編集部のこぼれ種#40「長野県の黒姫高原にあるアファンの森を訪れました♪」

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戸松敦子

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植物と一緒に暮らしているLOVEGREEN編集部の、何気ない出来事や発見、雑談などなど……日々の一部をふらっとのぞいてみてください。今回は、長野県信濃町の黒姫高原にある「アファンの森」を訪れ、詳しい解説を聞きながら森を学ぶ「視察プログラム」に参加してきたお話です。

(アファンの森は生き物のために保全している森なので、自由に散策できません。森の見学や視察は有料で事前予約が必要です。)

アファンの森 C.Wニコル 生物多様性 

(撮影協力/一般財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団、視察協力/NPO法人グリーンフィールド)

アファンの森は、C.Wニコルさんが何年もかけて蘇らせた森。C.Wニコルさんは、英国南ウェールズ生まれの作家で、世界各地で環境保全活動を行ってきた方です。「日本本来の美しい自然環境を取り戻したい」という思いで、長野県黒姫の荒れ果てた森を買い取って森づくりを始めたそうです。アファンとは、ケルトの言葉で「風の通るところ」を意味します。

 

アファンの森 C.Wニコル 生物多様性 

美しい森です。この森はかつて、一度は農地として開墾されたものの耕作地として不向きだったため放置され、地元では「幽霊森」と呼ばれていました。C.Wニコルさんたちは、明るい森を目指して荒れた森の藪を切り払い、健康な木を残して枯れ木を伐採し、残した1本1本の木に光と養分がしっかりいきわたるようにしました。

 

アファンの森 C.Wニコル 生物多様性 

そうすることで風通しが良くなり、光が地面まで届くようになって、土の中で長い間眠っていた様々な種が芽を出すなど次々と森が再生されていったそうです。

今では、アファンの森の生態系の頂点であるフクロウをはじめ、様々な鳥や昆虫などが暮らし、地域的に絶滅の恐れのある動植物も多く確認できるようになりました。

 

アファンの森 C.Wニコル 生物多様性 

地面がひどくぬかるんでいて水たまりができるような場所には、池をつくりました。柳の枝を使って土留めをしています。池ができたことで、停滞していた地下水が流れるようになり、たくさんの生き物が暮らすようになりました。丸々したおたまじゃくしが泳いでいる姿が見えました。

 

アファンの森 C.Wニコル 生物多様性 

サウンドシェルター

写真はサウンドシェルターといって、北カナダの狩猟民族が、トナカイの群れを追うときに待ち伏せをする場所として使っていた伝統的な建物を模して造ったそうです。遠くの物音がよく聞こえる構造になっています。中に入ってみると、まるで森の中の縁側のようで心が落ち着き癒されました。

 

オカトラノオ

オカトラノオ

所どころに、美しい山野草が咲いていました。サクラソウ科のオカトラノオの他には、ユキノシタ科のチダケサシ、スイレン科のコウホネ、スイカズラ科のオトコエシ(男郎花)なども目に留まりました。

 

アブラチャン 実

アブラチャン

アブラチャンの木には、実がなっていました。黄色い花が咲いた後に実ができることは知っていたのですが、皮をむくと透明の玉が入っていて、柑橘系のとても良い香りがすることを教えてもらって感動しました!

 

オオバクロモジ

オオバクロモジ

香りといえば、クスノキ科のクロモジ。この辺りではオオバクロモジがよく見られるとのこと。クロモジの枝葉にはこっくりとした甘く爽やかな香りがあり、お茶として飲用される他、精油(アロマオイル)の原料にもなっています。アファンの森のオリジナル・アロマスプレーにもクロモジが使われています。家でも森の香りに癒されたいと思い、自分用のお土産に買いました。(^^)

 

熊の爪あと

アファンの森にはクマも現れます。木登りが得意で、ブナの新芽やクワの実、ドングリなどを食べるそうです。木に残された爪痕を見て、クマも遊びに来る場所なんだなと少しドキドキしました(笑)

 

アファンの森 C.Wニコル 生物多様性 

鳥類も96種類確認されています。大きな黄色い嘴が特徴的なイカルという鳥が「キーコーキー」と可愛い声で鳴いていました。鳥の繁殖などの調査のため、巣箱もあちこちにかけられていました。

 

アファンの森 C.Wニコル 生物多様性 

2時間以上かけてゆっくり森を歩き、アファンセンターに戻ってきました。

基礎の石垣はロックガーデンになっていて、サンショウ、セージ、オレガノ、ワイルドストロベリーなど様々なハーブが育っています。ハーブは、もてなし料理にも使われるそうですよ。

 

アファンの森 C.Wニコル 生物多様性 

アファンセンターの入口には、守り神のような大きな栗の木がありとても印象的でした。樹形も太枝を切った切り口も美しくて、かっこいいなあと見入ってしまいました。

アファンセンターは、長野県産のスギの間伐材を中心に国産材を使って、なるべくケミカルなものを使わずに建てたそうです。建物に入った瞬間から木のぬくもりに癒されました。

 

アファンの森 C.Wニコル 生物多様性

少し離れた場所にホースロッジがあり、雪丸(ゆきまる)と茶々丸(ちゃちゃまる)がお出迎えしてくれました。顔をなでさせてもらいましたが、人なつこさと優しさを感じました。アファンの森では、伐採した木を馬搬(馬を使って山から伐採された木を運ぶこと)で運び出したこともあると聞きました。お馬さん大活躍ですね。ホースロッジは、馬とふれあえる体験プログラムがあるとても魅力的な場所です。

 

アファンの森 C.Wニコル 生物多様性 

「視察プログラム」に参加し、今まで「森は草木が生えていて緑があれば守られている」と勘違いしていたことに気付きました。日本は森林国と思い安心していましたが、野生動植物がすみやすい森とは限らないのですね。「幽霊森」と呼ばれていた薄暗い森が、様々な生き物にとって暮らしやすい多様な環境をもつ森に変わった、ビフォーアフターの写真を見せてもらったとき、アフターの森がイキイキと輝いている様子を見て本当に感動しました。

未来の森を守るために、自分たちは何ができるのだろうと真面目に考える旅になりました。春の雪解けの頃が山野草の見頃と聞き、春にも訪れてみたいなと思いました。


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グリーンアドバイザー、ハンギングバスケットマスター、野菜ソムリエ、家庭菜園検定2級。園芸業界で植物全般を幅広く学び経験してきました。LOVEGREEN編集部では主に寄せ植えやリース作り、ボタニカルピープルなどの取材を担当。人が植物と心地良く暮らし、その幸せの連鎖が世界中に広がっていくことを願います。趣味はママさんサッカー。都大会優勝を目指して日々練習しています。

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