スイレン(睡蓮)とは?育て方・栽培方法|植物図鑑

植物名
スイレン(睡蓮)
学名

Nymphaea

英名
Water lily
和名
スイレン(睡蓮)
科名
スイレン科
属名
スイレン属
原産地
東南アジア、アフリカ、南米

スイレン(睡蓮)の特徴

世界各地の熱帯、亜熱帯、温帯に約40種類分布する水生草本で、地下茎または塊茎をもっています。葉は長い葉柄をもち円形や楕円形をして水面に浮いています。

40種のうちの多くは熱帯地域に自生する熱帯性スイレンです。これは昼咲きと夜咲きがあり、花は長い花柄をもって水面から出ています。

葉は広い楕円形で欠けている部分が温帯スイレンに比べて大きく深く、葉柄が長く水面から突き出ています。冬場でも最低15度以上の温度と水深30cm以上の水槽が必要になります。

一方、温帯性スイレンの花は昼咲きのみで水面に浮きます。葉も花と同様に円形で水面に浮かびます。全体で5~6品種ほどしかありません。

スイレン(睡蓮)の詳細情報

園芸分類 水生植物
耐寒性 品種による
耐暑性 強い
花色 白、黄、赤、紫、ピンクなど
開花時期 6月~11月頃

スイレン(睡蓮)の育て方カレンダー

時期 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
植え付け
植え替え
肥料
開花

スイレン(睡蓮)の栽培環境

日当たり・置き場所

日光
睡蓮は日光を好み、日光によく当たることで花付きが良くなります。
【屋外】
通年を通して日光を良く当ててください。日光に当たり、水温が上昇することでハスの生長が活発になります。

【屋内】
屋内で管理する場合は窓際の日がよく当たる場所に置いて下さい。

【置き場所】
日光が非常に重要となるので、日当たりのいい場所において下さい。一日を通して日が当たっている場所が最適です。室内の場合はエアコンなどの風が直接当たらない場所に置いて下さい。

温度

低温に強いという訳ではないので、10℃以下にならない様に気をつけましょう。
ベランダ等で育てられている方は、外の気温が10℃ぐらいから室内に取り込んで下さい。
気温が15℃前後になると成長が緩慢になります。

用土

粘土質の肥沃な土を好みます。田んぼの土が理想的ですが、手に入らない場合は荒木田土に腐葉土、黒土、赤玉土を混ぜ込んで作ることが出来ます。赤玉土は粒を潰してから使用してください。

スイレン(睡蓮)の育て方のポイント

日常の管理

定期的な水替えをしていないと水面上に油膜のような汚れが浮かんできます。汚れが浮かんでいたらホースなどで水を溢れさせるようにして水替えを行ってください。そのときにシャワーなどを使うと水の中に空気が混ざるのでおすすめです。

水やり

水に浸した状態で栽培するので水を腐らせないように注意しましょう。水深は植えたときは5~10cm、生長したら10~20cm以上にします。
水を小まめに汲み替えないと油膜のような汚れが水面に出てしまいます。そのため、シャワージョウロなどを使って水を溢れるように交換してください。そのときにバケツなどに水を張り、水温を高くしておくと水換え後の水温の変化が少なくてすみます。

肥料

成長期は月に1度スイレン用の肥料をしっかりと土に埋め込むように施します。肥料切れになると花がつきにくくなってしまいます。

病害虫

【ハダニ】
黄緑や赤い体色をした0.5mmほどの小さな害虫です。葉の裏側に潜み吸汁します。ハダニに吸汁された箇所は白い斑点状になるのですぐ分かります。そのまま放置しておくと最悪の場合枯れてしまいます。

【アブラムシ】
アブラムシは2~4mmほどの小さな害虫です。幼虫、成虫ともに葉や蕾を吸汁します。群生していることが多く、早めに対処しないと手遅れになる場合があります。
アブラムシはスス病などのウイルス病の媒介者で、吸汁されてしまうとそこからウイルスが睡蓮の中に侵入し、病気を発症させます。
また、小さな株は発症しなくても吸汁されたことで体力がなくなり、そのまま枯れてしまう場合があります。

【カイガラムシ】
3mmほどの小さな虫で、白い綿毛のようなものを背負っています。吸汁して生長していくと、身体からワックスなどを分泌し、身体を守ろうとします。
カイガラムシに吸汁されると株が弱ってしまい、そのまま枯れてしまうことがあります。

【ナメクジ】
葉や花芽など、食べれる場所ならどこでも食害する性質の悪い害虫です。
外に出していると寄ってくる場合があるので、注意してください。
大食漢でもあるので、梅雨時などナメクジが発生しやすい時期は夜に見回りをしてください。
少し食害された程度なら生長に問題はありませんが、小さい株の場合は葉の大半を食害されたり、生長点を食害されると枯れてしまう可能性があります。

【バッタ】
イナゴなどのバッタは葉の硬さに関係なく食害します。また、食害する量も多いので気付かないでいると手遅れになっていることがあります。
割り箸などで見つけ次第捕殺してください。防虫ネットも有効です。

スイレン(睡蓮)の詳しい育て方

選び方

購入する品種をよく知って、温帯性と熱帯性の性質の違いを知った上で好きな花色のものを選びましょう。塊茎の芽や切り口が腐ったりカビがはえていないか注意しましょう。

種まき

ムカゴを作る品種ならば、葉ごとムカゴを水に浮かべておくと発芽し、苗を作ることが出来ます。

植え付け

大きめの平鉢に苗を崩さないように植え付けます。植え付け後はあらかじめ水をはったスイレン鉢につけます。水中の芽の位置から水面までの深さは10cmを越えるようにし、とにかく日当たりのよい場所で管理することが大切です。

剪定・切り戻し

古い枯れた葉を切り取ってください。

植え替え・鉢替え

睡蓮は毎年植え替えをする必要があります。4~5月頃に新芽を折らないように植え替えをしてください。

6月~11月頃に水上に蕾が伸びてきて花を咲かせます。

夏越し

日当たりの良い場所に置いて管理します。日光によって水温が上がることで動きが活発になります。夜は葉を冷やすために打ち水などをしてください。
月に1度施肥をすることで花付きや根を大きくすることが出来ます。

冬越し

温帯性睡蓮は根が凍らなければ屋外で越冬することが出来ます。水位が低くなると根が凍る危険性が高まるので、10cm前後の水位を保ってください。
水が氷ると膨張し、鉢が割れる事があるため、注意してください。
その他熱帯性睡蓮や寒冷地で冬越しをさせる場合は、発泡スチロールなどに水を張った鉢ごと入れて、室内で管理するか、根を掘り出して練った赤玉土で根を包み、ビニール袋に入れて室内で管理してください。

増やし方(株分け、挿し木、葉挿しなど)

1~2年に1回程度塊茎を株分けして増やします。熱帯性スイレンは寒さに弱いので水温15度以上を保てる場所に植え替え、時期は5~7月が適当です。温帯性スイレンは3~4月に行いましょう。1株に少なくとも1芽がつくように清潔なナイフで切り分けます。分けたら乾燥しないようにすぐに植え付けます。

ハスと睡蓮の見分け方

3つの部分で見分けることが出来ます。まず一つ目は葉に水をかけてみましょう。葉にのったときにころんとした水の粒が出来て、葉の上を滑るように動く、撥水性のある葉がハス、撥水性はなく、葉自体がてかてかと光沢があるのがスイレンです。2つめに花を見ます。水面から高く葉よりも上の方で咲き、花が終わると花びらは散って、ハチの巣のような種を残すのが蓮です。一方、水面近くに咲くか、水上に浮くように咲くのがスイレンです。花が終わると閉じて水中に沈みます。3つ目に根が違います。ハスの根はいわゆるレンコンで細い地下茎がぐんぐんのびます。温帯性スイレンはワサビの様で、熱帯性スイレンは球根型をしています。

モネが描いた睡蓮

フランスの印象派画家クロード・モネといえば睡蓮の絵が有名です。1899年から約30年にわたってジヴェルニ―の自宅の睡蓮を死ぬまで描き続け、その作品数は200点を超えています。水面の移ろいや反射する陽光、陰の印影、鮮やかな睡蓮、ゆらめく水草の描写などいずれも神秘的で幻想的な印象の絵です。晩年には白内障の影響で視力が低下していくため絵のタッチも年月に連れて大きく変化していく点も見どころです。

  • 監修者:LOVEGREEN編集部
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