きれいな日本語、季語を知ろう。秋の季語にはなにがある?
小野寺葉月
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俳句ってみなさん馴染みがあるでしょうか。最近はバラエティ番組でも俳句のコーナーがあり、芸能人の方々が詠み比べをされていたりしますね。私は俳句を習っていたことがあります。。。俳号(俳句の時に名乗る名前)も先生からいただいたものがあります。。。現在は俳句を詠んではいませんが、その時勉強した季語については今も好きで、たまに季語辞典(季寄せ)を見返したりします。俳句は日々の暮らしに根づいたものが多く、歳時記にあわせたきれいな季語がたくさんあります。
目次
俳句ってなに?和歌・短歌・川柳との違いは?
和歌=短歌
和歌とは、漢詩に対し日本で発展した詩歌全般のことで、その中に短歌・長唄・旋頭歌(せどうか)などの種類があります。現在では短歌以外の歌はほとんどなくなり、和歌=短歌という認識でも問題がないそうです。5・7・5・7・7で構成されており、5・7・5が「上の句」で7・7が「下の句」。有名なのは百人一首で、テーマは恋愛・自然など様々な歌があります。
俳句・・・侘び寂び
俳句は、5・7・5で構成されており、自然を表す「季語」が必ず入っていなければならないものです。数える時は「一句、二句」と数えます。テーマは自然の情景などが多く、「侘び・寂び」などの美意識を表現することができます。
川柳・・・日常、身近
川柳は5・7・5の構成で、「季語」がないもののことをさします。俳句に対して日常的なテーマやおもしろみなどが表現しやすいです。
俳句の上での四季
俳句の上での季節は、現在の季節とは少しずれがあります。旧暦時代に使用されていた二十四節気をベースに考えられていいるのです。旧暦だから月の満ち欠けとリンクしていると思いがちですが、実際には太陽の一年の周期を二十四に分割したものです。二十四節気は立春に始まり、大寒に終わります。夏至と冬至、春分と秋分を軸に考えられています。
春…2・3・4月
立春・雨水・啓蟄・春分・清明・穀雨
夏…5・6・7月
立夏・小満・芒種・夏至・小暑・大暑
秋…8・9・10月
立秋・処暑・白露・秋分・寒露・霜降
冬…11・12・1月
立冬・小雪・大雪・冬至・小寒・大寒
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季語の調べ方
季語辞典・季寄せ・歳時記
季語辞典は、まず春夏秋冬でわけられ、それを以下の分類で分けています。
時候・天文・地理・・・季節の気候や月・星の動き、山野・海のうごき・ようす
植物・動物・・・季節の植物、動物の行動
生活・行事・・・衣食住に関すること、農作業や漁仕事、祭りや行事
忌日・・・文学者を中心とした、いろいろな人の命日を季語として使う
自分が詠みたい情景や心情に合わせた季語の選択が重要です。
覚えたい季語・・・秋編
季語の後に同じ意味の他の表現の仕方を書いています。これを使っても季語としてみなされます。日本語って結構自由度高いですよね。
天文
稲妻【いなづま】 稲光・稲の妻・稲の殿・稲つるみ・いなつるび・いなたま
稲妻が光ると畑に実りをもたらす(稲が実る)と考えられていたため、「稲の夫(つま)」という意味で「イナヅマ」と呼び、のちに「稲妻」と書くようになった。古代日本語では「夫」も「ツマ」と呼んだのでこうなっている。初秋の夜、音もなく光だけ稲妻がピカピカとすることがある。
うつむく母あふむく赤子稲光 西東三鬼
稲光に一瞬映し出された親子が表現されている。暗闇の中でも母が子を見守っている感じでしょうか。
地理
秋の山【あきのやま】 秋山・秋嶺(しゅうれい)・秋山家(あきやまが)・秋の峰
秋になり紅葉が進んだ山は大変鮮やかで、山道で落ち葉や木のみを拾ったり、キノコ狩りなどの楽しみもたくさんある。
鳥獣のごとくたのしや秋の山 山口青邨
木の実をついばむ小鳥や紅葉の中で跳ねる獣のように、鮮やかな秋の山を楽しむ。なんとなく鳥獣戯画で情景が再生されますね。
植物
団栗【どんぐり】
クヌギ・ナラ・カシワなど落葉樹の実。コマややじろべえなどにして遊ぶのも楽しいですよね。
団栗の二つであふれ吾子の手は 今瀬剛一
たった2つのどんぐりでいっぱいになってしまうくらい小さなわが子の手!
木犀【もくせい】 金木犀・銀木犀
金木犀のハッとするような鮮やかなオレンジ色と、特徴のある甘い香りは秋の訪れを感じさせてくれます。
ほつほつと 木犀の香に 降つて来し 中村汀女
木犀の香りはふわりと漂ってきますが、大きな木犀の香は上から降ってくるような感覚、わかる気がします。ほつほつ、という音も一つ一つ小さな金木犀がおちてくるときの感じがしますね。
生活
牡丹根分【ぼたんねわけ】 牡丹の根分け・牡丹の接木・牡丹植う
牡丹の根分けを行うこの時期、季語になっています。牡丹自体は夏の季語です。
さびしくて牡丹根分けを思い立つ 草間時彦
言い知れないさびしい心持で心がいっぱいになり、春先華麗に開く牡丹を増やそうと思い立つ、そんな瞬間の句です。
松手入【まつていれ】
夏の間に伸びたマツを手入れすることを指すのですが、手入れするのはマツに限らず、この時期に行う庭仕事全般を指すのだそうです。
きらきらと松葉が落ちる松手入れ 星野立子
松を手入れするうちに落ちた松葉に秋の日があたりきらきらしているようす。剪定していると秋の日差しが気持ちよく、また植物も照らされてきれいに見えますよね。
いかがでししたでしょうか。とっつきにくいイメージがありますが、私が習っていた先生は俳句を日記のように書くことを教えてくれました。堅苦しくなく、さらっと表現する。情景描写を通した心情の表現や、季語に含まれた意味を引用して連想させたりなど、探求していくともっといろんな面白さがあります。詠まずとも季語を知っているだけで、生活に色を添えてくれますよ。
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