和風月名と意味、その由来は?(葉月、長月、師走……)
小野寺葉月
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月の和名、みなさんすべて言えますか? 私は自分の名前が生まれ月の和名なこともあり、親しみがあります。和風月名(わふうげつめい)という呼ばれ方をする12か月の名前の由来や起源についてや、花を使った暦の「花暦」についてもご紹介します。
目次
- 和風月名とは? 由来や意味、起源について。
- 和風月名と花暦
- 睦月(むつき)・1月・松
- 如月(きさらぎ)・2月・梅
- 弥生(やよい)・3月・桜
- 卯月(うづき)・4月・藤
- 皐月(さつき)・5月・菖蒲
- 水無月(みなづき)・6月・牡丹
- 文月(ふみつき)・7月・萩
- 葉月(はづき)・8月・薄
- 長月(ながつき)・9月・菊
- 神無月(かんなづき)・10月・紅葉
- 霜月(しもつき)・11月・柳
- 師走(しわす)・12月・桐
和風月名とは? 由来や意味、起源について。
和風月名とは、月の呼び名の和名です。旧暦の呼び方として使われているもので、現在では1月から睦月、如月・・・と続きます。
旧暦って?
現在使われていない暦のことを旧暦(きゅうれき)と呼びます。現在日本で使っている暦はグレゴリオ暦です。旧暦と呼んでいるものは明治5年まで使用していた太陰太陽暦のことです。
太陰太陽暦とは
太陰暦と太陽暦を組み合わせたものが、太陰太陽暦です。
太陰暦とは
太陰暦は、月の満ち欠けによって一か月をきめたものです。空の月が最も欠けた状態(新月)を「朔(さく)」といいます。そこから15日たつと、月が満ちていきます。一番満ちた満月の状態を「望(ぼう)」といいます。またそこから15日かけて「朔」に戻ります。このように、「朔」から「望」をすぎ、もう一度「朔」の状態まで戻る約30日間を1か月としていました。この1か月が12回訪れることで一年とします。これが太陰暦です。しかしながら、太陰暦は地球が太陽の周りをまわる一年間の日数よりも11日間短いのです。
太陽暦とは
太陽の周りを地球が回る周期である365.24日にちかい、365日を一年とする考え方。細かいずれについては閏日(うるうび)を設定することで調整します。
旧暦と和名の関係
和風月名は、太陰太陽暦(旧暦)のときに使われたものです。起源は古く、日本最古の書籍である「日本書紀」に「四月(うげつ)」「二月(きさらぎ)」との訓読みが書かれているそうです。どうしてこの名前が使われるようになったかははっきりわかっていません。暦や節句は中国から伝わってきたものが多いので、中国の月の名前を調べてみました。
中国の月の名前
一月 华月 正月 端月 嘉月
二月 如月 杏月 丽月
三月 寐月 桃月 季月 蚕月
四月 清和月 麦月 阴月 梅月 余月
五月 皋月 榴月 蒲月
六月 旦月 暑月 焦月 荷月
七月 凉月 兰月 瓜月
八月 桂月 壮月
九月 玄月 菊月 朽月 阳月
十月 良月 露月
十一月 葭月 幸月 畅月 龙潜月
十二月 涂月 腊月 冰月 严月
中国語なので発音や読み方は異なりますが、共通の漢字を使っていたのは二月の如月と五月の皐月でした。ほかに、別名で共通したものもありますが(九月の菊月など)、基本的には相違があるようです。中国から伝わってきたわけではないのでしょうか。中国から平安時代に伝わってきた二十四節気は中国の暦を踏襲しているんですが、月の名前はそうではないようです。
実は季節と合っていない!?
和風月名は季節感がある呼び名ですし、風流な感じがありますね。
しかし、この呼び名は旧暦のものです。「睦月」は旧暦1月のことで、現在のグレゴリオ暦では2月ごろのことなのです。例えば8月は葉月ですが、葉月の由来は諸説あるものの、「葉落ち月」のことだと言われています。葉が落ちるのは実際には早くても9月。そう、旧暦の8月なので、現在の暦では9月ごろを指すんですね。
和風月名と花暦
花暦というものがあります。こちらの起源は中国で、「月ごとにその時に咲く花を掲げたもの」ですが、用途としては花の開花時期を農作業の目安にしていたようです。花の開花に基づく農業の暦というわけですね。
花暦をご紹介
中国の花暦
1月 梅 2月 桃 3月 牡丹 4月 桜 5月 木蓮 6月 柘榴 7月 睡蓮 8月 梨 9月 葵 10月 菊 11月 山梔子 12月 芥子
日本の花暦
1月 松 2月 梅 3月 桜 4月 藤 5月 菖蒲 6月 牡丹 7月 萩 8月 薄 9月 菊 10月 紅葉 11月 柳 12月 桐
また、日本の花暦に出てくる花(植物)を見てみましょう。何か気が付きませんか?
じつはこれ、花札のモチーフに使われている植物なのです!花札は12か月に季節の花植物が4枚ずつ描かれています。札ごとに得点が決まっており、総数48枚の中で20点札が5枚です。種札(10点)が9枚。種札は梅に鶯、藤に不如帰(ほととぎす)、菖蒲に八橋、牡丹に蝶、萩に猪、芒に雁、菊に盃、紅葉に鹿、柳に燕です。有名な「猪鹿蝶」はこの種札で組めますね。青短赤短の短冊札(5点)が10枚。カス札(1点)が24枚ありますが、今回見返していて発見がありました。
松に鶴、桜に幕、柳に小野道風、桐に鳳凰と並んで得点の高い20点の手札が「芒(すすき)に月」。これ、芒だったのですね。山のシルエットだと思っていたのですが・・・。江戸時代中期までは、この花札の絵柄は芒野原(すすきのはら)に月だったそうです。
\和風月名を見ていきましょう/
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