野菜は文化!日本の伝統野菜 | エディブルガーデン10月
古幡真恵
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カブさん!あなたはどこのカブかな!?
Illustration:小野寺葉月
カブはアブラナ科アブラナ属の一年草です。世界でも栽培の歴史が古く、原産地はアフガニスタンを中心にした中央アジア、またはヨーロッパ西南部を加えた地中海沿岸と考えられています。
日本においてもカブ栽培の歴史は古く、日本人の生活になじみ深い野菜の一つです。
気候や土質、栽培方法に応じた独特の品種が、各地で古くから育てられています。
日本のカブの品種
日本各地で育てられていたカブの種は、僧侶や武士、商人、嫁ぐ女性などが携え、たどり着いた土地で栽培されてきました。そして、その土地に合うように育種が進んだ結果、丸形や長形、扁平、楕円の形のカブや、色も白、赤、紫、グラデーションなど、各地でさまざまな品種が存在しています。
このように昔からさまざまな土地で、交雑しながら多くの品種が生まれたカブですが、実は東日本と西日本とでは、もともとのカブの性質に違いがあることがわかっています。
もちろん、東日本で栽培されているカブのルーツが西日本で栽培されてきたカブの系統だったり、その逆もあります。歴史のミステリーを感じる、いまだ解明されていないカブのルーツも魅力的ですが、ここでは「東日本」と「西日本」の代表的なカブの性質の違いについて紹介します。
東日本のかぶ:葉に切れ込みと毛がある洋種系
東日本のカブは、主に寒さに強い「洋種系(または洋種系の因子をもつ)」の品種が多く栽培されています。外国で育てられているカブに近い性質があるため、海外から伝わってきたものではないかと考えられています。
洋種系のカブの特徴は、大根の葉と同じような葉の切れ込みがあり、葉の表面には細かい毛があるので少々食べづらく感じます。横に広がって地面に這うように生えているため、雪が降っても比較的長期保存が可能なカブです。
岩手県:暮坪かぶ
岩手県で栽培されている暮坪かぶは、岩手県遠野市で古くから栽培されているカブです。
細くて白いカブなので姿形が大根のようです。
根の辛味が究極の薬味として愛されている一品で、蕎麦の薬味として有名なカブです。
山形県:温海かぶ
日本有数の穀倉地帯である庄内平野を有する山形県は、昔から農業が盛んなところです。
温海かぶの表皮は赤紫色をしていますが、中身は白い扁球形のカブです。
温海かぶの原産地は中央アジアといわれており、シルクロードを経て日本に伝わったとされる330年の栽培の歴史がある伝統野菜です。
東京都:滝野川カブ(品川カブ)
東京都の北区滝野川付近で栽培されていたため、地名をとって「滝野川カブ」といわれる、主に漬物に使われていたカブです。
この滝野川カブに形や性質がよく似た「品川カブ」がありますが、これは主に品川付近で栽培されていたため品川という名前が使われています。
今は種苗会社から購入した品種はどこで育てても同じ品種名ですが、伝統野菜はその土地で長い間栽培されてきたことが重要なので、名前は違うけれど同じ種類ということもあります。
西日本のかぶ:葉に切れ込みや毛の少ない和種系
西日本に分布する和種系のカブは、洋種系と比べて地面から葉が立ち上がるように生育し、切れ込みや細かい毛も少ないため、葉が食べやすいのが特徴です。漬け菜としても良く利用されます。
原産地のアフガニスタンには同じような品種はあるものの、アジア地域では確認できないことから日本特有の性質を持つ「和種系」と呼ばれています。
滋賀県:日野菜
石山貝塚のある縄文時代から脈々と続く、歴史ある近江の地は、荘園が数多く存在していました。近江の商人によって、たくさんの農作物が売り買いされ、活気あるものだったことが伺えます。
日野菜は、紅白2色の色合いと細い大根のような形が特徴で、多くは漬物に利用されています。
京都府:聖護院かぶ
千枚漬けの材料として有名な、京都市左京区聖護院が主な産地の真っ白い大きなカブです。
伝統野菜を知らなくても、聖護院かぶなら知っているのではないでしょうか。千枚漬けの季節にはニュースになるほど、全国的にも有名なカブです。
大阪府:天王寺蕪
天王寺付近が栽培の発祥とされる白い扁平形のカブです。切れ葉と丸葉タイプの2系統があるので、一見すると違う品種にも見えるカブです。
2系統がありながら同じ種類という、どのように交雑されたのか興味深い品種です。
中間系:洋種系カブと和種系カブの中間型
上記のように葉の形状の違いなどから、日本のカブは「洋種系」と「和種系」に分けられています。
※そのほかの見分け方として、和種系の種を水に浸すと水胞状になるが、洋種系は水に浸しても水胞状にならないなどがある。
これに対し、中間系のカブとは、洋種系と和種系の境界線付近で栽培される両者の中間型の性質を持っている系統です。
東京都:金町コカブ
栽培の歴史については諸説ありますが、明治時代に品種改良、または自然交配によって生まれた、東京金町付近で栽培されていた小カブです。現在も関東を中心に栽培されています。
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