クチナシの葉が丸坊主に!?オオスカシバのしわざかも
小野寺葉月
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クチナシの季節になりました。道を歩いているとふっと香ってくるクチナシ。切り花ではなかなか流通していないので、お好きな方はお庭に地植えされていたり、今年鉢植えでお家にお迎えされた方も多いかもしれません。
目次
オオスカシバってどんな虫?
オオスカシバはチョウ目スズメガ科の昆虫です。北海道以外の日本全国で生息しており、発生時期は5月~10月ごろまでです。ハチドリのように透明な羽を小刻みに動かし、ホバリングの状態で長く発達した口吻で花の蜜を吸います。体長60mmほどで胴体は緑色から黄色の体毛が生えています。顔の愛くるしさから、成虫が好きな人もたくさんいます(わたしもその一人です)。ですが、このオオスカシバ、幼虫はとっても食いしん坊で、クチナシの葉を好んでよく食べます。気が付くとクチナシの葉が丸坊主、なんてことも。オオスカシバは夜行性ではなく、昼に活動する昼行性です。目にする機会が多いかもしれないです。見慣れないと大きい個体が飛んでいるので、スズメバチなどの大きい鉢に見えたりして驚いてしまうかもしれませんね。人には無害ですので、怖がることはありません。
オオスカシバの幼虫
アニメに出てきそうな可愛らしいフォルム。もちもちした体にこれぞ、という脚。ピンとしたツノはおしりで、顔は反対側についています。だいたい50mm~65mmほどのサイズですがまれに100mmほどになることもあります。そんな大きな個体でも成虫の大きさは60mm程度です。色味がクチナシの新芽と似ているのでなかなか気づかず、目が慣れて見つけられるようになってくると非常にびっくりします。
オオスカシバはクチナシが大好き!
オオスカシバの成虫はさまざまな花で蜜を吸いますが、幼虫はクチナシの葉や花芽が大好きです。なので幼虫を探す場合、クチナシの木を探すと見つかる確率が高いです。
こんな風に虫食い後のある葉を見つけたら要注意。葉裏や枝部分を注意深く観察してみましょう。高確率で幼虫がいます。また、葉には卵も見つけることができます。1つずつ産み付けられた卵は、直径1~2mm程度の薄黄色をしたきれいな球形です。キャビアのような灰色の卵の場合もあります。幼虫は葉だけでなく花芽も食害してしまうので、見つけたら補殺することをおすすめします。
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オオスカシバの幼虫は爆弾みたいなフンをする
オオスカシバの幼虫は、大きい体に見合った立派なフンをします。どうしたらこの形状になるんだろう?と思うような工芸品のようなフンです。まるで手榴弾のようなその形。フンも、若齢幼虫の頃は小さめですが、終齢幼虫の頃になると5mmくらいの巨大なフンをします。
オオスカシバの駆除や防除方法はあるの?
実家のクチナシについていた幼虫たち。黄緑色でおしりに黒いピンとしたツノのようなものがあります。右上の黒に白いラインが入っている幼虫は山椒についていたアゲハ蝶の幼虫です。右真ん中ほどの透明感あふれるのはおそらくナメクジの子ども。まるで幼稚園状態。
オオスカシバの幼虫は無毒で可愛いのですが、葉をたくさん食べてしまうため、クチナシの葉付きが悪くなります。花芽や新芽も食べられたり、丸坊主にされてしまうと枯れてしまう事もあるので、涙を呑んで駆除・防除に踏み切りましょう。
オオスカシバの防除はなかなかむずしく、防虫ネットなどをかけるとクチナシの葉や生育にダメージを起こしてしまうことがあるので、一つは地道に捕殺することです。卵を駆除するのが一番効率は良いですが葉裏にも卵を産み付ける場合がありますので、卵を探すときには葉裏を確認して透明な1~2mmくらいの卵を駆除します。すでに孵化していた場合は、若齢幼虫を探すことになりますが、保護色で見つかりにくいです。若齢幼虫にはオルトラン錠剤が効きます。終齢幼虫に近づくとオルトランでは効果が薄くなりますので、その場合はスミオチン乳剤が効果的です。
オオスカシバの可愛さを知ってしまった身からすると駆除や防除は切ない話ではありますが、きれいな花を長く楽しむためにも適時対処することがポイントです。発生時期も長いので、定期的にチェックするようにしましょう!きれいなくちなしの花を楽しめますように!
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