が出て子株を形成します。
熱帯スイレン(昼咲き)の詳細情報
園芸分類 | 水生植物 |
---|---|
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | 弱い |
花色 | 白、黄、青、紫、ピンクなど |
開花時期 | 6~10月 |
熱帯スイレン(昼咲き)の種類
Star of Siam(スター・オブ・サイアム)
古くからある青系品種のひとつで、薄青~青紫色の花を咲かせます。花弁数はそう多くないですが、大きく立体的に開く花姿と雄蕊の散り方が特徴的で人気です。
また浮葉には熱帯種らしい赤紫の斑模様が大きく入ります。
Bull's Eye(ブルズ・アイ)
熱帯昼咲きスイレンの中でも特に赤みが強い品種のひとつ。花弁数が多いため、その色味も相まってゴージャスな印象を受けます。
性質は非常に強肩で花上がりも良く、またよく分球するため増殖も容易です。
Tanzanite(タンザナイト)
熱帯昼咲きスイレンの中でも特に青みが強い品種のひとつ。開花してからの日数経過によってまるで別の花のように大きく表情が変化します。
浮葉には赤茶色の模様がストライプ状に入ります。
Barbara Barnett(バーバラ・バーネット)
黄色と桃色のグラデーションが美しい、複色系の中でもサンセットカラーと言われるタイプの品種。中央部が黄色く発光しているように見えます。
浮葉には赤紫色の模様がストライプ状に入ります。
Purple Joy(パープル・ジョイ)
白い花弁の先端が紫色に染まり、大人びた印象を受ける複色系の品種。花姿も乱れにくく、生育初期から美しい花をよく咲かせます。
割と新しい品種で、流通量はまだあまり多くありません。ムカゴ種です。
Suwanna Purple(スワンナ・パープル)
白い花弁に紫色の散り模様やストライプが入る、極めて特徴的な品種です。国内での流通量は少なく、まだ目にする機会は多くありません。
熱帯スイレン(昼咲き)の育て方カレンダー
時期 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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植え付け | ||||||||||||
生育期間 | ||||||||||||
開花期間 | ||||||||||||
肥料 |
熱帯スイレン(昼咲き)の栽培環境
日当たり・置き場所
出来る限り直射日光が長く当たる場所で育てます。日照時間が長ければ長いほど株が充実し、花数も多くなります。
マンションのベランダなど長時間の日照が確保できない場合でも、3時間ほどの直射日光が当たる環境であれば開花することがあります。
温度
高温を好み、水温が40℃ほどになろうとも元気に葉や花芽を上げて生育を続けます。気温がまだあまり高くない春先は水量を少なめにすることで、日中の水温を高めて生育を促進させます。
寒さにはやや弱く、晩秋頃には休眠に入り始めます。冬は凍り付かないような一定気温を保てる場所で管理しましょう。
温暖な地域であれば通年屋外で栽培できることもあります。
また、ムカゴ種については、一般的な熱帯昼咲き睡蓮よりも休眠に入る温度が低い傾向にあります。
用土
粒を潰して練った赤玉土や荒木田土をベースに、腐葉土を混ぜ込んだものを使います。鉢は水没させるため、水捌けなどについては特に気にしなくても大丈夫です。
熱帯スイレン(昼咲き)の育て方のポイント
日常の管理
枯れ込んできた葉や咲き終わった花などを切除し、株元までできるだけ日光が当たるようにします。
水やり
生長点が水上に露出しないよう、適宜差し水をします。夏場は特に水の蒸発が早いので、水量には普段から気を付けておきましょう。
肥料
植え付けの際に元肥として化成肥料を鉢底付近に埋め込んでおきます。
追肥は2か月に1度くらいの間隔で、割り箸などを使い鉢の縁に沿って用土に3か所ほど穴を開け、化成肥料をできるだけ深く埋め込んでください。
また越冬期間中に肥料分が残っていると球根が腐る原因になりますので、8月末くらいからは追肥をしないようにします。
熱帯スイレン(昼咲き)の詳しい育て方
選び方
葉数が多く艶があり、害虫が付いていない株を選びます。また花芽がついているものを選ぶことで早めの開花が楽しめます。
植え付け
大きな鉢に植え付けるとその分巨大化してしまうため、4号~5号程度の鉢を用います。生長点は球根の頂点にありますので、生長点が土の上に露出するように植え付けてください。
また鉢を沈めるための睡蓮鉢は直径45㎝くらいあるものが無難です。少々見た目は悪くなりますが、土木作業で使用するようなトロ舟などでも代用可能です。
植え替え・鉢替え
生育期間中は基本的に植え替えや鉢増しなどを行いません。
植え替えは休眠期間中に行います。休眠状態に入ると大きな葉が全て枯れて、生長点付近に小さな芽が出ているだけの状態になります。
掘り上げるタイミングは冬越し方法によって異なりますが、その際に古くなった黒い根は全て取ってしまいましょう。
花
花は午前中に開き始めて昼過ぎに閉じるというサイクルを繰り返しながら、3日間ほど咲き続けます。
初日は雄蕊が全て開くため中心部にある柱頭液が見えますが、2日目は雄蕊が完全に閉じてしまいます。3日目以降も中心部は隠されていますが、周辺部の雄蕊がパラパラと開いたような状態になります。花粉は2日目以降に出てくることが多いです。
自家受粉を防ぐこの仕組みによって咲き進むごとに花の表情が変わっていくため、花を見て何日目の花なのか推定することが可能です。
冬越し
休眠に入った球根を冬越しさせるにはいくつかの方法があります。
・鉢に植え付けたまま水を張ったバケツなどで管理
・掘り上げた球根を野菜ネットなどに入れて、水を張ったバケツなどで管理
・掘り上げた球根を濡らしたフェルトに包み、ジッパー付きビニールなどに入れて管理
上記いずれも凍結の恐れがなく温度変化のあまりない場所で管理します。
ムカゴ種については休眠状態に入る温度が低く、休眠に入る前に腐ってしまうことがありますので、生育期間中にできるだけ多くのムカゴを育てて保険となる株を作っておく方が安心です。
増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)
分球している球根については、春に植え付けるタイミングで割ってそれぞれ植え付けます。もし手で簡単に割れないような場合は無理に割らないようにしましょう。
ムカゴ種については、上記分球とは別にムカゴで増やすことも可能です。浮葉の中央にムカゴができますので、葉を切り取って水に浮かべておくだけでムカゴ苗を作ることができます、