葉書の葉、多羅葉(たらよう)って知ってる?
峰亜由美
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切手を貼って送る長方形の少し厚い紙、葉書(はがき)は、年賀状として届いたり、お便りを書いたり、お知らせをしたり、ポストカードとも呼ばれております。葉書って何だか素敵な。日本語の名前だと思ったことはありませんか?
今回は葉書の「葉」って何の葉なのか?実は「多羅葉(たらよう)」という樹木の葉が始まりだと言われています。ぼんやりと過ごす休日に頭の中を巡らせてしまうような素敵な植物のお話をご紹介したいと思います。
目次
葉書(ハガキ)の始まりって知ってる?
葉書の始まりは、平安時代に「多羅葉(たらよう)」という樹木の葉の裏に気の枝などで傷をつけて言葉を書き、相手に渡して伝えたことが始まりと言われています。木の葉を手にしてメッセージを小枝で書くとは、イメージするだけでも素敵な光景ですね。
葉に傷をつけて文字を残すだけならば、他の葉でもいいのでは?とも思ってしまいますが、実は多羅葉(たらよう)の葉は特別な成分を含むため、傷をつけると短い時間で色が黒く変色し、すぐに文字が浮かび上がる特性や文字がそのまま消えずに長く残る性質があり、言葉を保存する葉として選ばれるようになりました。
「言葉」という文字は口に出して言った事を葉(多羅葉)に書き記した事から生まれた様子を表し名づけられました。「言葉」の中に出てくる葉という漢字も多羅葉の葉という事になりますね。
日本語って1つ1つに絵画のような美しい景色が浮かび上がってきませんか?植物が由来の素敵な言葉が他にも沢山あります。
お気に入りのエピソードを探してみても楽しいですね。
多羅葉(たらよう)ってどんな植物?
■和名 多羅葉(たらよう)
■学名 Ilex latifolia
■属性 モチノキ科モチノキ属
■常緑高木
幹の高さは10m程に高くなる常緑高木です、花の時期は4~5月に淡い黄色の花を咲かせます。多羅葉の葉は肉厚で2o㎝程の長細い楕円型をしていて葉の縁は小さなギザギザが付いています。木の葉の裏は傷をつけると短い時間で黒く変色してくっきりと浮き出る性質があります。秋には8mm程の丸い赤い実が実ります。
実際に文字を書いてみました
先が尖ったもので文字を書いてみると、この様にくっきりと文字が浮かび上がります。
ペンで書いたみたいにはっきりと文字を見ることが出来ますね。書き始めよりも時間がたつにつれて、だんだんと文字の色は濃くなって来ます。
多羅葉(たらよう)のまとめ
多羅葉(たらよう)は傷をつけると黒くくっきりとした線が浮き出る性質から、日本では平安時代にお経を書き残したり、火であぶると黒い模様が浮きあがり、その模様で占いをしたり、特別な植物として神社仏閣で植えられ特別な樹木として大切にされていたと言われています。
後に、その性質からお経だけではなく、伝えたい相手に言葉を書き記し渡したことが、現在は行いだけが残り、暮らしに合わせて紙へ姿を変え手渡し等から切手を貼って遠く離れた人へ言葉を届ける伝達ツールとして現在も尚、葉書は姿を変えながら使い続けられています。
葉書も今では電子メールやsns等の速いスピードでの伝達手段に姿を変えつつ有りますが、時にはお気に入りの万年筆やペンを使ってゆっくりと葉書に書き記し、遠く離れたお友達や家族へ時間を交換するようなコミュニケーションも素敵ですね。
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