野菜は文化!日本の伝統野菜 | エディブルガーデン10月
古幡真恵
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Illustration:小野寺葉月
平成25年12月に和食(日本人の伝統的な食文化)がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、この和食に欠かせない季節折々の食材に野菜があります。
野菜のなかでも、古くからその土地に合ったものが栽培され、代々引き継がれてきた伝統野菜は、季節の行事とともに日本の文化を作ってきた大切なものです。改めて日本の文化の一つ「伝統野菜」に思いを馳せてみませんか。
目次
伝統野菜ってなんだろう?
伝統野菜を語ること。なんと壮大なテーマでしょう。
野菜の歴史を考えてみると、世界各地の適した場所で自生していた野菜が、シルクロードなどを通って大陸から伝わったり、大航海時代には海を渡り、そして参勤交代が行われていた江戸時代には、お侍さんと一緒に旅をした野菜の種が各地で育てられ、多くの新しい品種が生まれました。
奥深い歴史や由来、定義などを「調べて」実際に「育てて」みた伝統野菜について紹介します。
伝統野菜の定義
じつは「伝統野菜」といっても、それぞれの地方で定義が異なり、全国的に統一された明確な条件はありません。
伝統野菜の中でも有名な「京野菜」「なにわ野菜」「加賀野菜」「江戸東京野菜」の定義について少し紹介します。
京野菜
定義的には、京野菜は明治以前から栽培されている野菜を伝統野菜として認定しています。
古い歴史のある土地で作られてきた野菜なので、栽培の由来や発祥について諸説あるところが魅力的な、千年の都にふさわしい伝統野菜です。
なにわ野菜
現在からおおむね100年前以前という定義なので、1年ごとに基準となる年が移ります。つまり、2000年ならそこから100年前より以前、2001年ならそこから100年前よりも以前という数え方になります。
伝統も前へ前へと進んでいく、そんなコンセプトから新しい伝統野菜を予感させてくれます。
加賀野菜
昭和20年以前から栽培されている野菜というのが定義になります。つまり、第二次世界大戦終戦後という、日本にとっても、食文化においても大きな区切りが定義となっています。
江戸東京野菜
江戸期から昭和中期(昭和40年ごろまで)の東京地方で、農家が作物の種(または苗など)をとって代々栽培していた野菜。または、近隣の種苗商により確保されていた在来種(または在来の栽培方法などに由来するもの)を江戸東京野菜としています。
江戸時代は一大園芸ブームでしたが、参勤交代で各地から野菜が江戸に持ち込まれたことから、野菜の品種が飛躍的に増えた時代でもあります。
伝統野菜は文化財
このように「いつから」という伝統野菜の定義はさまざまですが、共通するのは「その土地で長い間いのちをつないできた、その地域の生きた文化財」ということです。
なぜ伝統野菜が生きた文化財なのかというと「生物」だからです。毎年作物を作り、種をとり続けていかなければ、京野菜の「郡大根」や「東寺かぶ」のように絶滅する恐れもあるのです。
野菜は「生物」と同時に、農作物という「商品」でもあります。農業の担い手が減少したり、反対に生産規模の拡大によって、栽培の効率化が求められることなどから、伝統野菜を作り続けられない状況になることが多々あるからです。
伝統野菜で始めるスローフード!
Illustration:小野寺葉月
昔からその土地で栽培され、人々の食生活を支えてきた環境や食文化を守ろうとする、イタリア発祥の「スローフード」という社会運動があります。
これを日本に置き換えてみると、伝統野菜を守り、これからも受け継いでいく活動なのかもしれません。
日本の伝統野菜は、各地で大切に受け継がれているだけでなく、日本の食文化も支える大切な文化遺産でもあります。
作り続けて種を更新していかなければ、栽培は途絶え、伝統野菜は絶滅してしまいます。長い歴史の中で、農家の方々が代々作り続けてくれた伝統野菜を、まずは知ること、食べることから始めて守っていきたいですね。
\続いては日本のカブについて!/
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