ハイビスカス10品種の生産者「竹原園芸」竹原 龍太朗~小鉢でも楽しめる生産に挑戦
大曽根百代
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普段聞けない生産者さんの現地の声をお届け!ボタニカルピープルの生産者さんを紹介する企画「生産者に聞く」。
今回は栃木県宇都宮市でハイビスカスを始めシクラメンやゼラニウム、花壇苗を生産されている『竹原園芸』さんにお話をお伺いしました。
ハイビスカスは10品種程取り扱っており、関東では珍しいハイビスカスの生産者です。お父様の代からハイビスカスの栽培をされて約40年、現在は息子さんの竹原龍太朗さんも一緒に生産され、現代に合わせた鉢花を提供できるよう新しい規格の鉢の大きさに挑戦されたりしています。今回は龍太郎さんにハイビスカスについてなど色々と話を聞かせていただきました。
プロフィール
■名前:竹原 龍太朗
■年齢:31歳
■場所:栃木県宇都宮市
■生産歴:7年
■面積:約1600坪
■主な生産品:ハイビスカス、シクラメン、ゼラニウム、クチナシ、その他花壇苗
夏のお花を代表するハイビスカス。ハイビスカスは、開花すると一日で萎んでしまう「一日花」だという事をご存知でしょうか?
しかし竹原園芸さんで栽培されている『ロングライフ』という品種は、通常のハイビスカスより花持ちが長く、2~3日お花が持つそうです。さらに大輪で立派な存在感のあるお花です。
ロングライフ以外には、ハイビスカスの斑入り品種も栽培されています。ピンク色の綺麗な葉で、花が咲かない時期も鑑賞できますね。
寒くなると緑の部分が紅葉し、銅葉になるそうです。
生産者になったきっかけを教えてください。
小学校高学年の時には生産者になりたいと思ってましたね。小さい頃から父の働く姿を見て子供ながらに憧れがあったんだと思います。母の話では小学校の時、七夕の短冊に「お父さんの後を継いで花の生産者になりたい」って書いていたそうです。
竹原園芸さんがハイビスカスを生産しようときめた理由とは?
父が花の生産を始めた頃から40年栽培していることが大きいと思います。40年培ってきた栽培技術と産地としてのブランドがあったのでそれを活用してさらに発展させたいと思いました。
元々は大鉢(7寸のみ)しか栽培していなかったのですが、7寸だとなかなか置き場所がなかったり少ないスペースでも楽しみたいという需要があると思い、小鉢でも楽しめるハイビスカスを生産し始めました。
今では2色植えや鉢サイズが30cmもある大鉢も作っていますよ。
仕事をするうえで特に大変なことは何ですか?
一鉢一鉢、株の高さや枝の本数をすべてチェックして、私が定めた基準に達したものだけを選ぶという選別作業をしています。枝の本数が足りない場合は、ピンチ(剪定)をして枝の本数を増やしていく作業を繰り返します。この作業が今の時点では私しかできないので2万鉢をずっと一人で選抜作業しています。選抜作業をすることにより、同じ品質の商品を継続して段階的に出荷することが出来ます。
でも、一番大変なのはなんといっても花ですね。
ハイビスカスは「一日花」なので出荷時期と花咲きを合わせるのがとても大変ですね。こちらで満開の状態で出荷してしまうと、今度はお客さんの元に届く頃には蕾が少なくなってしまいますし、だからと言って蕾が固い状態ですと何色が咲くのかわからなくなります。色がわかるようラベルは付いていますが花が咲いていたほうが見た目はいいですよね。
開花と出荷時期と出荷量を合わせるのが毎年の悩みですね。日照と温度によって開花のタイミングが変わってしまうのです。
特にやりがいを感じる時はどんな時ですか?
お客さんが直接きて「このハイビスカス、綺麗だね」とか「見たことないハイビスカス」など言ってもらうと嬉しいですね。ハウスに置いてある大きなハイビスカスを見て、お客さんが驚いた反応をしたときも嬉しいです。また、翌年も来てくれて「やり方教えてもらったから今年も咲いたよ」という報告をくれたときもよかったなぁと、やりがいを感じる瞬間です。
栽培に関しては、自分がピンチ(剪定)をしたときに思った通りに株が出来た時、肥料のタイミングを変えてそれがうまく当て込んでいけたりすると楽しいですね。まぁ失敗しても楽しいです、来年どういう風に作ろうかなとか考えられるので。
ハイビスカスの品種で、オススメは何ですか?
現在、栽培している『ロングライフ』シリーズですね。 通常のハイビスカスは1日で花が終わってしまいますが、この品種は花が2~3日咲き続けます。
花が3日分咲いてくれるので一鉢の花数が多くなり豪華になります。
これから栽培してみたい植物はありますか?
特になにということはないですが自分が栽培したことがない植物ならなんでも育ててみたいですね。 どんどんチャレンジすることで新しい発見があると思うので。
最後にひとことお願いします!
ハイビスカスを育てるのは難しくないということを伝えていきたいですね。
花木なのでよほど水を与えなかったり、寒さに当てない限りそう簡単に枯れることはないです。冬越しの仕方を知らない方も結構いると思いますが、難しいということはなく、「縁側で管理をする」とか「室内に入れてお水だけあげる」で構いませんので気軽に考えて欲しいと思います。
それと夏の植物なのですが、実は9月下旬~10月上旬くらいの時期が一番良いですね。秋口に入ると色のノリや、花持ち、成長の勢いも一番良く、花持ちに関しては長ければ4~5日持ちます。ハイビスカスは、意外と11月頃まで咲き続けるんですよ。
栽培のポイントでいえば水切れと肥料切れは絶対させないほうがいいですね。
なぜなら水切れや肥料切れを起こすと、花が開く前に蕾のまま落ちてします。水を与えすぎかな?など思わず、むしろ水と肥料は沢山与えて大丈夫です。ポットから抜いて見てもらうとわかりますが、このように沢山の根を張るので与えすぎても枯れる可能性は低いのです。
諦めないで育てて頂いて一番良い時期を実感してもらえれば、またハイビスカスの印象が変わってくるのではないかなと思います。
——竹原さんありがとうございました。
意外に育てやすいハイビスカス。お水を与えすぎてしまっても根腐れの心配が少なく、水やりのタイミングが難しいと感じている方にもおススメできる植物です。
栽培されている現場は、天井からの直射日光とミラーシートによる下からの光で沢山の光を浴びせて育てています。ハイビスカスにとっては丁度良い日光量かもしれませんが、初夏頃は暑くて大変だとおっしゃっていました。
↑ ミラーシート:日光を反射させ下からも光が当たるようにする役目をしています。
秋口も咲き続けるので長くお花を鑑賞できますし、大輪で鮮やかな花は一輪咲いただけでも存在感があります。基本市場での出荷だそうですが、このラベルをお見かけしたらぜひお手に取ってみてください。様々な苦労や、暑いハウス内での環境で頑張って生産している人がいることを感じて頂けたらと思います。
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