種のひみつ旅行。植物たちの生存戦略はこれ!
小野寺葉月
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植物の種子(種)は実にさまざまな方法で仲間を増やそうとします。自分のチカラだけでなく、動物などのチカラを使ったり、風や水など自然の力を使ったり、その戦略はまさに生き抜くためのもの。いろいろな生存戦略を調べてみました。
目次
そもそも種子(種)ってなに?
種子(種)は植物の子供にあたる胚(embryo)、芽を出すための栄養をたくわえている胚乳(endosperm)、胚を守っている種皮(seed coat)からできています。
種子の役目とは?
仲間を増やす
仲間を増やすために、種をたくさん作ります。タンポポは小さな花が集まってできた集合体です。だいたい200前後の花からできているんです。いわゆる綿毛が種ですが、同じ数が出来るそうです。
新しい場所に広がる
種が木の真下に落ちてしまうと日光が満足に当たらないということが考えられます。新しい場所に広がる方がその種類が絶滅するリスクが少なくなります。ケシの実は枯れた後、上部のふた部分が開き、細かな種を風で撒いていきます。
気温が生育に適さない時のシェルター
外気が暑かったり寒かったりするとき、発芽にちょうど良い気温になるまでのシェルターとして機能します。
種子散布の様々な方法~風散布~
風に乗って種子が運ばれるものたち。飛び方にもいろいろなタイプがあります。
葉
ケヤキは複数の種子がついた枝ごと風に乗ります。何枚かついた葉が翼の代わりなんですね。種子がついているケヤキの枝葉。落ち葉をよく見ると、葉だけのもの以外に枝ごと落ちているものがたくさんあることに気づきます。
苞葉
フウセンカズラの風船。中の種子にはハートの模様があってさらにかわいい!
翼果(よくか)
ウバユリの種はまるでかさぶたのようでした。とても軽く、風が吹くとぱあっと飛んでいきます。
翼果(よくか)とは、果皮の一部分が変化して翼のようになったものをいいます。プロペラのようにくるくると回転し、より遠くに飛んでいきます。ニレ科やナデシコ属、カエデ属 などに見られます。
よく見られるのはカエデの種子。風を受けてくるくると種子部分を中心に回転しながら飛んでいきます。遊んだことあるのではないでしょうか。
種子散布の様々な方法~水散布~
水流散布
海辺に生えるタコノキ。パイナップルのような部分が種子で、海水に浮き遠くまで行ける。
川や海など水流により散布されます。果実や種子が水に浮きやすいスポンジ状のものが多く見られます。タコノキ、ココヤシや、ハマダイコンなど、海辺に生えているものが多い。
水滴散布
雨などの水滴を利用して散布される。ネコノメソウはおわんのようになっている裂開した果実の中に種子がはいっていて、雨水があたるとその衝撃で種が飛ぶんだそうです!すごい仕組みですよね。
種子散布の様々な方法~動物散布~
被食散布
動物が果肉を食べ、移動した先で種子をフンとして排泄されます。動物の移動距離がそのまま種の移動距離となります。一般的な果実、実などです。りんごなどの果樹はこのパターンが多いです。鳥が多いですが、タヌキなど一部他の動物もこの方法で種を運んでいることがあります。
付着散布
草むらに入ったら足にギョッとするほど何かの種がくっついてた。粘着質でなかなか取れなかった。
形状が特殊で、動物の毛にくっつく性質を持つ種子。オナモミやキンミズヒキ、トベラなどがあります。
アリ散布
アリが好む部分(被食部)が種子や果実の一部についており、巣に持ち帰ったアリが食べ、残りはゴミとして捨てられるのですが、その捨てられた部分から発芽します。被食部にはアリの好む「エライオソーム」という物質があることがわかっています。アリに運んでもらうためにこの物質を作り出しているのですね。他に、スズメノヤリ属の植物、ケマンソウ属の植物などにエライオソームという物質があることがわかっています。
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貯蔵散布
一部の地中に食料を貯める習性のある動物(アリ・カケス・リスなど)が、埋めておいたものを忘れてしまったり、食べ残したりする実が発芽したりすることがあります。物語の中だけじゃないんですね!やっぱりあるのね、忘れちゃうこと・・・
自動散布
果実の皮が裂開しようとする力が果実の皮をつなぎ止める力を越えると、瞬間的に果実が分解し、内の種子がはじき飛ばされ果皮がしまったり、収縮する力で種子がとばされるものなどがあります。カタバミを除草中、種が弾けて顔にぴしぴしあたって、あとで鏡を見たら顔に種がほくろのようについていたこともあります。一瞬焦りました。シミかと思って。
いかがでしたか?植物はさまざまな工夫で生存戦略をはかっているんですね。種からその植物の工夫を想像するのも楽しそうですよね。
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