【後編】「とくべつ」なお花屋さん。ル・ベスベ代表 松岡龍守氏 インタビュー 「ルベスベ20周年 これまでとこれから」

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小野寺葉月

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この次の10年。

最後の頑張りは僕の仕入れと、個々(スタッフ)の気持ちかな。お客さんのためにっていう。お客さんに対する気持ちかな。

 

松岡:精一杯前向いて走り続けてきてるから、この次の 10年どうするかっていうと、僕の年齢からすると、どういう風に落ち着くのがいいのかなっていうのを考えはじめる年齢なので、すこしずつ任せながら。という感じにしていますが。 頭のどっかでは朝にさあ、水やりながらみんなに「いってらっしゃ〜い」って言ってさ、そういうのが楽しいのかも(笑)

―「お帰り〜」とかって(笑)

松岡:そうそう(笑)でもやっぱり花をいじってみたいときもあるから。任せなきゃいけないこともありつつ。伝承って言うのがね、中々難しい。

 

うちの会社は特に難しいかも。最初の1〜2年は殆ど花作れないからな。なにが違いになるかっていうと、やっぱり一手間。僕も投げやりになることあって、「もういいやここはこれで」ってなることはあるけど、そういう仕事はきっと、評価されない。上辺の評価しかない。やっぱり一手間かけたら、何かこう・・・見え方が違ったりするから。この人(高橋さんの写真を指差しながら)の面倒臭さはそこです。「えーなんでもう、そんなわっかんないよそんなの〜」ってこっちはいうんだけど、「わかるひとにはわかる。見るひとが見ればわかる。」って。

それを(スタッフが)伝承してるから、まあ〜めんどくさいですよ(笑)だんだん薄れてはいるんだけど。そういう一手間って、まあこれでいいやって言う瞬間がくるんだけど、そこで ひとつ引いて我慢して「よし、やってみよう」てやると、いいのができたりする。偉そうだなー、俺(笑)。そうそう、そんな気がする。僕は客観的にずっと見てるからさ。全体をまわさなきゃいけないから、「効率も考えろよ」とかね。

 

―お二人の役割がしっかりあったんですね。

松岡:だから良かったんだと思います。彼女は金のことは考えない!きれいなものを作ればいい、いいものを作ればいい。だから、展示会とかの大きい仕事も、うちは安かったんじゃないかなー。俺は金のことばっかり!おいおいおいおい!そんなに入れんじゃねえ!って(笑) あとは、芸術家とか先生みたいになる気は二人ともさらさらなくて、「花屋でいたい」っていうところが原点にあって。だから、一人しかお客さんが来なくてもいいって店を構えて花も用意して。そんなに・・・来たって10人位だけどさ。その分客単価がね。そんなに安くないんで助かりますけど。

▼ル・べスべでお持ち帰りしてきたのはラナンキュラス・ラックスとツリガネテッセン、ギリア、ライラック、アリウムと、セリンセ・マヨール

 

―そうか、でも「きれいにしてあげたい」「満足して喜んでもらいたい」っていう気持ちが先にくると・・・

松岡:そう、だから、よくよく考えるとただの人がいい人・・・はっはっはっはっは(笑)だから彼女は大人気でしたよ。そんで「規模小さくしたい・・・」って言うの(笑)「ふざけんなお前が大きくしたんだろ」って(笑) 理想はスタッフ5人って言ってたな。僕たち2人とあと3人。なんだろう。10人超えると「これきれいね!」っていう共有が薄れるんですよ。相当。みんな「きれいね」って思ってるんだけど。共有する瞬間が分割されていくと、な~んか薄れるんですよ。それが嫌だったんだと思う。仕事が大きくなればなるほどね。共有したかったんだろうなあ。

 

次・・・ひとまず一年頑張って。世の中も変わりますからね。ちょっとずつね。この間オープンしたGINZA SIX でわーっとお花が沢山来てて、だけど「ぱっ」って見たら 「あ、うちの花」ってお客さんがすぐ分かるようになってほしいよね。分かるようであってほしい。僕としてはね。でもまあ似たようなお店が沢山出来てるしなあ。最後の頑張りは僕の仕入れと、個々(スタッフ)の気持ちかな。お客さんのためにっていう。お客さんに対する気持ちかな。

▼インタビュー後、2階のスタッフルームにいた良(りょう)くんがご挨拶に来てくれました。やさしい人懐こいゴールデン君で、足の上にどっかりおちついてくれました。かわいかった・・・

 

▼これなんですか?ときいたら「それシダ!そんなの好きだなんて・・・やっぱちょっと変だね」と言っていただけました・・・シダかっこよかったです!

 

☆注1:Ikuyo’s Eyeは2014年に亡くなられた元ル・ベスベ代表、高橋郁代さんが撮った写真と短い文章がとても魅力なホームページ内のコーナー。現在は松岡さんが更新されています

☆注2:ルベスベ物語 高橋郁代著 2010年株式会社文藝春秋から出版。ル・ベスベのホームページから購入が可能です

取材日 2017年4月21日 14:00 ル・ベスベ3F オフィスにて
インタビュー:小野寺葉月
写真:渡辺亜理紗

 

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小野寺葉月

中高短で美術を学び、卒業後観葉植物も扱う雑貨店で店長、バイヤーを担当。産後LOVEGREEN編集部で季節や庭木、虫の記事担当しつつ、説明や挿絵などで再び絵を描き始める。Botapiiでもエディブルガーデン他のイラストを担当。縁あって現在はフィリピンのセブ在住。ダイビングリゾートで広報も担当している為、海の中やマクロダイビングの世界に夢中。魚より珊瑚やホヤ、海藻など植物寄りの世界が好き。勘と勢いで生きている。

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